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第一章 僕は普通の農民です
普通の僕の、異常な召喚
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そうしてひたすら祈り続け、その内10分が過ぎた。
前例の無いそのあまりの長さに神官、そして村の人達も疑問に感じ始める。
そしてざわざわと騒がしくなるなかでも、僕はただひたすらに祈り続ける。
そうして祈り続けること30分、新人神官はこれは呼び掛けに応じる者が居なかった、なんて史上初めての事態になったのではないかと思い中止をしようとした。
その時、魔法陣が前代未聞の挙動を起した。
魔法陣が急に物凄い光度の純白の光の粒と、そしてその白い光を喰らうような黒い光の粒を撒き散らし始めたのだ。
そして直径3メートルの魔法陣が急に膨張を始め、直径20メートルにも及ぶ巨大な魔法陣になった。
そして白と黒の光は魔法陣に書かれてある模様や文字から更に激しく迸り、天に浮かぶ太陽の光を凌駕する程の光量になる。
その余りに激し過ぎる光は、しかし人々の目を潰すことはない、不思議な光だった。
迸る光の中からうまれる光の粒は、段々一つに集まり始める。
まず巨大な鋭い爪を持つガッシリした4本脚が舞台をガッシリと踏みしめる。
次にその脚に合った胴体が形を現し、そして長い尻尾が胴体の後ろから伸びる。
更に光の粒は首、そして巨大な口を持つ頭を形作る。
そして最後に前足のある場所の背中から、巨大な1対の羽が生える。
そして強烈な光の奔流が収まった時、そこには巨大な竜が佇んでいた。
「……りゅ、りゅりゅ、竜……?」
神官がその巨大な竜の背中を見て腰を抜かし、尻餅をついて唖然としている。
村人に家族、そしてソフィもそのあまりに常識外れの現象の後に現れた、圧倒的な存在感を放つ巨大な竜に言葉を失う。
「ふむ、お主が我を呼ぶ者か」
その、恐らく竜が発した声を受けて、僕はようやく顔を上げる。
30分、ずっと目を瞑ったまま従魔が召喚されるのを待ち続け、そして激しい光の奔流にも魔法陣の広がりにも一切気を緩めることなく祈り続けたので、僕はようやくその竜の姿を目にしたのだ。
その巨大な竜は不思議な色をしていた。
体中にある鱗全てが、まるで連続しているかのように白と黒の2色が常にゆっくりと流れ、他の鱗と色が繋がっている。
その安定しない色の移り変わりを眺め、そして顔を上げて巨大な竜と目を合わせる。
「君が、僕の従魔?」
僕は、目の前にいるその巨大な竜にそう問いかける。
「いかにも」
僕はその圧倒的な存在感の竜に、無意識に微笑んでいた。
「従魔契約、始めてもいいかな?」
「ああ、そのために我を呼んだのであろう?」
竜はそう言うと、静かに頭を僕の前に持ってきた。
「我、従魔を呼びし者也。我は従魔とともに歩んでいくことを誓う」
そう唱え、僕は何故か無意識に針で人差し指を深く突き刺す。
そして指から血の筋を作り流れ落ちる血は全て竜の頭に注ぐ。
流した血は竜の頭で弾け、今度は温かい黄金の光が僕と竜を包み込む。
「これからよろしくね」
「変わった人間だな。だが我は大変気に入った、我はお主とともに歩もう」
これが人類初の混沌竜との従魔契約が成立した瞬間であり、そして僕の従魔が決まった瞬間であった。
前例の無いそのあまりの長さに神官、そして村の人達も疑問に感じ始める。
そしてざわざわと騒がしくなるなかでも、僕はただひたすらに祈り続ける。
そうして祈り続けること30分、新人神官はこれは呼び掛けに応じる者が居なかった、なんて史上初めての事態になったのではないかと思い中止をしようとした。
その時、魔法陣が前代未聞の挙動を起した。
魔法陣が急に物凄い光度の純白の光の粒と、そしてその白い光を喰らうような黒い光の粒を撒き散らし始めたのだ。
そして直径3メートルの魔法陣が急に膨張を始め、直径20メートルにも及ぶ巨大な魔法陣になった。
そして白と黒の光は魔法陣に書かれてある模様や文字から更に激しく迸り、天に浮かぶ太陽の光を凌駕する程の光量になる。
その余りに激し過ぎる光は、しかし人々の目を潰すことはない、不思議な光だった。
迸る光の中からうまれる光の粒は、段々一つに集まり始める。
まず巨大な鋭い爪を持つガッシリした4本脚が舞台をガッシリと踏みしめる。
次にその脚に合った胴体が形を現し、そして長い尻尾が胴体の後ろから伸びる。
更に光の粒は首、そして巨大な口を持つ頭を形作る。
そして最後に前足のある場所の背中から、巨大な1対の羽が生える。
そして強烈な光の奔流が収まった時、そこには巨大な竜が佇んでいた。
「……りゅ、りゅりゅ、竜……?」
神官がその巨大な竜の背中を見て腰を抜かし、尻餅をついて唖然としている。
村人に家族、そしてソフィもそのあまりに常識外れの現象の後に現れた、圧倒的な存在感を放つ巨大な竜に言葉を失う。
「ふむ、お主が我を呼ぶ者か」
その、恐らく竜が発した声を受けて、僕はようやく顔を上げる。
30分、ずっと目を瞑ったまま従魔が召喚されるのを待ち続け、そして激しい光の奔流にも魔法陣の広がりにも一切気を緩めることなく祈り続けたので、僕はようやくその竜の姿を目にしたのだ。
その巨大な竜は不思議な色をしていた。
体中にある鱗全てが、まるで連続しているかのように白と黒の2色が常にゆっくりと流れ、他の鱗と色が繋がっている。
その安定しない色の移り変わりを眺め、そして顔を上げて巨大な竜と目を合わせる。
「君が、僕の従魔?」
僕は、目の前にいるその巨大な竜にそう問いかける。
「いかにも」
僕はその圧倒的な存在感の竜に、無意識に微笑んでいた。
「従魔契約、始めてもいいかな?」
「ああ、そのために我を呼んだのであろう?」
竜はそう言うと、静かに頭を僕の前に持ってきた。
「我、従魔を呼びし者也。我は従魔とともに歩んでいくことを誓う」
そう唱え、僕は何故か無意識に針で人差し指を深く突き刺す。
そして指から血の筋を作り流れ落ちる血は全て竜の頭に注ぐ。
流した血は竜の頭で弾け、今度は温かい黄金の光が僕と竜を包み込む。
「これからよろしくね」
「変わった人間だな。だが我は大変気に入った、我はお主とともに歩もう」
これが人類初の混沌竜との従魔契約が成立した瞬間であり、そして僕の従魔が決まった瞬間であった。
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