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第一章 生きる意味
サイクル
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この世界に降り立ってから五日が過ぎた午前四時、俺は一人静かにベットから起き上がって教会の裏庭へ向かう。
そして裏庭にある井戸から水を汲んで顔を洗い、俺は虚空から一本の白い刀身に漆黒の刃を持つ片手剣を取り出す。
本当は俺の相棒であったオリハルコンとアダマンタイトを使った超特殊な剣『アオの剣』を使いたい所だが、それは魔王との決戦でボロボロになって今にも壊れそうなため、いつか腕の立つ武器職人に修理もしくは新しく作ってもらいたい所だ。
今手に持っているのはそのアオの剣の前身である昔の相棒『ミアの剣』で、その刀身には魔力を良く通すミスリル、刃部分には最も硬いアダマンタイトを使った一品だ。
アオの剣、ミアの剣共に使用した金属の頭文字を取っただけのなんの捻りもない物だが、その性能は一級品だ。
とまあ剣のことはさておき、俺は井戸から少し離れた場所で誰も近づかぬように、誰の迷惑にもならぬように防御魔法を俺の周囲三メートルに張り巡らせてから素振りを始める。
これは俺が元居た世界で行っていた日課である。
人類が滅んだ辺りからその余裕もなくなったので素振りは行っていなかったものの、やはり身に染みた習慣は消えぬようで朝一は素振りをしなければ落ち着かなかったのだ。
一回、二回、三回、四回、五回……
俺は頭を空っぽにしてひたすら剣を振り続ける。
しかし幾ら昔使っていた物とはいえ、ここ最近使っていなかったせいで微かな重心のズレに違和感を感じて満足行く剣筋は少しだけ減っていた。
とはいえあと数日もこうして振っていればすぐに違和感も無くなるだろうと思い降り続ける。
そうして降り続けること一時間、俺は素振り千回の日課を終えたので剣を虚空にしまい、今度は座禅を組んで地べたに座り込む。
そうして行うのは精神統一と魔力の循環。
まずは魔力を体内で循環させ、その一部を体外で綺麗な円を描くようにイメージしながら体内に戻して再び循環させることを繰り返す。
そうして魔力循環が上手く行くようになったなら、今度は心を無にしながら無意識で魔力循環が乱れないようにコントロールし続ける。
これは魔力循環を呼吸するのと同じレベルで行えなければ不可能である。
最初の頃は精神統一と魔力循環を両立させることが出来ずに居たものの、これを始めて二年もすれば何とか両立出来るようになっていた。
とはいえその頃と今では魔力循環の精密さは段違いだし、元々魔法の使い方の荒い俺だから今の魔力循環もまだまだ精度を上げる余地は残っていた。
そうして特訓すること一時間足らず、小さな村中に鐘の音が響く。
これは午前六時の時報であり、一日の始まりの合図だ。
俺は座禅を解いて先程までの修練でかいた汗を魔法で飛ばして匂いも無くし、井戸でバケツに水を汲んで礼拝堂へと歩いて向う。
そうそうこの教会は小さな村にある小さな教会という事で、管理しているのはメリスとメリスの父と母、今は五歳の男女の双子の計五人の家族であるという。
礼拝堂に向けて廊下を歩いて居ると、一室からメリスと双子の声が聞こえてきた。
「もう朝だよ、起きなさい」
「やーだー、ねーむーい!」
「お兄ちゃんうるさーいー」
「早く起きないと朝ご飯食べられないよ?」
「それはやだ!でもねむいのー!」
「うるさいー!」
起こすのに中々難儀しているようだ。
俺の村もそうだったが、まず農村生まれなら五歳になれば必ず朝の崇拝が義務付けられていた。
まあ本当の意味での義務ではないが、それをしないと周りの目が怖い事になる。
俺も昔は神に祈ってたなぁ……ま、戦士になってからは全く持って助けてくれない神なんぞに祈る事がバカバカしくなって祈らなくなったが。
