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第三章 農民が動かす物語
時間稼ぎ
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《ソフィside》
私はロイ君の杖を右手に持ち、左手を治癒草に翳す。
魔法のイメージはもう7、8年前に包丁で指を切った時の傷をポーションで治した時の様子。
普通に治癒する分ならその傷を治す事を考えたらいいけど、今みたいに具体的なイメージが出来無い時は過去の記憶をイメージに使うのが一般的。
「えっと、この魔石の魔力大きいから念入りにフィルターかけないと」
ロイ君が取り込みすぎで魔力酔いしたことは聞いたから、殆ど取り込めないと思うぐらい魔力の取り込み口を小さくするイメージをする。
その時あまりの魔力量に振り回されたと聞いたからかなり抑えて取り込みを始める。
「なにこれ!?」
そして、ほんの少し取り込んだだけで魔力が制御しきれる量を超えそうになって慌てて治癒魔法に変換する。
「凄いよね、その魔石」
その様子を隣で眺めていたロイ君が呑気にそんな事を言ってきたけど、正直それに答えてる余裕すらなかった。
「疲れた……」
「お疲れ」
ロイ君はそう言ってクタクタで草原の中仰向けに寝転がる私の手から杖を回収する。
「でも凄かったよ!僕が初めてやった時なんて本当に暴走しちゃったもん」
「私もかなり注意してくれてなかったら絶対やばかったよ」
ほんの少しと思って魔力をとり出したにも関わらず、勢い良く流れて来る魔力に危うく制御を失いそうになってしまったのだ。
「うう、それにすっごくお腹空いた。少し早いけどお昼ご飯にしようか」
「うん!僕もお腹空いたよ」
と、ロイ君も頷いてくれたので私は何故か大きくなったコンの上に登っていたルーちゃんを呼んでバスケットを出してもらう。
「今日はロイ君の所から貰ったトマとキューを使ってみました!」
バスケットの中に敷いてある薄黄色の布を開いて中にあるサンドウィッチを見せる。
「美味しそう!」
中はトマとキューをそのまま切って挟んだだけのサンドウィッチと、クックの卵を砂糖で甘くして焼いただけの物を挟んだとてもシンプルな物。
他に何もしていないので素材の味そのまま味わえるという、ちょっとした手抜き料理でもある。
野菜の本格的な収穫時期はまだもう少し先だけど、かなり早く熟した野菜と同級生のコールの家で今朝取れたばかりの新鮮な卵を使用している。
「勿論コンちゃんの分も用意してるからね」
「そうか、楽しみだな」
「コン、水おねがい」
ロイ君がそう言うと目の前に小さな水球が出来たのでそれで手を洗い、その手を合わせる。
その時コンちゃんも小さくなって前足を合わせた。
「「「いただきます!」」」
そしてロイ君は最初に野菜サンドを手に取り、私は卵サンドを手にとった。
ロイ君は2つ手に取って片方をコンの前に置いたお皿に置く。
「美味しい!」
そしてロイ君が1口食べて笑顔でそう言ってくれた。
「これは凄いな、ロイが毎日作業しているのはこれのためか」
コンちゃんも気に入ったようで満足そう。
「それじゃあ私も……うん、美味しい」
野菜サンドも美味しいはずだけど、卵サンドもかなり美味しかった。
それからご飯を食べている間、私はロイ君とどこで過ごそうかと考える。
今こうしてロイ君と過ごしているのは家で準備している間にロイ君が帰ってしまわないようにするための時間稼ぎのためだから。
日が沈む頃に帰ってくるように言われているのであと5時間ほども外に居ないといけない。
「「「ごちそう様でした!」」」
そうして食べ終えた後、私はロイ君日暮れまで外で居るために提案をする。
「ねぇロイ君、これから南の森に行かない?」
「えっと、今から行ってもあんまり時間がないと思うけど……」
確かにコルク川から歩くと軽く2時間以上はかかってしまう。
しかし、ここには徒歩以外の移動手段もあるのだ。
「コンちゃん、転移お願いしてもいいかな?」
「うむ、構わぬぞ」
ロイ君の膝の上で伏せていたコンは大きく頷いてくれた。
