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第一章 僕は普通の農民です
プルネリア王国
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「うぅ~、疲れた~」
今僕はベッドに横になり、何時もの白と黒の動く模様に戻ったコンを抱いていた。
「ふむ、ならば暫く仮眠を取ってはどうだ?」
「そうする……」
畑仕事を終えてからすぐにバタバタと王都へと来たため心身共に疲れた僕は、コンの提案に頷くとすぐに深い眠りについた。
「ロイ、ロイよ、そろそろ起きた方が良いのではないか?」
「ん、コンおはよう」
仮眠を始めてから約1時間、今は午後7時である。
「それじゃあご飯にしようか」
僕は透明化したコンと一緒に宿の食堂に行くと、沢山の人が飲み食いしていた。
僕は幾つもあるメニューの中から野菜スープを注文する。
そして運ばれてきたスープはとても美味しく、コッソリ少しだけコンにも分けるとそこそこ気に入ったみたいだった。
それから部屋に戻ってトイレと同室にある浴場に入る。
そこでコンの闇魔法で仕舞っていた桶を出し、それに水生成魔法で水を張り、火魔法で適温にまで温めてもらう。
ちなみに本来湯は受付で頼んで貰うものである。
そしてお湯にまた闇魔法で出してもらったタオルを浸けて、それで体を拭う。
使用後のお湯は排水口に流し、寝間着に着替えてベットに腰掛ける。
この時点でもう時間は9時をまわっていて、後は寝るだけである。
「ロイよ、少しいいか?」
「何かな、コン」
何となく膝の上にコンをのせて撫でていた僕に、コンが首を向けて言う。
「我はこの国について全くと言っていいほどよく知らぬのだが、教えてもらえないだろうか?」
「うん、いいよ。僕も学校で習ったことを少し覚えている程度だけどね」
「まずこの国の名前は『プルネリア王国』っていって、世界で最も南に位置する国らしいんだ。ただそんなに広くもない国だから特にこれといった大きな特徴はないらしいんだ」
勿論特産品の1つ2つはあるけど、この国と言えばこれ、といった特徴がないのだ。
「でも戦争もないし、皆優しくて温かいから、僕はこの国が大好きなんだけどね」
「ふむ……む、それだけか?」
予想より遥かに少なかったらしく、コンは首を傾げる。
「昔幾つもの集落を200年くらい前に纏めて作った国らしいから、歴史と言ってもあんまり大した物もないんだ。災害が少なくて戦争もない平和な国だから、余計に」
「ほう、そうであったか」
「でも、争いごとは無いに越したこと無いからね」
「ならば、ロイの村は国のどの辺りにあるのだ?」
「僕の村?僕の村は国で一番南端にあるんだ。理由はかいた……」
と、そこで突然「コンコン」と戸がノックされたので、僕はコンを膝から降ろして戸に向かう。
「あの、こんな時間にすみません」
戸の前に行くと、外からそうメルの声が聞こえた。
僕はあれ?と思いつつ戸を開ける。
「どうしたの?」
メルは少し落ち着かなさそうにもじもじしながら言う。
「えっと、その、お父さんには迷惑だからダメって言われたんだけど……」
メルは一度そこで周りを見渡してから小さな声で言う。
「その、さっき入り口で出してた従魔が気になって……」
「もしかしてコンのこと?」
「うん」
コン、確かに一度見ちゃうと気になっちゃうよね。
「とりあえず他の人が知っちゃうと騒ぎになるから、中に入って」
「失礼します」
そうして部屋に入ったメルは部屋の奥の方を見て、ベッドの上で寝そべるコンを見つけたらしく目を輝かせる。
「わぁ、あれってやっぱり本物の竜なの?」
珍しい、というより普通に過ごしていればまず目にすることすらない竜が目の前に居るのだから、当然の反応かもしれない。
「うん、そうだよ。触ってみる?」
「え、いいの?」
「いいよ。でもこの事はちゃんと内緒にね」
「うん、わかった!」
それから暫くコンを撫で続けていたメルであったが、部屋に居ない事に気付いて訪ねてきた父親に連れて行かれた。
そしていつの間にか時間が10時を過ぎていたため、僕はコンと同じベッドで明日に備えて眠る。