そんな事を考えつつそこそこの広さを持つ礼拝堂に着くと、俺は綺麗目な雑巾を手に取って座席を拭き始める。
これは朝の七時がこの礼拝堂で朝のお祈りをする時間であり、その際村人が座る座席を綺麗に保つ必要があるからだ。
とはいえ村人全員を収容するには少々規模が足りないため、各家々が日々ローテーションでここに来る人を決めるようになっている。
こちらに来れない人は自宅とか仕事中なら仕事場で祈るそうで、その辺りも俺の村とあまり変わりがないなと感じる。
そうして7時の少し前から人が集まり始め、朝の崇拝の時間には今日訪れる村人が全員揃っていた。
俺は礼拝堂の隅で立って静かにイメージトレーニングを始める。
俺は別にパトリシアを崇拝してる訳でもねぇし、神に祈るより自分を高めた方が明らかに有意義だからな。
ちなみに内容は『魔物と相対する時』だ。
やはりそれを考えると恐怖で汗が流れるのだが、それは魔法ですぐさま発散させながら気分が悪くなるギリギリまで思考を続ける。
早く治さねぇと戦闘が出来ねぇからな……このままじゃ魔王討伐なんて夢のまた夢だ。
朝の崇拝が終わり、俺は礼拝堂の床掃除を三十分程で終わらせると村で出来る事を何でも行うようにしている。
昨日は村中の家を周り隙間風や雨漏りなどがある家を魔法を駆使して塞いでいた。
一昨日は村中の落ち葉なんかを風魔法でまとめて空中で火をつけ、肥料に使えるよう色々混ぜて村の隅に置いたりしていた。
今日することはこの村の自警団の訓練だ。
俺は元々戦士だし、それ以前に実は元の世界の俺の立場は『スクリッド王国天翼の騎士団所属、魔王討伐遠征部隊隊長』という長ったらしい身分であったため、こういった集団訓練は慣れているのだ。
まー俺の服装や武器に態度などから騎士じゃなくて冒険者だと思われがちなのだが、これでも一応国家所属の騎士であった。
それも国内ではずば抜けて優秀であったので、産まれが田舎の農家の次男坊であったが貴族様の圧力なんか撥ね退けて騎士団長の位にあった。
まあそれも今は遠い過去の話。
国家の滅んだ今では身分を保証してくれる者も居ないのでただの流れ着いた旅人に過ぎない。
ここでの俺の設定は『遠い大陸産まれの国に仕えた騎士で、強かったから騎士団長の位にあった』という少しばかり嘘を混ぜた物となっている。
その話とメリスの父である神父様からの推薦により俺流の訓練をする事が決まったのだ。
その結果はまあ、危機感の薄い小さな村の自警団であるのでかなーり手を抜いたメニューで音を上げていたがな。
俺は彼らよりも厳しいメニューを目の前でやっていたので文句を言われることはなかったが。
そうして夕食は七時頃なのだが、六時には教会の裏で神父様と拳を交える。
「フッ!」
「グゥ!」
神父の放つ鋭い左パンチが俺の腹目掛けて繰り出される。
俺はそれを右手で受けて右へと逸らして体を回しパンチの勢いも乗せて全力の回し蹴りを横っ腹目掛けて繰り出す。
それを神父はバックステップで躱し、直後強く地面を踏みしめショルダータックルを仕掛ける。
それを右へのステップで躱そうとするが左腕を横に伸ばしてラリアットを狙う神父。
それを全力で背を反らして紙一重で回避すると俺も一旦その場を離れ、神父と再び向き直る。
「ガルーダ殿は本当にお強いですな」
「一応俺は戦場を駆け抜けて来たもんでね、ハリスも実戦に身を置けばすぐに同じ所まで来れるはずだぜ?なんせなんでこんな平和な田舎にいんのか不思議なくらいだ」
神父はかなり強かった。
そうそう神父と一口に言っても戦い方は大まかに二パターンがあり、『僧侶』と『武闘家』だ。
僧侶六、武闘家三ぐらいの割合で、あと一割は『神官戦士』と呼ばれる剣や盾なんかの武具を持って前線で大暴れする感じなのだが、それは数少ないのでここでは省く。
僧侶は基本的に誰もが想像するような癒やしの力やお祓いなんかを魔法のみで行うこれぞ神官といったモヤシだ。
