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第二章 サラタール王国剣魔術大会
英四郎の1回戦
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「さあさあ第5回戦となりました!次の戦いは田中英四郎選手と沼野海選手です!」
そのアナウンスで英四郎と沼野と言う奴が舞台に上がる。
沼野と言う奴は体格が凄く大きく、その背に大剣を背負って革の鎧を着けた奴だった。
「なんで英四郎の相手ってあんな子供離れした大きな野郎ばかりなんだろうな?」
予選の時もその相手の半分が体格の大きな奴で、予選が終わったあと「何だよ俺がチビって言いたいからこんな組み合わせにしたのかよ!?」と叫んでいた。
まあそんなことはどうでもいい事として、流石に戦いの前に罵倒するのは本戦ではよろしくないことなので審判が「始め!」と言って手を上げると同時にお互い動き出す。
沼野と言う奴が英四郎が間合いに入ったタイミングで背から大剣を引き抜き、横薙ぎに振るう。
それを英四郎は脚力を強化して上に跳んで回避すると、沼野と言う奴はそれを予知していたかのように大剣を上に切返す。
大抵の奴はここで後ろに下がって避けるのが普通のため、上に跳ねることを予期するのはそこそこ戦いに慣れているのかもしれない。
「でも、甘いよなぁ」
ガキャァァァアアン!!
と、物凄い金属音が鳴り響く。
こんな音は普通金属同士がぶつからないと鳴るはず無いのだが、英四郎は「重くて動き難い」という理由から何一つとして金属類を身につけていない。
そしてその音が鳴り響いた直後、沼野の持っていた大剣が折れた。
それに沼野と言う奴は目を丸くして一瞬、英四郎から目を離してしまう。
「あーあ、つまんねぇなぁ」
その直後、英四郎は革鎧の上から心臓の当たりを蹴って思いっきり吹き飛ばして会場の壁に叩きつけ、そこからズルズルと滑り落ちたことで場外で勝ちとなった。
「いやー、まっさかあそこで上に切返すなんてなかなかの腕してんじゃんあいつ」
「つーかお前なら避けんでも直接受け止めた方が早かったろ」
「いやそうだけどよ、そうそう手の内を晒すような事したくなかったんだよ」
「ああそういやそうか」
控室に戻って来た英四郎とそんな事を話す。
ちなみに沼野と言う奴の剣を折ったのは、ただ単に足に『強化』と『硬化』の魔法を掛けて全力で大剣を蹴った結果である。
そして時間は過ぎて最終16戦目、ようやく俺の出番である。
「んじゃ行って来るわ」
「やりすぎて殺すんじゃねぇぞ」
「なんで俺が負ける心配はしねぇんだよ!?」
「お前がこんな戦いで負けるなんて誰も思っちゃいねぇんだよ、この魔力バカ」
「言ったな、言ったなおい!?後で覚えてろよ」
「はいはい行ってらっしゃい」
「たく……」
他の選手もいる控室の中そんな会話をしたせいか、なんかすっごい睨み殺してやると言わんばかりの視線を感じたが……まあ俺に敵うわけも無さそうなので気にしない。
「では初戦の最終マッチ……と、これは面白いですね!去年の優勝者、ダッド選手の弟、クルー・ホック選手!それに相対するのは準優勝者の弟、アウト・ラビット・カリナンテ選手です!」
そのアナウンスに会場が一気に盛り上がる。
まあ期せずして去年の戦いと同レベルのが見れるかもしれないと期待を寄せるのは……まあ必然なのかもしれないな。
てか俺は別に本物の弟じゃねぇよ。
「さあクルー選手が兄と同じ栄光を掴むのか、はたまたアウト・ラビット選手が姉のリベンジを果たすのか、これは面白い戦いになりましょう!」
それにより会場がより一層盛り上がって「ダッドと同じくらいやってみろ!」と言う声に「サヤさんのぶんを取り返してやれ!」なんて声も聞こえてくる。
これさぁ完全に代理の戦いって感じで盛り上げてるけど、俺が圧倒したら批判殺到とかしねぇよな?
