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第一章 僕は普通の農民です
国王様は竜が好き
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「楽にしてくれて構わないぞ」
「は、はい」
今、僕とコンは国王様に連れられて応接室の隣にある小さな部屋に居た。
そこは他の部屋が金色が目立つ部屋だったのに対して殆どが白で統一され、調度品の棚などは木製で白い塗料が塗られている物だけど施された彫刻などが細かく大変高価な物だとわかる。
そして部屋の真ん中には白いテーブルクロスを掛けられた丸机が置かれており、4つの椅子があった。
今現在の位置は奥の上座に国王、次に国王の左に大臣、そして国王の向かいに僕が座ってコンは僕の膝の上にいる。
「やっと落ち着いて話が出来るな」
椅子に座り、国王様がそう切り出した。
その言葉に大臣がため息をつく。
「はぁ……えー、まず私の方から発言させていただきますが、この度お呼びしたのはまず国としては竜種を従魔にするだけでも大変な脅威となるところ、その頂点である混沌竜を従魔にしたとのことで、その主について知っておくのは当然のことなのです」
そう大臣が国としての理由を述べる。
「それだけなら使者を派遣するだけでも良かったのですが……」
と、そこで大臣は言葉を切った。
「竜、それも混沌竜が召喚されたとあれば、その御姿を見る事が出来る絶好の機会ではないか!」
と、国王様が興奮して言う。
そんな国王様に対して大臣は冷ややかな視線を送る。
「ええ、隣国との貿易の話に行っていたのにその馬車の中で『混沌竜に会えるまたとない機会なのだ!貿易の事など後回しだ!!』等と……」
その発言に僕は危うく席を立ちそうになる程驚いた。
国王様は顔を強張らせる。
「う、それは済まなかったと……」
「済まなかったで済むものですか!幸い皆さん口堅い者ばかりだから良かったものの、あんな発言をもし会議中にしたらどうするつもりだったんですか!折角国王様が何年もかけて繋いだ信頼を御自身で壊されるつもりなんですか!!」
「い、いや大臣流石に会議中では……」
「竜に関する報告が入ったら他ごとを全部忘れられる国王様がそんなこと気にするものですか!外務大臣が何とか今話を進めているから良いものの、居なかったら今頃関係悪化ですぞ!」
「誠に申し訳なかった」
国王様を全力で叱る大臣の図……大人が子供を叱ってる図?
「今回の件は余りにも軽率過ぎました!よって国王様の竜コレクションは廃棄させていただきます」
「ちょ、ちょっと待ってくれそれだけはどうか勘弁して下さいこの通りお願いします」
と、国王様は大臣に向かって立派な……土下座を始めた。
「こ、国王様!?今仮にも国民の前だというのにこのようなことで土下座などしないで下さい!もうわかりました、わかりましたから次同じようなことをやったら絶対に廃棄いたしますからね」
「ありがとうございます」
そう言って席に戻る国王様を唖然として見つめる。
「あー、コホン。お騒がせして申し訳ない。ロイ殿、どうかこの事はご内密にお願いします」
そして何事も無かったかのように振る舞う大臣は、本当に大臣だなと思う。
「あ、はい」
まあ言っても信じてもらえないと思うけど。
「えー、もうおわかりだとは思いますが、メルク国王様は大変優秀で歴代国王の中でも優れた功績を幾つも成し遂げているのですが、その、大変な竜好きでして……」
「あ、はい……」
先程までの話や行動に加えて、国王様は今僕の膝の上にいるコンを見て目を輝かせている。
誰が見ても立派な竜好きだとわかるだろう。
「ふむ、余りに残念な王だということは理解した」
「こ、こらコン!」
急にそんなことを口にするコンの口を塞ぐ。
だがそれを聞いた国王は笑う。
「はっはっは、そんなことは理解しておる。実際今こうして国王をやっておるのはいつか本物の竜に会える可能性があると大臣が言ってくれたからだ」
何故か自慢気にそう言う国王様に対し、大臣はため息をつく。
「はぁ……あんなのその場凌ぎの言葉でしたのに、それまでまっっったく国王となるための勉強をしなかったメルク様が、急にやる気を出して兄達を追い抜き国王になるとは誰も思いませんでしたよ……」
これまでの話でどれだけ国王様が竜が好きだったのかを知ることが出来た。
