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第一章 不幸な俺の不幸な人生
トラブル体質×不幸体質=大惨事
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「久しぶりですね、タリス」
皆が頭を下げたままの国王に戸惑う中、国王に対して馴れ馴れしい言葉を発したのは、意外なことにマーク・カリナンテ……つまりこの村の神父であり領主でもある俺の義父となった、彼である。
彼がが国王をあまりにも馴れ馴れしく呼ぶので村人はマークの口を押さえようとし、兵士たちは驚きの表情で馴れ馴れしいマークに対して槍を向ける。
「マーク……本当にお前は何時も何時も、昔からトラブルを起こしてくれるなぁ」
とはいえ、こんな言葉が国王から発せられた時点で村人は止まり、兵士たちは槍を落としてしまったのだが。
「タリス、そんなところに膝をついていないで、私の部屋にでも来ませんか?」
その後、ひとまず女神ハラスメントが降臨していないことを話し、段々暗くなってきて居たので馬車などを村の広場に集め、それぞれが晩どこで過ごすかを話していた。
ギルド所属の冒険者は適当に草地へ向かってそこで寝ると言うもの、寝袋を使って寝るというものばかりだったが、兵士達は交代しながら持ち込んだ寝袋で寝るらしい。
この村はとても小さいため、旅館は無い代わりに聖堂で寝泊まりしてもらうらしい。
だが、いくらなんでもこの人数は収容出来ないし食料もここまでの人数に提供出来るものはなかった。
いくら兵士達や冒険者が広場やその他の場所で適当に寝るとしても、他の方々の分がある訳ではない。
そう思って人の集まっている広場を眺めていると、10人程の冒険者が集まって何やら作業をしていた。
しばらく眺めていると、別箇所でレンガを積んで焚き火台を組み上げて火をつけていた。
その上に水がなみなみと入っている子供が入れそうなくらいの大鍋を置いて、恐らく火の魔法で素早く沸騰させる。
そうすると先程何か作業をしていた人達がそれ……野菜や肉類などを入れて煮込んで行く。
その後よく煮込んでから牛乳などを入れて煮込み、出来たのはシチューであった。
しかもそれを合計5つ分同時進行で作っていた。
一体、鍋と材料はどこからとり出したのだろうか。
「さー、皆さん今日のご飯が出来ましたよー!!」
作っていた冒険者が声を張り上げる。
それを聞いた冒険者や兵士達、その他大臣などといった面々までゴチャッと特に身分など関係なくズラッと並ぶ。
それもまたどこからとり出したのか木製のお椀にシチューを入れて手渡していく。
とりあえず大丈夫そうだなと思い、俺は国王が居る義父の書斎へ向かう。
……俺、これからどうなるのだろうか。
義父の書斎へと向かうと、呆れたような声が聞こえてきた。
「はあ、つまりお前はまた厄介事を引き寄せた、と」
聞こえてきたのは国王の声。
俺は書斎の扉をノックすると、すぐに扉が開けられた。
「君が問題のアウト・ラビット君だね」
「はい」
額にシワを寄せていた国王は、俺を見てため息をつく。
そこまで露骨に面倒くさそうにしなくてもいいじゃないですか、俺は不幸体質なだけなのに。
そう思っていると、国王は予想外なことを口にした。
「アウト・ラビット君、君も本当に大変だったね。この『パンドラのマーク』のせいで、とんでもなく苦労しているようではないか」
「パンドラのマーク?」
「あれ、知らないのかね?ここの神父であるマークは昔私達と冒険していた頃、少しうろついているだけでこいつを中心に様々な騒動が起こったてたんだよ」
……は?
