竜の生涯

アルセクト

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白竜

白竜(3)

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 眠ってから幾らかして、何だか少しお腹が変な感じがして目を覚ます。

「ピィィ、ピィ」
「グルル」
 
 鳴くと僕をグルリと体を丸くして包み込んでいた大きいのが不機嫌そうに唸る。

「ピィ、ピィィ」
「グル」

 でも変な感じが続くのでもう一度鳴くと、大きいのは面倒くさそうに僕の体を咥えて運ぶ。
 向かうのは何かを破る時に射し込んだ物が入ってくる所。

「グルル」

 大きいのは僕の体を咥えたまま射し込んで来る物の元へ晒し、そのままジッと動かない。

「ピィー」
「グルル」

 一体何をしているのかわからず鳴くと、僕を咥えたまま唸る。
 そのままブラブラと揺られていると、何だか変な感じがして体の中から何かが出てきた。
 その感覚に身を任せて出てくる物を全部出すと、何だか変な感じが無くなった。

「ピィ!」
「グルルル」

 変な感じが無くなってホッとすると、大きいのは少しだけ後ろに下がると僕を下ろす。
 そして大きいのが口を開けると中から何かが飛び出した。

「ピ、ピィ!?」

 その飛び出した何かは僕の体に纏わり付いて、全身を弄る。
 大きいのの口とも硬い何かとも違う、柔らかいとは少し違う何かの感覚。
 舐め回された時に付いた物と赤いのを噛んだ時に溢れた物と似ている気がする。
 そうして不思議な感覚を味わっていると、不意に不思議なのが体から離れて体から出た何かと同じ所に落ちていった。

「ピィィ?」
「ガル」

 一体何だったんだろうと落とした所にトコトコと歩いて行ってみると、大きいのが僕の体をヒョイと咥えて寝ていた所まで運ぶ。

「ピィ」
「グルル……」

 さっきのが何だったのか気になると、落とした方を見ながら鳴くと大きいのは行ってはダメだと僕をグルリと体で囲んで動けなくする。
 見に行きたくてペチペチ体を叩くものの、大きいのはビクともしない。
 そうしてペチペチ、ペチペチ、ペチペチと叩き続けて、何だか疲れて来たから目を閉じて眠る事にした。
 お腹の変な感じが無くなったから、きっとまたゆっくりと眠れそう。
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