そして国王様の事を知れば知るほど思うのだ。
「本当に国王様なのか?」
「コン、失礼だよ。……僕も思うけどさ」
「は、はい」
今、僕とコンは国王様に連れられて応接室の隣にある小さな部屋に居た。
そこは他の部屋が金色が目立つ部屋だったのに対して殆どが白で統一され、調度品の棚などは木製で白い塗料が塗られている物だけど施された彫刻などが細かく大変高価な物だとわかる。
そして部屋の真ん中には白いテーブルクロスを掛けられた丸机が置かれており、4つの椅子があった。
今現在の位置は奥の上座に国王、次に国王の左に大臣、そして国王の向かいに僕が座ってコンは僕の膝の上にいる。
「やっと落ち着いて話が出来るな」
椅子に座り、国王様がそう切り出した。
その言葉に大臣がため息をつく。
「はぁ……えー、まず私の方から発言させていただきますが、この度お呼びしたのはまず国としては竜種を従魔にするだけでも大変な脅威となるところ、その頂点である混沌竜を従魔にしたとのことで、その主について知っておくのは当然のことなのです」
そう大臣が国としての理由を述べる。
「それだけなら使者を派遣するだけでも良かったのですが……」
と、そこで大臣は言葉を切った。
「竜、それも混沌竜が召喚されたとあれば、その御姿を見る事が出来る絶好の機会ではないか!」
と、国王様が興奮して言う。
そんな国王様に対して大臣は冷ややかな視線を送る。
「ええ、隣国との貿易の話に行っていたのにその馬車の中で『混沌竜に会えるまたとない機会なのだ!貿易の事など後回しだ!!』等と……」
その発言に僕は危うく席を立ちそうになる程驚いた。
国王様は顔を強張らせる。
「う、それは済まなかったと……」
「済まなかったで済むものですか!幸い皆さん口堅い者ばかりだから良かったものの、あんな発言をもし会議中にしたらどうするつもりだったんですか!折角国王様が何年もかけて繋いだ信頼を御自身で壊されるつもりなんですか!!」
「い、いや大臣流石に会議中では……」
「竜に関する報告が入ったら他ごとを全部忘れられる国王様がそんなこと気にするものですか!外務大臣が何とか今話を進めているから良いものの、居なかったら今頃関係悪化ですぞ!」
「誠に申し訳なかった」
国王様を全力で叱る大臣の図……大人が子供を叱ってる図?
「今回の件は余りにも軽率過ぎました!よって国王様の竜コレクションは廃棄させていただきます」
「ちょ、ちょっと待ってくれそれだけはどうか勘弁して下さいこの通りお願いします」
と、国王様は大臣に向かって立派な……土下座を始めた。
「こ、国王様!?今仮にも国民の前だというのにこのようなことで土下座などしないで下さい!もうわかりました、わかりましたから次同じようなことをやったら絶対に廃棄いたしますからね」
「ありがとうございます」
そう言って席に戻る国王様を唖然として見つめる。
「あー、コホン。お騒がせして申し訳ない。ロイ殿、どうかこの事はご内密にお願いします」
そして何事も無かったかのように振る舞う大臣は、本当に大臣だなと思う。
「あ、はい」
まあ言っても信じてもらえないと思うけど。
「えー、もうおわかりだとは思いますが、メルク国王様は大変優秀で歴代国王の中でも優れた功績を幾つも成し遂げているのですが、その、大変な竜好きでして……」
「あ、はい……」
先程までの話や行動に加えて、国王様は今僕の膝の上にいるコンを見て目を輝かせている。
誰が見ても立派な竜好きだとわかるだろう。
「ふむ、余りに残念な王だということは理解した」
「こ、こらコン!」
急にそんなことを口にするコンの口を塞ぐ。
だがそれを聞いた国王は笑う。
「はっはっは、そんなことは理解しておる。実際今こうして国王をやっておるのはいつか本物の竜に会える可能性があると大臣が言ってくれたからだ」
何故か自慢気にそう言う国王様に対し、大臣はため息をつく。
「はぁ……あんなのその場凌ぎの言葉でしたのに、それまでまっっったく国王となるための勉強をしなかったメルク様が、急にやる気を出して兄達を追い抜き国王になるとは誰も思いませんでしたよ……」
これまでの話でどれだけ国王様が竜が好きだったのかを知ることが出来た。
そして国王様の事を知れば知るほど思うのだ。
「本当に国王様なのか?」
「コン、失礼だよ。……僕も思うけどさ」
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