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第一章 僕は普通の農民です

従魔召喚の儀の前に

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 翌朝の5時、僕は戸を開けて庭に出る。
 朝の新鮮な空気を胸いっぱいに吸って吐き出す。
 そうして朝の水やりとタームと呼ばれる家畜のエサやり、そして乳搾りを行う。
「おう、もうやってんのかロイ。何時もの事ながら早いなぁ」
「おはよう父さん、エサやりがまだ半分だから手伝って」
 作業を始めて約一時間が過ぎ、ようやく父さんが作業に加わる。
 それから二人で作業を終わらせて家に戻ると、母と妹が作った朝ごはんの匂いがしてお腹が鳴る。
「あ、お兄ちゃんおはよー」
「おはようミリィ、母さん」
「おはよう。それじゃあご飯にしましょうか」
 丸いちゃぶ台に父から時計回りに母、妹、僕の順で座り、手を合わせる。
「「「「いただきます」」」」



 ご飯を食べ終えて少々の雑談をしていると9時少し前となり、僕はソフィに会う為家を出る。

 幼馴染のソフィの家の前に行くと、丁度ソフィの兄のレンが出てきたのでソフィを呼んでくれた。
 ちなみに、仲が良いので親同士が将来結婚なり何なりと話しているのを聞いたことがあるが、それに関してはお互い直接言ったことはないが、それでいいかなと思っていたりする。
 そんなことを思い出していると、ソフィがちょっと急いで出てきた。
「おはよう、ロイ君」
「おはようソフィ」
 朝早くから来たものの、召喚の儀は昼からなので二人で近くを散歩する。

「楽しみだね、従魔召喚の儀」
「そうだね」
「どんな従魔が来るかなぁ」
「ソフィならきっと可愛い従魔が来るんじゃないかな?」
「そうだといいな~」
 そんなことを話しながら適当にブラブラ散歩して、10時50分に村の真ん中にある広場に着いた。

「おお、ロイ、ソフィも来たか。これで今年の子供は全員揃ったか」
 と、村長さんが僕達に気付いてそう言う。
 ちなみに僕と同じ年の子供は僕も含めて5人、ちょっとだけ例年より多いそう。
「ではそろそろ従魔召喚の儀を始めようかの」



 村の広場の真ん中には大きな白い石で出来た25メートル四方もの舞台があり、その真ん中で従魔召喚の儀は行われる。
 従魔召喚には魔法に精通している者が必要なため協会、正式名称『魔法研究協会』と言う魔法研究のために創られた協会から各地に派遣される神官が従魔召喚を行うのだ。
 ちなみに魔法研究協会は『魔法は神から与えられた力』という考え方があるため、教会の役割も果たしている。

「では従魔召喚の儀を執り行う前に、一つ誓いを立てよ!」
 恐らく20代後半と思われる(恐らく新人の)神官が重々しい表情と声で、広場の隅々まで声を響かせる。



「今年15となる者達よ、従魔召喚の儀で呼ぶ者には皆、どの様な者であっても皆意志があり、感情があり、そして命がある!」

「たとえ自身の望む従魔と違えどそれは大切な存在である!決して従魔を『物』と思う事なかれ!それは生涯をともに過ごす仲間であり、家族であり、パートナーである!」 

「これから召喚される従魔とともに、これからの人生を歩んでいく覚悟の無い者は即刻辞退し、覚悟がある者のみこの場に残りなさい!」



 これは毎年派遣される神官が言う事ではあるのだが、見ている側の時はただ何となく聞いていたこの言葉が、従魔とともに過ごすということの責任を改めて意識させられる。
 そして約一分程間を置き、神官は重々しい雰囲気を柔らかくする。

「皆、従魔とともに歩む覚悟がある者と判断する!これより従魔召喚の儀を執り行う」



 そうして、従魔召喚の儀は始まった。
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