そして武闘家は目の前の彼のような肉体を鍛え上げ、その身に魔法を纏って戦う者の事を指し、治癒やお祓いなんかも大人数を行うのは苦手だが、単体の治癒や戦いであれば僧侶とは比較にならない強さを持つ。
「ははは、貴方のようなお方にそう言われるとは大変光栄にございます」
神父は構えを解かぬままそう笑顔で言う。
「よせや。俺は戦う事しか脳のねぇ戦士、お前は人を導ける神官だろ?」
それに若干顔を顰めて答える。
「そうご謙遜なされますな。私は人々に疎まれ飛ばされた身、貴方の方がご立派かと」
「なるほど、強いからこそ功績上げないように平和な辺境に飛ばされたと。チッ、どこでも変わんねぇもんだなぁ人間って奴は」
「それは誠に同感ですが、話の続きは鍛錬を終えてからにしましょう」
「おうよ!次は魔法も織り交ぜるか?」
「ええ、その胸お借り致します」
「来いやぁ!」
そうして夜七時前まで神父と拳を交わし、最後は井戸で汲んだ水で軽く汗を流してから教会の一室へと共に向かう。
「私もまだまだ精進せねば」
「いやいやハリスは十分強えよ。俺とあんたで違うのは実戦経験の有無だけだ」
「本当にガルーダさんはお強いのですね」
「ガルーダにーちゃんすっごく強いの!」
「じけいだんよりすっごいの!」
「こらケン、コフィー、食事中は席を立たないの」
「「はーい」」
そんな会話の絶えない食卓を俺も含めた六人で囲み、素朴ながら美味しい食事をいただく。
今日のメインは『茸猪の燻製』で、全身に茸を生やした猪を茸と一緒に燻製にしたものだ。
昨日は茸猪のステーキだったのだが、燻製にしたものもまた美味かった。
そういや一応肉が禁止の宗教もあるっちゃあるんだが、そういう所には武闘家は居なくてモヤシばかりと相場が決まっているので神父が武闘家な時点でお察しだ。
食事を終えたら俺はハリスともう一度井戸で今度は念入りに濡れタオルで体を洗い、終わったら入れ替わりでメリス達が洗う。
俺は洗い終えたら貸し与えられた部屋に戻ってベットに潜り眠りに落ちる。
これが今の俺の生活であった。
そして裏庭にある井戸から水を汲んで顔を洗い、俺は虚空から一本の白い刀身に漆黒の刃を持つ片手剣を取り出す。
本当は俺の相棒であったオリハルコンとアダマンタイトを使った超特殊な剣『アオの剣』を使いたい所だが、それは魔王との決戦でボロボロになって今にも壊れそうなため、いつか腕の立つ武器職人に修理もしくは新しく作ってもらいたい所だ。
今手に持っているのはそのアオの剣の前身である昔の相棒『ミアの剣』で、その刀身には魔力を良く通すミスリル、刃部分には最も硬いアダマンタイトを使った一品だ。
アオの剣、ミアの剣共に使用した金属の頭文字を取っただけのなんの捻りもない物だが、その性能は一級品だ。
とまあ剣のことはさておき、俺は井戸から少し離れた場所で誰も近づかぬように、誰の迷惑にもならぬように防御魔法を俺の周囲三メートルに張り巡らせてから素振りを始める。
これは俺が元居た世界で行っていた日課である。
人類が滅んだ辺りからその余裕もなくなったので素振りは行っていなかったものの、やはり身に染みた習慣は消えぬようで朝一は素振りをしなければ落ち着かなかったのだ。
一回、二回、三回、四回、五回……
俺は頭を空っぽにしてひたすら剣を振り続ける。
しかし幾ら昔使っていた物とはいえ、ここ最近使っていなかったせいで微かな重心のズレに違和感を感じて満足行く剣筋は少しだけ減っていた。
とはいえあと数日もこうして振っていればすぐに違和感も無くなるだろうと思い降り続ける。
そうして降り続けること一時間、俺は素振り千回の日課を終えたので剣を虚空にしまい、今度は座禅を組んで地べたに座り込む。
そうして行うのは精神統一と魔力の循環。
まずは魔力を体内で循環させ、その一部を体外で綺麗な円を描くようにイメージしながら体内に戻して再び循環させることを繰り返す。