「それじゃあ早速行こ!」
「う、うん。今日は何時もより元気だね」
「そうかな?」
私はロイ君の杖を右手に持ち、左手を治癒草に翳す。
魔法のイメージはもう7、8年前に包丁で指を切った時の傷をポーションで治した時の様子。
普通に治癒する分ならその傷を治す事を考えたらいいけど、今みたいに具体的なイメージが出来無い時は過去の記憶をイメージに使うのが一般的。
「えっと、この魔石の魔力大きいから念入りにフィルターかけないと」
ロイ君が取り込みすぎで魔力酔いしたことは聞いたから、殆ど取り込めないと思うぐらい魔力の取り込み口を小さくするイメージをする。
その時あまりの魔力量に振り回されたと聞いたからかなり抑えて取り込みを始める。
「なにこれ!?」
そして、ほんの少し取り込んだだけで魔力が制御しきれる量を超えそうになって慌てて治癒魔法に変換する。
「凄いよね、その魔石」
その様子を隣で眺めていたロイ君が呑気にそんな事を言ってきたけど、正直それに答えてる余裕すらなかった。
「疲れた……」
「お疲れ」
ロイ君はそう言ってクタクタで草原の中仰向けに寝転がる私の手から杖を回収する。
「でも凄かったよ!僕が初めてやった時なんて本当に暴走しちゃったもん」
「私もかなり注意してくれてなかったら絶対やばかったよ」
ほんの少しと思って魔力をとり出したにも関わらず、勢い良く流れて来る魔力に危うく制御を失いそうになってしまったのだ。
「うう、それにすっごくお腹空いた。少し早いけどお昼ご飯にしようか」
「うん!僕もお腹空いたよ」
と、ロイ君も頷いてくれたので私は何故か大きくなったコンの上に登っていたルーちゃんを呼んでバスケットを出してもらう。
「今日はロイ君の所から貰ったトマとキューを使ってみました!」
バスケットの中に敷いてある薄黄色の布を開いて中にあるサンドウィッチを見せる。
「美味しそう!」
中はトマとキューをそのまま切って挟んだだけのサンドウィッチと、クックの卵を砂糖で甘くして焼いただけの物を挟んだとてもシンプルな物。
他に何もしていないので素材の味そのまま味わえるという、ちょっとした手抜き料理でもある。
野菜の本格的な収穫時期はまだもう少し先だけど、かなり早く熟した野菜と同級生のコールの家で今朝取れたばかりの新鮮な卵を使用している。
「勿論コンちゃんの分も用意してるからね」
「そうか、楽しみだな」
「コン、水おねがい」
ロイ君がそう言うと目の前に小さな水球が出来たのでそれで手を洗い、その手を合わせる。
その時コンちゃんも小さくなって前足を合わせた。
「「「いただきます!」」」
そしてロイ君は最初に野菜サンドを手に取り、私は卵サンドを手にとった。
ロイ君は2つ手に取って片方をコンの前に置いたお皿に置く。
「美味しい!」
そしてロイ君が1口食べて笑顔でそう言ってくれた。
「これは凄いな、ロイが毎日作業しているのはこれのためか」
コンちゃんも気に入ったようで満足そう。
「それじゃあ私も……うん、美味しい」
野菜サンドも美味しいはずだけど、卵サンドもかなり美味しかった。
それからご飯を食べている間、私はロイ君とどこで過ごそうかと考える。
今こうしてロイ君と過ごしているのは家で準備している間にロイ君が帰ってしまわないようにするための時間稼ぎのためだから。
日が沈む頃に帰ってくるように言われているのであと5時間ほども外に居ないといけない。
「「「ごちそう様でした!」」」
そうして食べ終えた後、私はロイ君日暮れまで外で居るために提案をする。
「ねぇロイ君、これから南の森に行かない?」
「えっと、今から行ってもあんまり時間がないと思うけど……」
確かにコルク川から歩くと軽く2時間以上はかかってしまう。
しかし、ここには徒歩以外の移動手段もあるのだ。
「コンちゃん、転移お願いしてもいいかな?」
「うむ、構わぬぞ」
ロイ君の膝の上で伏せていたコンは大きく頷いてくれた。
「それじゃあ早速行こ!」
「う、うん。今日は何時もより元気だね」
「そうかな?」
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