「……コン~。野菜、採れたよ~……」
「……ロイはこんな所に来ても農業の夢を見るのだな」
今僕はベッドに横になり、何時もの白と黒の動く模様に戻ったコンを抱いていた。
「ふむ、ならば暫く仮眠を取ってはどうだ?」
「そうする……」
畑仕事を終えてからすぐにバタバタと王都へと来たため心身共に疲れた僕は、コンの提案に頷くとすぐに深い眠りについた。
「ロイ、ロイよ、そろそろ起きた方が良いのではないか?」
「ん、コンおはよう」
仮眠を始めてから約1時間、今は午後7時である。
「それじゃあご飯にしようか」
僕は透明化したコンと一緒に宿の食堂に行くと、沢山の人が飲み食いしていた。
僕は幾つもあるメニューの中から野菜スープを注文する。
そして運ばれてきたスープはとても美味しく、コッソリ少しだけコンにも分けるとそこそこ気に入ったみたいだった。
それから部屋に戻ってトイレと同室にある浴場に入る。
そこでコンの闇魔法で仕舞っていた桶を出し、それに水生成魔法で水を張り、火魔法で適温にまで温めてもらう。
ちなみに本来湯は受付で頼んで貰うものである。
そしてお湯にまた闇魔法で出してもらったタオルを浸けて、それで体を拭う。
使用後のお湯は排水口に流し、寝間着に着替えてベットに腰掛ける。
この時点でもう時間は9時をまわっていて、後は寝るだけである。
「ロイよ、少しいいか?」
「何かな、コン」
何となく膝の上にコンをのせて撫でていた僕に、コンが首を向けて言う。
「我はこの国について全くと言っていいほどよく知らぬのだが、教えてもらえないだろうか?」
「うん、いいよ。僕も学校で習ったことを少し覚えている程度だけどね」
「まずこの国の名前は『プルネリア王国』っていって、世界で最も南に位置する国らしいんだ。ただそんなに広くもない国だから特にこれといった大きな特徴はないらしいんだ」
勿論特産品の1つ2つはあるけど、この国と言えばこれ、といった特徴がないのだ。
「でも戦争もないし、皆優しくて温かいから、僕はこの国が大好きなんだけどね」
「ふむ……む、それだけか?」
予想より遥かに少なかったらしく、コンは首を傾げる。
「昔幾つもの集落を200年くらい前に纏めて作った国らしいから、歴史と言ってもあんまり大した物もないんだ。災害が少なくて戦争もない平和な国だから、余計に」
「ほう、そうであったか」
「でも、争いごとは無いに越したこと無いからね」
「ならば、ロイの村は国のどの辺りにあるのだ?」
「僕の村?僕の村は国で一番南端にあるんだ。理由はかいた……」
と、そこで突然「コンコン」と戸がノックされたので、僕はコンを膝から降ろして戸に向かう。
「あの、こんな時間にすみません」
戸の前に行くと、外からそうメルの声が聞こえた。
僕はあれ?と思いつつ戸を開ける。
「どうしたの?」
メルは少し落ち着かなさそうにもじもじしながら言う。
「えっと、その、お父さんには迷惑だからダメって言われたんだけど……」
メルは一度そこで周りを見渡してから小さな声で言う。
「その、さっき入り口で出してた従魔が気になって……」
「もしかしてコンのこと?」
「うん」
コン、確かに一度見ちゃうと気になっちゃうよね。
「とりあえず他の人が知っちゃうと騒ぎになるから、中に入って」
「失礼します」
そうして部屋に入ったメルは部屋の奥の方を見て、ベッドの上で寝そべるコンを見つけたらしく目を輝かせる。
「わぁ、あれってやっぱり本物の竜なの?」
珍しい、というより普通に過ごしていればまず目にすることすらない竜が目の前に居るのだから、当然の反応かもしれない。
「うん、そうだよ。触ってみる?」
「え、いいの?」
「いいよ。でもこの事はちゃんと内緒にね」
「うん、わかった!」
それから暫くコンを撫で続けていたメルであったが、部屋に居ない事に気付いて訪ねてきた父親に連れて行かれた。
そしていつの間にか時間が10時を過ぎていたため、僕はコンと同じベッドで明日に備えて眠る。
「……コン~。野菜、採れたよ~……」
「……ロイはこんな所に来ても農業の夢を見るのだな」
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