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第二章 サラタール王国剣魔術大会
ギルド
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「ここがギルド、サラタール王国中央支部だよ」
王都はどこかヨーロッパに似た建物が多く、俺は永四郎と村の家が茅葺屋根が殆どだったので何故そうなっているかを話し合い、サヤと涼音はワイワイと王都にあるお店などについて話していた。
王都だけあって門からギルド支部までは離れており、その道中サヤから注意として教えられたことは一つ。
「冒険者には色んな人が居て、結構絡んでくる人も多いから出来る限り騒動を起こすような行為は控えてね?……ラビットは難しいと思うけど……」
まあ、村に居た時もいろいろ騒動あったもんなぁ……だからといって、俺は別に起こしたくて騒動起こしてるんじゃねぇよ。
ギルドはそこそこ大きな木製の建物で、中からは様々な人の声が聞こえてくる。
4人+一匹で中に入ると少しだけこちらに視線が集まり、何もなかったように騒がしくなる。
「ほぅ、それはグレーベアかい?嬢ちゃんの従魔でいいのかな?」
と、奥にある木製のカウンターの向こうから見事なスキンヘッドで大柄な男がそう問いかけてきた。
「あ、はい!グーちゃんは私の従魔です!」
「そうかそうか、ならいいんだ。この前従魔じゃない魔物を連れてきて軽く騒ぎを起した阿呆がおったからな」
そう言ってワッハッハと笑うスキンヘッドの男の所に行き、サヤが門番に渡された書類を渡す。
「これ、門番さんにギルドの受付で渡すよう言われてきたのですが」
受付に居た男はそれを受け取ると封を開け中身を読みだす。
「ふむ……サリン盗賊団と思われる盗賊集団を現在確保している、それを成した者4名をそちらに行くよう指示したので事情を確認し、この件の処理を任せると……たしか最近聞いた名だが」
そう呟きながら後ろの棚に置いてある糸で束ねてある紙をペラペラめくり、そして一枚の紙を見て唖然とする。
「おいおい……ここでは他の業務の邪魔になる、ちょっと着いて来い」
そう言ってスキンヘッドの男はカウンターから出て、入り口から左にある階段から上に上がって一つの部屋に案内される。
「ちょっとここで座って待ってろ」
それから約一時間、俺達4人はギルドの職員らしい女性が持ってきたお茶を飲みながら、この後どうなるか適当に話しているとスキンヘッドの男が戻ってきた。
そして俺達が座っているソファーの向かいに座り、頭を下げたので俺達も合わせて頭を下げる。
「いきなりここに連れてきた上長時間待たせて済まなかった。俺は冒険者連合会サラタール支部の支部局長をしている志木 剛毅だ」
「私はラヤカナ村から来たサヤ・カリナンテと言います」
「私はサザンカ村から来ました、綾森涼音です。この子はグレーベアのグーちゃんです」
「俺はアウト・ラビット・カリナンテです。サヤと同じラヤカナ村から来た」
「俺もラヤカナ村から来た田中英四郎です」
自己紹介した支部局長らしいスキンヘッドの男改め剛毅に、サヤから順番に答える。
「ここまでに魔法で来て盗賊を捕らえて来たことは門番達に聞いた。疲れているだろうから手短に済まそう。質問はこちらの話を全て聞いてからにして欲しい」
それを聞いた俺達は頷き合い、サヤが代表して答える。
「わかりました」
「まず君らが捕らえた盗賊についてだが、あれはサリン盗賊団という集団でな、最近金持ち共を襲撃しては殺し金品を奪い、また生半可な冒険者では歯が立たないため、もうじきAランク以上の冒険者をかき集めて対応する予定だった。レイドを組むにはそこそこ金が掛かるのだが、隣国の金持ち共が恐れて報酬金を吊り上げ今は資金援助の話し合いの段階だったのだ」
そこで剛毅は3枚の紙を俺らに向けて置く。
「だが君達のおかげでその必要性もなくなったがな。それはまあ良いのだが、我々冒険者以外で武人でもない一般人、それも子供が捕らえたという事実は我々の信用が少々下がってしまう可能性があるのだ。そこで君達にはここで冒険者登録をしてもらい、元々登録する予定だったとして報告することで済ましたいのだ。これは冒険者連合会としての希望であるから君達に無理強いをする気はないので安心してほしい」
