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白竜
白竜(2)
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温かい何かに包まれて眠り、目が覚めると薄ボンヤリとした視界が前よりもハッキリとして、温かい何かが僕を見つめている事に気が付いた。
でも僕はそんな事よりもお腹が空いて仕方が無かった。
「ピィー!ピィー!」
「グルル……」
お腹が空いたと叫ぶ僕に温かい何かは、その体の後ろから茶色い何かを咥えて目の前に落とす。
その時ドスッと音を立てたそれが起こした風に煽られて、僕は耐えきれずに尻餅をついた。
ポカンと口を開けて呆ける僕に、それを落とした何かは心配そうに「グルル」と低く唸り、その顔を近付けて僕を咥えて茶色い何かの上に優しく下ろす。
そうして茶色い物の上に置かれた僕は、良い匂いのする茶色い物を囓る。
最初は何だかモフモフとした何かが不味くてペッペと吐き出して、それでも美味しそうだからと千切り続けると、茶色い何かの中から赤い何かが出てきた。
そうすると良い匂いはより一層強くなり、僕は匂いに誘われるまま赤い何かに齧り付く。
「ピィ!」
僕はさっきまで茶色くて不味かった何かがとても美味しくなっていて、驚きから声を上げる。
それから赤い何かに顔を埋めて必死に千切っては飲み込み、千切っては飲み込みを繰り返して赤い何かの中に体まで埋めてから顔を上げようとする。
そうすると体が赤い何かの中に埋まって顔だけが外に出た。
「ピィィ!」
「グルルルル」
美味しいと声を上げた僕を大きな何かは唸ってから舐めてきた。
ペロペロと顔を舐め回して、顔を咥えてから僕を赤い何かから引き抜いて地面に下ろし、今度歯全身をペロペロと舐め回す。
僕がくすぐったくてジタバタしていると何かは僕の体をその足で抑えてお腹とか、僕の足とその付け根とかを丁寧に舐め回す。
少しして、僕の全身を隈無く舐め尽くした何かは僕が食べ残した茶色い何かを咥えて上に持ち上げて、その大きな口で一口にゴクリ。
美味しいのかな?と僕は首を傾げる。
赤いのは美味しかったけど、茶色いのは美味しくなかったから。
でも大きい口で丸呑みにした何かは僕の体にその鼻先を押し付けてきて、僕は堪らず地面をコロコロと転がる。
ニ、三回転がって止まり、立ち上がるとクラクラしてストンとまた尻餅をついた。
そのまま座っていると段々眠くなって、僕はその場で目を閉じてコテンと横になる。
そうすると大きな温かいのが僕の隣に来て、その大きな体で僕の体を包み込んでくれる。
その温かい体に包まれながら、僕はゆっくりと眠りに落ちた。
でも僕はそんな事よりもお腹が空いて仕方が無かった。
「ピィー!ピィー!」
「グルル……」
お腹が空いたと叫ぶ僕に温かい何かは、その体の後ろから茶色い何かを咥えて目の前に落とす。
その時ドスッと音を立てたそれが起こした風に煽られて、僕は耐えきれずに尻餅をついた。
ポカンと口を開けて呆ける僕に、それを落とした何かは心配そうに「グルル」と低く唸り、その顔を近付けて僕を咥えて茶色い何かの上に優しく下ろす。
そうして茶色い物の上に置かれた僕は、良い匂いのする茶色い物を囓る。
最初は何だかモフモフとした何かが不味くてペッペと吐き出して、それでも美味しそうだからと千切り続けると、茶色い何かの中から赤い何かが出てきた。
そうすると良い匂いはより一層強くなり、僕は匂いに誘われるまま赤い何かに齧り付く。
「ピィ!」
僕はさっきまで茶色くて不味かった何かがとても美味しくなっていて、驚きから声を上げる。
それから赤い何かに顔を埋めて必死に千切っては飲み込み、千切っては飲み込みを繰り返して赤い何かの中に体まで埋めてから顔を上げようとする。
そうすると体が赤い何かの中に埋まって顔だけが外に出た。
「ピィィ!」
「グルルルル」
美味しいと声を上げた僕を大きな何かは唸ってから舐めてきた。
ペロペロと顔を舐め回して、顔を咥えてから僕を赤い何かから引き抜いて地面に下ろし、今度歯全身をペロペロと舐め回す。
僕がくすぐったくてジタバタしていると何かは僕の体をその足で抑えてお腹とか、僕の足とその付け根とかを丁寧に舐め回す。
少しして、僕の全身を隈無く舐め尽くした何かは僕が食べ残した茶色い何かを咥えて上に持ち上げて、その大きな口で一口にゴクリ。
美味しいのかな?と僕は首を傾げる。
赤いのは美味しかったけど、茶色いのは美味しくなかったから。
でも大きい口で丸呑みにした何かは僕の体にその鼻先を押し付けてきて、僕は堪らず地面をコロコロと転がる。
ニ、三回転がって止まり、立ち上がるとクラクラしてストンとまた尻餅をついた。
そのまま座っていると段々眠くなって、僕はその場で目を閉じてコテンと横になる。
そうすると大きな温かいのが僕の隣に来て、その大きな体で僕の体を包み込んでくれる。
その温かい体に包まれながら、僕はゆっくりと眠りに落ちた。
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