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第二章 サラタール王国剣魔術大会
神出鬼没のイタズラ乙女
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「そういえば、国王達はなんでこんなところに女神ハラスメントが降臨……してはないけどしたってわかったんだ?」
今は朝食をカリナンテ家の4人に国王と王妃が加わった6人で食べている。
今日はキャベツのサラダとハータのツミレが入った味噌汁である。
味噌汁を飲んでいた国王が一度お椀を置いて答えてくれる。
「それは光の柱が王都からも微かに見えたのもあるが、それ以上に言矢がこの付近の村や街から山程飛んできたからね」
言矢ってなんだ?と思っていると、右隣に座っているサヤが教えてくれた。
「言矢って言うのは魔法の名前でね、光と闇と振動の複合魔法のことなんだけど、まあまだ魔法の勉強も出来てないからよくわかんないよね」
「わかんないって思うなら、もう少しわかりやすく教えてくれ」
「言矢とは、簡単に言うと自分の声を遠くまで伝えることが出来る魔法のことですよ」
と、義父が説明してくれた。
「話を続けてもよいかね?」
「あ、すみません」
そういや国王の話を聞いてる最中だった。
「それでだな、元々トラブル体質のこいつが居る方角は覚えており、その光の柱を見てまさかと思い……あとは過去に少々特殊なことがあってだな……」
そこで何故か国王がチラリとサヤの方を見た気がしたが、何なのだろうか。
「まあそんな訳でここに女神ハラスメント様が御降臨なされたと判断をし、駆けつけたのだよ……只でさえ業務が忙しいのに、こいつは……」
とぶつぶつ愚痴を呟きながらご飯を食べる国王を見て、俺は心の中でお疲れ様ですと呟いた。
「それでは私達は王都へ戻るが、あと一ヶ月でサラタール王国剣魔術大会に出るつもりであれば、あそこにいる冒険者に色々教えて貰えばいいのではないか?」
朝食後、すぐにたくさんの人達と王都へ戻るために教会を時に不意に国王がそんなことを言ったのだ。
そして国王が指を指す先には、メイド姿で他の冒険者の荷物の準備などを手伝っている茶髪の女性が居た。
指し間違えて居ると思っていたら、国王がさらにつけ加えた。
「あそこにいるメイドのような格好をしている女性だが、あれでも一応Sランクの冒険者で……」
「貴方がラビットさんね」
唐突にそのメイドの姿が消えたかと思ったら、後ろからそう声がかけられたのだ。
「は!?」
そう言って後ろを振り向くと、今度は黒髪で、何故かメイド服から黒いワンピースを着てそこに立っていた。
「ふふふ、こんな素質を持っていて言矢のことも知らないだなんて、教えがいがあるわぁ」
ニコッと笑った彼女から何か不気味な物をを感じ、俺は彼女から跳んで離れると、今度は右側に赤髪でレザー装備の戦士の格好になっていた。
「な、何なんだよ一体!?」
「これが私の力ですよ?ふふ、驚いていただけたようで」
「『神出鬼没のイタズラ乙女』の名は伊達じゃないですね、マナさん」
と、急に義父がそう話しかけた。
「あら、昔お世話になりました、『歩く災害』マークさん」
そう言って微笑む彼女の目には、何か並々ならぬ闘志の光が見える。
「ねぇ、どうするの?」
隣で唖然としているサヤがそう聞いてくるが、それはむしろ俺が聞きたい内容だ。
そうして呆けていると、国王がため息をつく。
「マナ、とりあえずこれから彼に魔法の基礎基本を教えてやってはくれないか?報酬は……マークとの決闘でどうかな?場所は国の訓練場を使うので、好きな環境を選べるぞ?」
「な、ちょっとタリスそれは」
「ええ、喜んでお引き受けしますわ!」
反対しようとした義父が一瞬で何処かに消え、それと同時にマナが勢い良く答える。
その後たくさんの人と馬車を見送り、義父はその後南門の外に移動させられていたらしく、歩いて戻って来た。
「それでは、これからよろしくね、ラビット」
「よ、よろしくお願いします」
