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第二章 混沌竜の契約者
コンの秘密、イツキの叫び
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《イツキside》
「……何言ってんだ?」
俺は混沌竜に対してそう答えた。
「よく聞こえなかったのか?お主が元居た世界に戻りたいかと聞いておるのだ」
「俺が別の世界から来たとでも言いたいのか?」
俺は否定する。
だが目の前の竜は俺を追い詰めてくる。
「そうだ。お主の話す言語こそ同じだが、その言葉はこの世界の物では無いだろう?」
「だから訳わかんねぇって。確かに俺は別の大陸から来たから言語は同じだけどさ、厳密に言えば色々と違う所があるだろうな。それだから戻れない事は無いぜ」
俺は今更戻れるなんて信じたくないと、きっと無駄だとわかっているけど否定する。
「違う。お主の言葉はこの世界に存在しない物ばかりだ」
「は、何を根拠にそんなこと言ってんだよ」
俺はどうしても認めたくなくて、必死で否定する。
しかし、目の前のモノクロの竜はそんな俺の最後の抵抗を嘲笑うかの如く言い放つ。
「これは誰にも言ったことは無いのだが、我はーーーーーーーーーーーーーーーーなのだ」
「…………………………は?」
俺はその竜の信じられない言葉を聞いて、口が中途半端に開いたまま固まってしまう。
「嘘では無いぞ?」
信じられないという目でその竜を見ると、心外なとでも言いそうな目で返して来た。
それから少しして、俺は涙を流す。
「は、はは、ははは、うっそだろ。マジか、何だよ、こんなアッサリと見つかってもいいもんかよチクショウ!俺がここまで来るのにどんだけ苦労したと思ってんだよ!!戻る手段がこんなアッサリと!!滅茶苦茶苦労する場所にあるだろうと思ってたら小物に襲われる少年の従魔が戻る手段になるだぁ?ふざけんじゃねぇよ!!!!!」
これは、俺の心の底からの叫びだ。
「今更こんな所でとかふざけんな!遅過ぎんだよ!!この3年間旅して仲間増やして各地に人脈も出来て、これからどうしようかってなって時になって出てくるとかふざけんじゃねぇよ!!」
俺は叫ぶ。
流れる涙を拭うことすら忘れて絶叫する。
「………………………」
しかし竜は何も答えずに、申し訳無さそうな顔になる。
「まだ仲間に話してもいないのに『元の世界に戻れるからこれでサヨナラ』なんて出来るはずが無いだろう!?そりゃ俺だって帰れるなら元の世界に帰りてぇよ!!でもな、あんまりにも遅すぎてこの世界だって離れたく無くなっちまって、今更帰ってどうしろって言うんだよ!!!!!」
もっと、もっと早くこの時が来てほしかった。
これが俺の身勝手なワガママだとはわかってる。
でも、遅過ぎるのだ。
今更戻った所で俺の居場所は無いだろう。
きっと行方不明で死んだ事になってるかもしれない。
それに俺はこの世界に染まってしまった。
魔法で魔物を倒して悪人を捕らえて自由気ままに生きてきた。
この世界で出来た仲間達は元の世界には居なかった『強い絆』で繋がった仲間だ。
「戻りたくなんか、ない。でも、戻りたくもあるんだ。確かに俺は戻る為に旅をしていた筈なんだ。でも、その中で戻りたくないと感じてた。だから、心が揺らがないように帰る方法を探すのをわざと疎かにしていたんだ」
これは、最近考えていたことだ。
「見つからなければ諦めがつくと思っていた。実際最近は元の世界の夢を見ることも殆ど無くなって、最初程帰りたいとも思わなくなった」
そうなのだ、もうほぼ諦めがついていたのだ。
「なのに……それなのに!」
そうだ、この竜は!!