「そして今回の件、君達は盗品を全て回収してきたと聞いた。なのでそれらをここで出して欲しい。盗品は全てリストに上げられているのですぐに照合をしよう。彼らが既に売りに出したりしているかの確認等も含め確認には少なくとも3日はかかるのだが、ひとまず出して貰えればすぐに報酬の半分を渡そう。幸い君達はサラタール剣魔術大会中は滞在するらしいと聞いた。大会終了までには確認を終わらせよう」
「ここまでの話でわからないことはあるか?」
ちなみに要約すると『強い盗賊団を捕らえ、盗品持って来たからそれを渡してくれたら報酬をやる。ついでに冒険者にならないか?』と言う感じ。
また代表してサヤが答える前に、俺が剛毅に質問する。
「もちろん盗品なんて持ってたくないから全部渡すけどさ、ちなみにもしも嫌だとか言ったらどうするんだ?」
俺はそんな挑発するようなことを聞きつつ誤解されると嫌なので、量も量なので床の上にに盗品を並べながら返答を待つ。
「ふむ、盗品を渡さなければか……そうだな、その盗品の中に危険な物品があれば間違いなく指名手配されるだろうな。今回の場合なら、まあ君達の評判が限りなく下がる程度だろう。冒険者連合会では注意人物として認知されるな」
剛毅は俺が並べていく物品とリストを見比べながら、そう返答してくれた。
「へぇ、問答無用で捕らえられるのかと思ったんだけどな。これが俺達が回収した盗品の全てで、左の方にあいつらの武器を並べた。この袋の中にはあいつらが持ってた金貨250枚が入ってる」
ちょっと意外に思いながらも、俺は床に様々な盗品+その他武具等を提出し終える。
「ああ、盗品でない盗賊の所持品については別に提出する必要はない。君達が使うなり売るなりしても良いが、要らぬというのであれば我々が買い取ろう」
「それなら盗品以外は一旦持ち帰って、宿ででも仲間とどうするか話し合うよ」
俺はそう言いながら盗賊の所持品を闇魔法で再び収納した。
「そうか。俺はこれからここで作業するので、君達は受付に行って報酬を受け取って宿でも観光にでも行ってこい。冒険者登録の事についても検討しておいて欲しい。急な事とは言え長く押し留めて時間を取らせて悪かったな、大会頑張れよ!」
「おう!」
その後俺達は受付で報酬金の金貨百枚、白金貨1枚分の半分である金貨50枚を受け取った後、観光と宿探しのためにギルドを出た。
王都はどこかヨーロッパに似た建物が多く、俺は永四郎と村の家が茅葺屋根が殆どだったので何故そうなっているかを話し合い、サヤと涼音はワイワイと王都にあるお店などについて話していた。
王都だけあって門からギルド支部までは離れており、その道中サヤから注意として教えられたことは一つ。
「冒険者には色んな人が居て、結構絡んでくる人も多いから出来る限り騒動を起こすような行為は控えてね?……ラビットは難しいと思うけど……」
まあ、村に居た時もいろいろ騒動あったもんなぁ……だからといって、俺は別に起こしたくて騒動起こしてるんじゃねぇよ。
ギルドはそこそこ大きな木製の建物で、中からは様々な人の声が聞こえてくる。
4人+一匹で中に入ると少しだけこちらに視線が集まり、何もなかったように騒がしくなる。
「ほぅ、それはグレーベアかい?嬢ちゃんの従魔でいいのかな?」
と、奥にある木製のカウンターの向こうから見事なスキンヘッドで大柄な男がそう問いかけてきた。
「あ、はい!グーちゃんは私の従魔です!」
「そうかそうか、ならいいんだ。この前従魔じゃない魔物を連れてきて軽く騒ぎを起した阿呆がおったからな」
そう言ってワッハッハと笑うスキンヘッドの男の所に行き、サヤが門番に渡された書類を渡す。
「これ、門番さんにギルドの受付で渡すよう言われてきたのですが」
受付に居た男はそれを受け取ると封を開け中身を読みだす。
「ふむ……サリン盗賊団と思われる盗賊集団を現在確保している、それを成した者4名をそちらに行くよう指示したので事情を確認し、この件の処理を任せると……たしか最近聞いた名だが」
そう呟きながら後ろの棚に置いてある糸で束ねてある紙をペラペラめくり、そして一枚の紙を見て唖然とする。
「おいおい……ここでは他の業務の邪魔になる、ちょっと着いて来い」
そう言ってスキンヘッドの男はカウンターから出て、入り口から左にある階段から上に上がって一つの部屋に案内される。
「ちょっとここで座って待ってろ」