一先ず挨拶を交わした俺とマナは、協会の奥にある中庭に移動して色々教えて貰うことになった。
今も隣で笑みを浮かべている彼女から魔法の基礎を教えてもらうって、ちゃんと習いきるまで無事でいられるか、かなり心配だ。
今は朝食をカリナンテ家の4人に国王と王妃が加わった6人で食べている。
今日はキャベツのサラダとハータのツミレが入った味噌汁である。
味噌汁を飲んでいた国王が一度お椀を置いて答えてくれる。
「それは光の柱が王都からも微かに見えたのもあるが、それ以上に言矢がこの付近の村や街から山程飛んできたからね」
言矢ってなんだ?と思っていると、右隣に座っているサヤが教えてくれた。
「言矢って言うのは魔法の名前でね、光と闇と振動の複合魔法のことなんだけど、まあまだ魔法の勉強も出来てないからよくわかんないよね」
「わかんないって思うなら、もう少しわかりやすく教えてくれ」
「言矢とは、簡単に言うと自分の声を遠くまで伝えることが出来る魔法のことですよ」
と、義父が説明してくれた。
「話を続けてもよいかね?」
「あ、すみません」
そういや国王の話を聞いてる最中だった。
「それでだな、元々トラブル体質のこいつが居る方角は覚えており、その光の柱を見てまさかと思い……あとは過去に少々特殊なことがあってだな……」
そこで何故か国王がチラリとサヤの方を見た気がしたが、何なのだろうか。
「まあそんな訳でここに女神ハラスメント様が御降臨なされたと判断をし、駆けつけたのだよ……只でさえ業務が忙しいのに、こいつは……」
とぶつぶつ愚痴を呟きながらご飯を食べる国王を見て、俺は心の中でお疲れ様ですと呟いた。
「それでは私達は王都へ戻るが、あと一ヶ月でサラタール王国剣魔術大会に出るつもりであれば、あそこにいる冒険者に色々教えて貰えばいいのではないか?」
朝食後、すぐにたくさんの人達と王都へ戻るために教会を時に不意に国王がそんなことを言ったのだ。
そして国王が指を指す先には、メイド姿で他の冒険者の荷物の準備などを手伝っている茶髪の女性が居た。
指し間違えて居ると思っていたら、国王がさらにつけ加えた。
「あそこにいるメイドのような格好をしている女性だが、あれでも一応Sランクの冒険者で……」
「貴方がラビットさんね」
唐突にそのメイドの姿が消えたかと思ったら、後ろからそう声がかけられたのだ。
「は!?」
そう言って後ろを振り向くと、今度は黒髪で、何故かメイド服から黒いワンピースを着てそこに立っていた。
「ふふふ、こんな素質を持っていて言矢のことも知らないだなんて、教えがいがあるわぁ」
ニコッと笑った彼女から何か不気味な物をを感じ、俺は彼女から跳んで離れると、今度は右側に赤髪でレザー装備の戦士の格好になっていた。
「な、何なんだよ一体!?」
「これが私の力ですよ?ふふ、驚いていただけたようで」
「『神出鬼没のイタズラ乙女』の名は伊達じゃないですね、マナさん」
と、急に義父がそう話しかけた。
「あら、昔お世話になりました、『歩く災害』マークさん」
そう言って微笑む彼女の目には、何か並々ならぬ闘志の光が見える。
「ねぇ、どうするの?」
隣で唖然としているサヤがそう聞いてくるが、それはむしろ俺が聞きたい内容だ。
そうして呆けていると、国王がため息をつく。
「マナ、とりあえずこれから彼に魔法の基礎基本を教えてやってはくれないか?報酬は……マークとの決闘でどうかな?場所は国の訓練場を使うので、好きな環境を選べるぞ?」
「な、ちょっとタリスそれは」
「ええ、喜んでお引き受けしますわ!」
反対しようとした義父が一瞬で何処かに消え、それと同時にマナが勢い良く答える。
その後たくさんの人と馬車を見送り、義父はその後南門の外に移動させられていたらしく、歩いて戻って来た。
「それでは、これからよろしくね、ラビット」
「よ、よろしくお願いします」
一先ず挨拶を交わした俺とマナは、協会の奥にある中庭に移動して色々教えて貰うことになった。
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