そうして魔力循環が上手く行くようになったなら、今度は心を無にしながら無意識で魔力循環が乱れないようにコントロールし続ける。
これは魔力循環を呼吸するのと同じレベルで行えなければ不可能である。
最初の頃は精神統一と魔力循環を両立させることが出来ずに居たものの、これを始めて二年もすれば何とか両立出来るようになっていた。
とはいえその頃と今では魔力循環の精密さは段違いだし、元々魔法の使い方の荒い俺だから今の魔力循環もまだまだ精度を上げる余地は残っていた。
そうして特訓すること一時間足らず、小さな村中に鐘の音が響く。
これは午前六時の時報であり、一日の始まりの合図だ。
俺は座禅を解いて先程までの修練でかいた汗を魔法で飛ばして匂いも無くし、井戸でバケツに水を汲んで礼拝堂へと歩いて向う。
そうそうこの教会は小さな村にある小さな教会という事で、管理しているのはメリスとメリスの父と母、今は五歳の男女の双子の計五人の家族であるという。
礼拝堂に向けて廊下を歩いて居ると、一室からメリスと双子の声が聞こえてきた。
「もう朝だよ、起きなさい」
「やーだー、ねーむーい!」
「お兄ちゃんうるさーいー」
「早く起きないと朝ご飯食べられないよ?」
「それはやだ!でもねむいのー!」
「うるさいー!」
起こすのに中々難儀しているようだ。
俺の村もそうだったが、まず農村生まれなら五歳になれば必ず朝の崇拝が義務付けられていた。
まあ本当の意味での義務ではないが、それをしないと周りの目が怖い事になる。
俺も昔は神に祈ってたなぁ……ま、戦士になってからは全く持って助けてくれない神なんぞに祈る事がバカバカしくなって祈らなくなったが。
そんな事を考えつつそこそこの広さを持つ礼拝堂に着くと、俺は綺麗目な雑巾を手に取って座席を拭き始める。
これは朝の七時がこの礼拝堂で朝のお祈りをする時間であり、その際村人が座る座席を綺麗に保つ必要があるからだ。
とはいえ村人全員を収容するには少々規模が足りないため、各家々が日々ローテーションでここに来る人を決めるようになっている。
こちらに来れない人は自宅とか仕事中なら仕事場で祈るそうで、その辺りも俺の村とあまり変わりがないなと感じる。
そうして7時の少し前から人が集まり始め、朝の崇拝の時間には今日訪れる村人が全員揃っていた。
俺は礼拝堂の隅で立って静かにイメージトレーニングを始める。
俺は別にパトリシアを崇拝してる訳でもねぇし、神に祈るより自分を高めた方が明らかに有意義だからな。
ちなみに内容は『魔物と相対する時』だ。
やはりそれを考えると恐怖で汗が流れるのだが、それは魔法ですぐさま発散させながら気分が悪くなるギリギリまで思考を続ける。
早く治さねぇと戦闘が出来ねぇからな……このままじゃ魔王討伐なんて夢のまた夢だ。
朝の崇拝が終わり、俺は礼拝堂の床掃除を三十分程で終わらせると村で出来る事を何でも行うようにしている。
昨日は村中の家を周り隙間風や雨漏りなどがある家を魔法を駆使して塞いでいた。
一昨日は村中の落ち葉なんかを風魔法でまとめて空中で火をつけ、肥料に使えるよう色々混ぜて村の隅に置いたりしていた。
今日することはこの村の自警団の訓練だ。
俺は元々戦士だし、それ以前に実は元の世界の俺の立場は『スクリッド王国天翼の騎士団所属、魔王討伐遠征部隊隊長』という長ったらしい身分であったため、こういった集団訓練は慣れているのだ。
まー俺の服装や武器に態度などから騎士じゃなくて冒険者だと思われがちなのだが、これでも一応国家所属の騎士であった。
それも国内ではずば抜けて優秀であったので、産まれが田舎の農家の次男坊であったが貴族様の圧力なんか撥ね退けて騎士団長の位にあった。
まあそれも今は遠い過去の話。
国家の滅んだ今では身分を保証してくれる者も居ないのでただの流れ着いた旅人に過ぎない。
