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第四章 分岐点
決断(A)
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その後ソフィとミリアにも相談した所、旅に出ることに反対だとは言わなかったけど賛成する様子もなくて、どちらかと言えば行ってほしく無さそうだった。
僕は今居る人には一通り相談をし終えたから家に帰って、コンとユンが帰るのを待つことにした。
そもそも僕が旅に出るなら従魔である2匹は一緒に行くのだから相談しない訳にはいかない。
それから夜になり、先に帰って来ていたスーさんがミリィと体を洗っている間にコンとユンが帰って来た。
「おかえり」
「ただいまだ」
「ワフ!」
「あれ、イツキさんは?」
「イツキは村長に調査の結果を報告に行った」
「そっか。コンはその、知り合いには会えた?」
「うむ、相変わらず元気そうであった」
「そっか」
嬉しそうに尻尾を揺らすコンに僕は笑って、その隣で尻尾をブンブンと振っていたユンを少し撫でると話を切り出した。
「ねぇコン、ユン。お父さんが僕に旅に出ないかって言ったんだけど、あ、旅って言っても僕とコンとユンだけなんだけど、僕が行くなら一緒についてきてくれるかな?」
たぶん、ユンは僕が行くなら喜んでついてきてくれると思う。
最近ではミリィにも良く懐いてはいるけれど、それでも命の恩人というより第二の親とでも言うかの如く慕ってくれているユンの答えはわかりきっていた。
「ワン!ワフゥ、ワワン!」
「ロイにどこでもついていく、だそうだ」
「ありがとうユン」
僕はその答えに笑って顎の下を撫でる。
でも問題はユンではなくコンの方だ。
一応それなりの時間は過ごしたけれど、それでもコンがどう思うのか全く予想出来ないでいた。
「無論、我もユンと同じだ。我はこの村で延々と過ごすのも良いと思うが、旅に出るなら出るでまた楽しい日々となるだろうからな。ロイの望みのままに行動しよう」
でもそんな心配は杞憂だったようで、コンも僕が決めた事についてきてくれると言ってくれた。
「そっか、ありがとう」
「礼をすることもなかろう、元々ロイと共にいるために従魔となったのだから」
「それでも嬉しかったから、ありがとう」
「そうか、うむ。どういたしましてだ」
これでコンとユンの意思を確認出来たから、旅に出る出ないも自由だ。
皆の反応は背中を押すのと引き留めるのが押す方が多いものの、自分としてはこのまま過ごす方が安心感が大きくて悩む。
旅に出るのに多くの人は背を押してくれていて、しかも今ならイツキさんという旅に慣れた人に色々と教わる事が出来る。
でもいくらコンとユンがいるとはいえ、一人旅というものの不安はとても大きい。
でも不安とは裏腹に旅に対する憧れもあって、コンがいるのだからもしかしたらお話に出てくる英雄のようなことがあるかもしれないという期待もある。
僕は旅への不安と憧れを天秤にかけて少しばかり悩んで、一つの結論を出した。
「一度旅に出てみよっか。もし無理そうなら帰って来たらいいだけだから」
そんな、若干後ろ向きな理由をつけて。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
タイトルが『決断(A)』としているのはいつか(B)、つまりは出なかった場合も書いてみたいな、と考えているからです。
展開の案だけならありますので、いつになるかわかりませんがいつかその内『IF』として書けたらいいなー、いつの日になることかなー……というお知らせでした。
僕は今居る人には一通り相談をし終えたから家に帰って、コンとユンが帰るのを待つことにした。
そもそも僕が旅に出るなら従魔である2匹は一緒に行くのだから相談しない訳にはいかない。
それから夜になり、先に帰って来ていたスーさんがミリィと体を洗っている間にコンとユンが帰って来た。
「おかえり」
「ただいまだ」
「ワフ!」
「あれ、イツキさんは?」
「イツキは村長に調査の結果を報告に行った」
「そっか。コンはその、知り合いには会えた?」
「うむ、相変わらず元気そうであった」
「そっか」
嬉しそうに尻尾を揺らすコンに僕は笑って、その隣で尻尾をブンブンと振っていたユンを少し撫でると話を切り出した。
「ねぇコン、ユン。お父さんが僕に旅に出ないかって言ったんだけど、あ、旅って言っても僕とコンとユンだけなんだけど、僕が行くなら一緒についてきてくれるかな?」
たぶん、ユンは僕が行くなら喜んでついてきてくれると思う。
最近ではミリィにも良く懐いてはいるけれど、それでも命の恩人というより第二の親とでも言うかの如く慕ってくれているユンの答えはわかりきっていた。
「ワン!ワフゥ、ワワン!」
「ロイにどこでもついていく、だそうだ」
「ありがとうユン」
僕はその答えに笑って顎の下を撫でる。
でも問題はユンではなくコンの方だ。
一応それなりの時間は過ごしたけれど、それでもコンがどう思うのか全く予想出来ないでいた。
「無論、我もユンと同じだ。我はこの村で延々と過ごすのも良いと思うが、旅に出るなら出るでまた楽しい日々となるだろうからな。ロイの望みのままに行動しよう」
でもそんな心配は杞憂だったようで、コンも僕が決めた事についてきてくれると言ってくれた。
「そっか、ありがとう」
「礼をすることもなかろう、元々ロイと共にいるために従魔となったのだから」
「それでも嬉しかったから、ありがとう」
「そうか、うむ。どういたしましてだ」
これでコンとユンの意思を確認出来たから、旅に出る出ないも自由だ。
皆の反応は背中を押すのと引き留めるのが押す方が多いものの、自分としてはこのまま過ごす方が安心感が大きくて悩む。
旅に出るのに多くの人は背を押してくれていて、しかも今ならイツキさんという旅に慣れた人に色々と教わる事が出来る。
でもいくらコンとユンがいるとはいえ、一人旅というものの不安はとても大きい。
でも不安とは裏腹に旅に対する憧れもあって、コンがいるのだからもしかしたらお話に出てくる英雄のようなことがあるかもしれないという期待もある。
僕は旅への不安と憧れを天秤にかけて少しばかり悩んで、一つの結論を出した。
「一度旅に出てみよっか。もし無理そうなら帰って来たらいいだけだから」
そんな、若干後ろ向きな理由をつけて。
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タイトルが『決断(A)』としているのはいつか(B)、つまりは出なかった場合も書いてみたいな、と考えているからです。
展開の案だけならありますので、いつになるかわかりませんがいつかその内『IF』として書けたらいいなー、いつの日になることかなー……というお知らせでした。
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