それから約一時間、俺達4人はギルドの職員らしい女性が持ってきたお茶を飲みながら、この後どうなるか適当に話しているとスキンヘッドの男が戻ってきた。
そして俺達が座っているソファーの向かいに座り、頭を下げたので俺達も合わせて頭を下げる。
「いきなりここに連れてきた上長時間待たせて済まなかった。俺は冒険者連合会サラタール支部の支部局長をしている志木 剛毅だ」
「私はラヤカナ村から来たサヤ・カリナンテと言います」
「私はサザンカ村から来ました、綾森涼音です。この子はグレーベアのグーちゃんです」
「俺はアウト・ラビット・カリナンテです。サヤと同じラヤカナ村から来た」
「俺もラヤカナ村から来た田中英四郎です」
自己紹介した支部局長らしいスキンヘッドの男改め剛毅に、サヤから順番に答える。
「ここまでに魔法で来て盗賊を捕らえて来たことは門番達に聞いた。疲れているだろうから手短に済まそう。質問はこちらの話を全て聞いてからにして欲しい」
それを聞いた俺達は頷き合い、サヤが代表して答える。
「わかりました」
「まず君らが捕らえた盗賊についてだが、あれはサリン盗賊団という集団でな、最近金持ち共を襲撃しては殺し金品を奪い、また生半可な冒険者では歯が立たないため、もうじきAランク以上の冒険者をかき集めて対応する予定だった。レイドを組むにはそこそこ金が掛かるのだが、隣国の金持ち共が恐れて報酬金を吊り上げ今は資金援助の話し合いの段階だったのだ」
そこで剛毅は3枚の紙を俺らに向けて置く。
「だが君達のおかげでその必要性もなくなったがな。それはまあ良いのだが、我々冒険者以外で武人でもない一般人、それも子供が捕らえたという事実は我々の信用が少々下がってしまう可能性があるのだ。そこで君達にはここで冒険者登録をしてもらい、元々登録する予定だったとして報告することで済ましたいのだ。これは冒険者連合会としての希望であるから君達に無理強いをする気はないので安心してほしい」
「そして今回の件、君達は盗品を全て回収してきたと聞いた。なのでそれらをここで出して欲しい。盗品は全てリストに上げられているのですぐに照合をしよう。彼らが既に売りに出したりしているかの確認等も含め確認には少なくとも3日はかかるのだが、ひとまず出して貰えればすぐに報酬の半分を渡そう。幸い君達はサラタール剣魔術大会中は滞在するらしいと聞いた。大会終了までには確認を終わらせよう」
「ここまでの話でわからないことはあるか?」
ちなみに要約すると『強い盗賊団を捕らえ、盗品持って来たからそれを渡してくれたら報酬をやる。ついでに冒険者にならないか?』と言う感じ。
また代表してサヤが答える前に、俺が剛毅に質問する。
「もちろん盗品なんて持ってたくないから全部渡すけどさ、ちなみにもしも嫌だとか言ったらどうするんだ?」
俺はそんな挑発するようなことを聞きつつ誤解されると嫌なので、量も量なので床の上にに盗品を並べながら返答を待つ。
「ふむ、盗品を渡さなければか……そうだな、その盗品の中に危険な物品があれば間違いなく指名手配されるだろうな。今回の場合なら、まあ君達の評判が限りなく下がる程度だろう。冒険者連合会では注意人物として認知されるな」
剛毅は俺が並べていく物品とリストを見比べながら、そう返答してくれた。
「へぇ、問答無用で捕らえられるのかと思ったんだけどな。これが俺達が回収した盗品の全てで、左の方にあいつらの武器を並べた。この袋の中にはあいつらが持ってた金貨250枚が入ってる」
ちょっと意外に思いながらも、俺は床に様々な盗品+その他武具等を提出し終える。
「ああ、盗品でない盗賊の所持品については別に提出する必要はない。君達が使うなり売るなりしても良いが、要らぬというのであれば我々が買い取ろう」
「それなら盗品以外は一旦持ち帰って、宿ででも仲間とどうするか話し合うよ」
俺はそう言いながら盗賊の所持品を闇魔法で再び収納した。
「そうか。俺はこれからここで作業するので、君達は受付に行って報酬を受け取って宿でも観光にでも行ってこい。冒険者登録の事についても検討しておいて欲しい。急な事とは言え長く押し留めて時間を取らせて悪かったな、大会頑張れよ!」
「おう!」
その後俺達は受付で報酬金の金貨百枚、白金貨1枚分の半分である金貨50枚を受け取った後、観光と宿探しのためにギルドを出た。
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