ここでの俺の設定は『遠い大陸産まれの国に仕えた騎士で、強かったから騎士団長の位にあった』という少しばかり嘘を混ぜた物となっている。
その話とメリスの父である神父様からの推薦により俺流の訓練をする事が決まったのだ。
その結果はまあ、危機感の薄い小さな村の自警団であるのでかなーり手を抜いたメニューで音を上げていたがな。
俺は彼らよりも厳しいメニューを目の前でやっていたので文句を言われることはなかったが。
そうして夕食は七時頃なのだが、六時には教会の裏で神父様と拳を交える。
「フッ!」
「グゥ!」
神父の放つ鋭い左パンチが俺の腹目掛けて繰り出される。
俺はそれを右手で受けて右へと逸らして体を回しパンチの勢いも乗せて全力の回し蹴りを横っ腹目掛けて繰り出す。
それを神父はバックステップで躱し、直後強く地面を踏みしめショルダータックルを仕掛ける。
それを右へのステップで躱そうとするが左腕を横に伸ばしてラリアットを狙う神父。
それを全力で背を反らして紙一重で回避すると俺も一旦その場を離れ、神父と再び向き直る。
「ガルーダ殿は本当にお強いですな」
「一応俺は戦場を駆け抜けて来たもんでね、ハリスも実戦に身を置けばすぐに同じ所まで来れるはずだぜ?なんせなんでこんな平和な田舎にいんのか不思議なくらいだ」
神父はかなり強かった。
そうそう神父と一口に言っても戦い方は大まかに二パターンがあり、『僧侶』と『武闘家』だ。
僧侶六、武闘家三ぐらいの割合で、あと一割は『神官戦士』と呼ばれる剣や盾なんかの武具を持って前線で大暴れする感じなのだが、それは数少ないのでここでは省く。
僧侶は基本的に誰もが想像するような癒やしの力やお祓いなんかを魔法のみで行うこれぞ神官といったモヤシだ。
そして武闘家は目の前の彼のような肉体を鍛え上げ、その身に魔法を纏って戦う者の事を指し、治癒やお祓いなんかも大人数を行うのは苦手だが、単体の治癒や戦いであれば僧侶とは比較にならない強さを持つ。
「ははは、貴方のようなお方にそう言われるとは大変光栄にございます」
神父は構えを解かぬままそう笑顔で言う。
「よせや。俺は戦う事しか脳のねぇ戦士、お前は人を導ける神官だろ?」
それに若干顔を顰めて答える。
「そうご謙遜なされますな。私は人々に疎まれ飛ばされた身、貴方の方がご立派かと」
「なるほど、強いからこそ功績上げないように平和な辺境に飛ばされたと。チッ、どこでも変わんねぇもんだなぁ人間って奴は」
「それは誠に同感ですが、話の続きは鍛錬を終えてからにしましょう」
「おうよ!次は魔法も織り交ぜるか?」
「ええ、その胸お借り致します」
「来いやぁ!」
そうして夜七時前まで神父と拳を交わし、最後は井戸で汲んだ水で軽く汗を流してから教会の一室へと共に向かう。
「私もまだまだ精進せねば」
「いやいやハリスは十分強えよ。俺とあんたで違うのは実戦経験の有無だけだ」
「本当にガルーダさんはお強いのですね」
「ガルーダにーちゃんすっごく強いの!」
「じけいだんよりすっごいの!」
「こらケン、コフィー、食事中は席を立たないの」
「「はーい」」
そんな会話の絶えない食卓を俺も含めた六人で囲み、素朴ながら美味しい食事をいただく。
今日のメインは『茸猪の燻製』で、全身に茸を生やした猪を茸と一緒に燻製にしたものだ。
昨日は茸猪のステーキだったのだが、燻製にしたものもまた美味かった。
そういや一応肉が禁止の宗教もあるっちゃあるんだが、そういう所には武闘家は居なくてモヤシばかりと相場が決まっているので神父が武闘家な時点でお察しだ。
食事を終えたら俺はハリスともう一度井戸で今度は念入りに濡れタオルで体を洗い、終わったら入れ替わりでメリス達が洗う。
俺は洗い終えたら貸し与えられた部屋に戻ってベットに潜り眠りに落ちる。
これが今の俺の生活であった。
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