そのアナウンスで英四郎と沼野と言う奴が舞台に上がる。
沼野と言う奴は体格が凄く大きく、その背に大剣を背負って革の鎧を着けた奴だった。
「なんで英四郎の相手ってあんな子供離れした大きな野郎ばかりなんだろうな?」
予選の時もその相手の半分が体格の大きな奴で、予選が終わったあと「何だよ俺がチビって言いたいからこんな組み合わせにしたのかよ!?」と叫んでいた。
まあそんなことはどうでもいい事として、流石に戦いの前に罵倒するのは本戦ではよろしくないことなので審判が「始め!」と言って手を上げると同時にお互い動き出す。
沼野と言う奴が英四郎が間合いに入ったタイミングで背から大剣を引き抜き、横薙ぎに振るう。
それを英四郎は脚力を強化して上に跳んで回避すると、沼野と言う奴はそれを予知していたかのように大剣を上に切返す。
大抵の奴はここで後ろに下がって避けるのが普通のため、上に跳ねることを予期するのはそこそこ戦いに慣れているのかもしれない。
「でも、甘いよなぁ」
ガキャァァァアアン!!
と、物凄い金属音が鳴り響く。
こんな音は普通金属同士がぶつからないと鳴るはず無いのだが、英四郎は「重くて動き難い」という理由から何一つとして金属類を身につけていない。
そしてその音が鳴り響いた直後、沼野の持っていた大剣が折れた。
それに沼野と言う奴は目を丸くして一瞬、英四郎から目を離してしまう。
「あーあ、つまんねぇなぁ」
その直後、英四郎は革鎧の上から心臓の当たりを蹴って思いっきり吹き飛ばして会場の壁に叩きつけ、そこからズルズルと滑り落ちたことで場外で勝ちとなった。
「いやー、まっさかあそこで上に切返すなんてなかなかの腕してんじゃんあいつ」
「つーかお前なら避けんでも直接受け止めた方が早かったろ」
「いやそうだけどよ、そうそう手の内を晒すような事したくなかったんだよ」
「ああそういやそうか」
控室に戻って来た英四郎とそんな事を話す。
ちなみに沼野と言う奴の剣を折ったのは、ただ単に足に『強化』と『硬化』の魔法を掛けて全力で大剣を蹴った結果である。
そして時間は過ぎて最終16戦目、ようやく俺の出番である。
「んじゃ行って来るわ」
「やりすぎて殺すんじゃねぇぞ」
「なんで俺が負ける心配はしねぇんだよ!?」
「お前がこんな戦いで負けるなんて誰も思っちゃいねぇんだよ、この魔力バカ」
「言ったな、言ったなおい!?後で覚えてろよ」
「はいはい行ってらっしゃい」
「たく……」
他の選手もいる控室の中そんな会話をしたせいか、なんかすっごい睨み殺してやると言わんばかりの視線を感じたが……まあ俺に敵うわけも無さそうなので気にしない。
「では初戦の最終マッチ……と、これは面白いですね!去年の優勝者、ダッド選手の弟、クルー・ホック選手!それに相対するのは準優勝者の弟、アウト・ラビット・カリナンテ選手です!」
そのアナウンスに会場が一気に盛り上がる。
まあ期せずして去年の戦いと同レベルのが見れるかもしれないと期待を寄せるのは……まあ必然なのかもしれないな。
てか俺は別に本物の弟じゃねぇよ。
「さあクルー選手が兄と同じ栄光を掴むのか、はたまたアウト・ラビット選手が姉のリベンジを果たすのか、これは面白い戦いになりましょう!」
それにより会場がより一層盛り上がって「ダッドと同じくらいやってみろ!」と言う声に「サヤさんのぶんを取り返してやれ!」なんて声も聞こえてくる。
これさぁ完全に代理の戦いって感じで盛り上げてるけど、俺が圧倒したら批判殺到とかしねぇよな?
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