「タリス、そんなのは昔の話でしょう?」
そういう義父、マークに対し今度は王妃が言う。
「あなたが何も考えずに隣国の貧困の子供を助け、その後王子であったタリスが一緒に冒険していることがバレて危うく戦争が勃発仕掛けたこと、忘れていないでしょうね?」
「あと、その解決に国の城に単騎で乗り込んで『平民を平気で虐げる王や貴族は決して赦されてはならぬ』なんて怒鳴りながら兵を薙ぎ倒して重役を全て地下牢へ押し込んだ上で3日間籠城を続ける、なんてことまでやっただろう?」
……それで、よくこれまで生きてこられたなぁ、この人。
「それに谷底を歩いてたら地面が割れて古代神殿に落ちたことも、だ。だからお前をこんな田舎の神父にしてやってたら、今度は異世界から来たとんでも魔力の子供が来て、初の魔法で女神御降臨の大騒ぎを引き起こしたなど、確実にマークのせいではないか」
そこで、俺は思ったことを言ってみた。
「俺は俺で不幸体質なんだけど、それは関係してると思いますか?」
「……類は友を呼ぶとは、マークにこそふさわしいな」
とりあえず、国王の表情が半ば諦めたようになったことで、俺はよくあることだったんだなと察することにした。
俺がこの世界に来たの、俺の不幸とこの義父であるマークのトラブル体質の2つが相互作用でもした結果なんだなと思う。
不幸体質とトラブル体質を合わせて起きることなんてのは火を見るより明らかであろう。
勿論、とんでもないハプニングと、それによる大惨事であろう。
皆が頭を下げたままの国王に戸惑う中、国王に対して馴れ馴れしい言葉を発したのは、意外なことにマーク・カリナンテ……つまりこの村の神父であり領主でもある俺の義父となった、彼である。
彼がが国王をあまりにも馴れ馴れしく呼ぶので村人はマークの口を押さえようとし、兵士たちは驚きの表情で馴れ馴れしいマークに対して槍を向ける。
「マーク……本当にお前は何時も何時も、昔からトラブルを起こしてくれるなぁ」
とはいえ、こんな言葉が国王から発せられた時点で村人は止まり、兵士たちは槍を落としてしまったのだが。
「タリス、そんなところに膝をついていないで、私の部屋にでも来ませんか?」
その後、ひとまず女神ハラスメントが降臨していないことを話し、段々暗くなってきて居たので馬車などを村の広場に集め、それぞれが晩どこで過ごすかを話していた。
ギルド所属の冒険者は適当に草地へ向かってそこで寝ると言うもの、寝袋を使って寝るというものばかりだったが、兵士達は交代しながら持ち込んだ寝袋で寝るらしい。
この村はとても小さいため、旅館は無い代わりに聖堂で寝泊まりしてもらうらしい。
だが、いくらなんでもこの人数は収容出来ないし食料もここまでの人数に提供出来るものはなかった。
いくら兵士達や冒険者が広場やその他の場所で適当に寝るとしても、他の方々の分がある訳ではない。
そう思って人の集まっている広場を眺めていると、10人程の冒険者が集まって何やら作業をしていた。
しばらく眺めていると、別箇所でレンガを積んで焚き火台を組み上げて火をつけていた。
その上に水がなみなみと入っている子供が入れそうなくらいの大鍋を置いて、恐らく火の魔法で素早く沸騰させる。
そうすると先程何か作業をしていた人達がそれ……野菜や肉類などを入れて煮込んで行く。
その後よく煮込んでから牛乳などを入れて煮込み、出来たのはシチューであった。
しかもそれを合計5つ分同時進行で作っていた。
一体、鍋と材料はどこからとり出したのだろうか。
「さー、皆さん今日のご飯が出来ましたよー!!」
作っていた冒険者が声を張り上げる。
それを聞いた冒険者や兵士達、その他大臣などといった面々までゴチャッと特に身分など関係なくズラッと並ぶ。
それもまたどこからとり出したのか木製のお椀にシチューを入れて手渡していく。
とりあえず大丈夫そうだなと思い、俺は国王が居る義父の書斎へ向かう。
……俺、これからどうなるのだろうか。
義父の書斎へと向かうと、呆れたような声が聞こえてきた。
「はあ、つまりお前はまた厄介事を引き寄せた、と」
聞こえてきたのは国王の声。
俺は書斎の扉をノックすると、すぐに扉が開けられた。
「君が問題のアウト・ラビット君だね」
「はい」
額にシワを寄せていた国王は、俺を見てため息をつく。
そこまで露骨に面倒くさそうにしなくてもいいじゃないですか、俺は不幸体質なだけなのに。
そう思っていると、国王は予想外なことを口にした。
「アウト・ラビット君、君も本当に大変だったね。この『パンドラのマーク』のせいで、とんでもなく苦労しているようではないか」
「パンドラのマーク?」
「あれ、知らないのかね?ここの神父であるマークは昔私達と冒険していた頃、少しうろついているだけでこいつを中心に様々な騒動が起こったてたんだよ」
……は?
「タリス、そんなのは昔の話でしょう?」
そういう義父、マークに対し今度は王妃が言う。
「あなたが何も考えずに隣国の貧困の子供を助け、その後王子であったタリスが一緒に冒険していることがバレて危うく戦争が勃発仕掛けたこと、忘れていないでしょうね?」
「あと、その解決に国の城に単騎で乗り込んで『平民を平気で虐げる王や貴族は決して赦されてはならぬ』なんて怒鳴りながら兵を薙ぎ倒して重役を全て地下牢へ押し込んだ上で3日間籠城を続ける、なんてことまでやっただろう?」
……それで、よくこれまで生きてこられたなぁ、この人。
「それに谷底を歩いてたら地面が割れて古代神殿に落ちたことも、だ。だからお前をこんな田舎の神父にしてやってたら、今度は異世界から来たとんでも魔力の子供が来て、初の魔法で女神御降臨の大騒ぎを引き起こしたなど、確実にマークのせいではないか」
そこで、俺は思ったことを言ってみた。
「俺は俺で不幸体質なんだけど、それは関係してると思いますか?」
「……類は友を呼ぶとは、マークにこそふさわしいな」
とりあえず、国王の表情が半ば諦めたようになったことで、俺はよくあることだったんだなと察することにした。
俺がこの世界に来たの、俺の不幸とこの義父であるマークのトラブル体質の2つが相互作用でもした結果なんだなと思う。
不幸体質とトラブル体質を合わせて起きることなんてのは火を見るより明らかであろう。
勿論、とんでもないハプニングと、それによる大惨事であろう。
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