暴力と星空（ほしぞら）

エピローグ

　そして夏休なつやすみの残のこりだが。今度こんどは彼女が、私に纏まとわりついてきていた。

「砂浜で、私のことを『相棒あいぼう』って言ったわよね。その言葉を嘘うそにしないで。私、貴女のことをもっと知りたい。だから一緒いっしょに過すごしましょう」

「……その、聞いていい？　あんた、私のことを好すきなの？　恋愛れんあい感情かんじょうって意味いみで」

「分かんないわよ。こんな気持きもち、初はじめてだもの。その気持ちをハッキリさせるためにも、私は貴女と長ながく付つき合あいたい。だから貴女も、もう無茶むちゃはしないで。ナイフで脅おどしつけるのも駄だ目めよ。私も人ひとは殺ころさないようにするからさ」

「うん……努力どりょくする」

「あと、私のことを『あんた』って言うのは止やめて。貴女あなたって呼よんでよ」

「ごめん。家いえの男が、言葉ことば遣づかいとか乱暴らんぼうでさ。その影響えいきょうが、なかなか抜ぬけなくて……」

　ああ、やっぱり女の子はいい。柔やわらかくて繊細せんさいで、そういう存在そんざいが増ふえれば世よの中なかは良よくなる気きがした。亡なくなった子が言ってた『ジェンダーレスな社会』というのは、私には良よく分からないけど、優やさしい世界のことかなぁと思う。傷きずつきやすい子たちをどうか優やさしく見守みまもって。