「なんで今更戻れるなんて言うんだよ!?俺の気持ちも少しは考えろよ!!もっと早く来いよ!!それか俺の前に現れんじゃねぇよ!!!!!」
それから俺は時折叫びながらただ泣き続けた。
異世界に来て3年間、ずっと黙って隠して来た物を全て吐き出し洗い流すように。
その間、混沌竜はそんな俺に何をするでもなく、ただずっと静かに見つめていた。
「……何言ってんだ?」
俺は混沌竜に対してそう答えた。
「よく聞こえなかったのか?お主が元居た世界に戻りたいかと聞いておるのだ」
「俺が別の世界から来たとでも言いたいのか?」
俺は否定する。
だが目の前の竜は俺を追い詰めてくる。
「そうだ。お主の話す言語こそ同じだが、その言葉はこの世界の物では無いだろう?」
「だから訳わかんねぇって。確かに俺は別の大陸から来たから言語は同じだけどさ、厳密に言えば色々と違う所があるだろうな。それだから戻れない事は無いぜ」
俺は今更戻れるなんて信じたくないと、きっと無駄だとわかっているけど否定する。
「違う。お主の言葉はこの世界に存在しない物ばかりだ」
「は、何を根拠にそんなこと言ってんだよ」
俺はどうしても認めたくなくて、必死で否定する。
しかし、目の前のモノクロの竜はそんな俺の最後の抵抗を嘲笑うかの如く言い放つ。
「これは誰にも言ったことは無いのだが、我はーーーーーーーーーーーーーーーーなのだ」
「…………………………は?」
俺はその竜の信じられない言葉を聞いて、口が中途半端に開いたまま固まってしまう。
「嘘では無いぞ?」
信じられないという目でその竜を見ると、心外なとでも言いそうな目で返して来た。
それから少しして、俺は涙を流す。
「は、はは、ははは、うっそだろ。マジか、何だよ、こんなアッサリと見つかってもいいもんかよチクショウ!俺がここまで来るのにどんだけ苦労したと思ってんだよ!!戻る手段がこんなアッサリと!!滅茶苦茶苦労する場所にあるだろうと思ってたら小物に襲われる少年の従魔が戻る手段になるだぁ?ふざけんじゃねぇよ!!!!!」
これは、俺の心の底からの叫びだ。
「今更こんな所でとかふざけんな!遅過ぎんだよ!!この3年間旅して仲間増やして各地に人脈も出来て、これからどうしようかってなって時になって出てくるとかふざけんじゃねぇよ!!」
俺は叫ぶ。
流れる涙を拭うことすら忘れて絶叫する。
「………………………」
しかし竜は何も答えずに、申し訳無さそうな顔になる。
「まだ仲間に話してもいないのに『元の世界に戻れるからこれでサヨナラ』なんて出来るはずが無いだろう!?そりゃ俺だって帰れるなら元の世界に帰りてぇよ!!でもな、あんまりにも遅すぎてこの世界だって離れたく無くなっちまって、今更帰ってどうしろって言うんだよ!!!!!」
もっと、もっと早くこの時が来てほしかった。
これが俺の身勝手なワガママだとはわかってる。
でも、遅過ぎるのだ。
今更戻った所で俺の居場所は無いだろう。
きっと行方不明で死んだ事になってるかもしれない。
それに俺はこの世界に染まってしまった。
魔法で魔物を倒して悪人を捕らえて自由気ままに生きてきた。
この世界で出来た仲間達は元の世界には居なかった『強い絆』で繋がった仲間だ。
「戻りたくなんか、ない。でも、戻りたくもあるんだ。確かに俺は戻る為に旅をしていた筈なんだ。でも、その中で戻りたくないと感じてた。だから、心が揺らがないように帰る方法を探すのをわざと疎かにしていたんだ」
これは、最近考えていたことだ。
「見つからなければ諦めがつくと思っていた。実際最近は元の世界の夢を見ることも殆ど無くなって、最初程帰りたいとも思わなくなった」
そうなのだ、もうほぼ諦めがついていたのだ。
「なのに……それなのに!」
そうだ、この竜は!!
「なんで今更戻れるなんて言うんだよ!?俺の気持ちも少しは考えろよ!!もっと早く来いよ!!それか俺の前に現れんじゃねぇよ!!!!!」
それから俺は時折叫びながらただ泣き続けた。
異世界に来て3年間、ずっと黙って隠して来た物を全て吐き出し洗い流すように。
その間、混沌竜はそんな俺に何をするでもなく、ただずっと静かに見つめていた。
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