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第一章 不幸な俺の不幸な人生
女神ハラスメント誤降臨事件(誤字ではありません)
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訓練でヘトヘトになって村の南門(アスタナ川に向かう門)に着くと、エライ勢いで門番さんがとんできた。
「おい、アウト・ラビット!!お前今すぐ北門へ行け!!」
「は?」
「今サラタール王国のお偉いさん方がこの村に来てるんだよ!今お前を大急ぎで探しに行こうとしてたんだってのはどうでもよくて、とりあえず急ぐぞ!!」
「お、おい!?」
俺が疲れている様子なのを見てか、門番さんが俺をヒョイと肩に担ぎ上げ、北門へと全力ダッシュである。
「国王に王妃に大臣に大司祭様、他のお偉いさん方にサラタール王国の精鋭兵にギルドの冒険者のSランクにAランクの高名な方々まで揃ってるんだぞ!?」
「は、はぁ!?」
なんでそんな大事になってんだよ!?
「あ~……たぶん、昨日の……」
サヤは頭を押さえて言う。
「だろうなぁ」
英四郎も頭を押さえて言う。
……いやぁ、単なる偶然だろう。
と思いたい俺であった。
「た、たた、隊長!アウト・ラビットを連れて参りました!!」
門番さんに降ろされた俺は、北門から続く道の遠くに見える人の列を見た。
流石に村の正門である北門であり、ここの村までの道幅は10M程もとられていた。
門は半分くらいの大きさのため、道の横幅一杯に広がっているその集団はどうするのだろうとふと疑問に思う。
(それ以前にこんな小さな村にあんな人数入りきれんだろう)
俺はもう思考を止めて、ただ眺めることに専念した。
まず初めに見えるのは、とても艶のある毛並みに豪華な鎧のような物を着せた馬に乗る兵士の集団。
きっとあれがこの国の精鋭兵なのだろう。
そして、その周りをバラバラに広がって雑談したりしながら歩いたり走ってたり浮いてたり、なんか真剣でケンカしながら進んでたりもする集団は……おそらくギルドと呼ばれるところに所属する集団なのだろう。
その後見えてきた豪華な馬車には王様や王妃、その他国の豪華な面々が勢揃いしているのだろう。
また、あまり見ていなかったがこの列から離れた所で警戒をしている人もチラホラ……兵士や戦い慣れしたギルドのメンバーなのであろうが、こんなところまで本当にご苦労様です。
そうしてボケーッと眺めていると、その一行の内の一集団が先行して来た。
「サラタール王国の国王、タリス・サラタールが昨夜この村に御降臨なされた女神ハラスメント様をお迎えにあがりました!!」
……なんか、大事だなぁ。あと、王様の名前に様を付け忘れてるぞこの兵士。
とりあえず今わかることは、とんでもなく面倒くさいことになったことぐらいである。
そして何故か、最も大きく豪華な馬車の後ろから別の豪華な馬車が追い越して来た。
そうしてその馬車が門につき、降りてきた二人は頭に王冠を載せた40代と思われるガタイの良い男性と、物腰の柔らかそうな豪華なドレスを着た女性であった。
その光景に唖然とする俺ら村人達に対し、その二人は下が土であることを気にもせず膝をつき頭を下げてこう言った。
「我らが女神ハラスメント様が御降臨なされたと聞いて、この国で最も素晴らしい者たちと豪華な物をご用意致しました。ラヤカナ領ラヤカナ村の皆様方、女神ハラスメント様の所までこの国で最も豪華な馬車を案内して下さいませんか」
なんで国王が膝をついてんですか。
まさか俺の魔法が強かったせいでここまでの大事になるとは、本当に誰が予想できるであろうか。
あまりの異常事態に、俺にはぼんやりと突っ立っていることしか出来なかった。
「おい、アウト・ラビット!!お前今すぐ北門へ行け!!」
「は?」
「今サラタール王国のお偉いさん方がこの村に来てるんだよ!今お前を大急ぎで探しに行こうとしてたんだってのはどうでもよくて、とりあえず急ぐぞ!!」
「お、おい!?」
俺が疲れている様子なのを見てか、門番さんが俺をヒョイと肩に担ぎ上げ、北門へと全力ダッシュである。
「国王に王妃に大臣に大司祭様、他のお偉いさん方にサラタール王国の精鋭兵にギルドの冒険者のSランクにAランクの高名な方々まで揃ってるんだぞ!?」
「は、はぁ!?」
なんでそんな大事になってんだよ!?
「あ~……たぶん、昨日の……」
サヤは頭を押さえて言う。
「だろうなぁ」
英四郎も頭を押さえて言う。
……いやぁ、単なる偶然だろう。
と思いたい俺であった。
「た、たた、隊長!アウト・ラビットを連れて参りました!!」
門番さんに降ろされた俺は、北門から続く道の遠くに見える人の列を見た。
流石に村の正門である北門であり、ここの村までの道幅は10M程もとられていた。
門は半分くらいの大きさのため、道の横幅一杯に広がっているその集団はどうするのだろうとふと疑問に思う。
(それ以前にこんな小さな村にあんな人数入りきれんだろう)
俺はもう思考を止めて、ただ眺めることに専念した。
まず初めに見えるのは、とても艶のある毛並みに豪華な鎧のような物を着せた馬に乗る兵士の集団。
きっとあれがこの国の精鋭兵なのだろう。
そして、その周りをバラバラに広がって雑談したりしながら歩いたり走ってたり浮いてたり、なんか真剣でケンカしながら進んでたりもする集団は……おそらくギルドと呼ばれるところに所属する集団なのだろう。
その後見えてきた豪華な馬車には王様や王妃、その他国の豪華な面々が勢揃いしているのだろう。
また、あまり見ていなかったがこの列から離れた所で警戒をしている人もチラホラ……兵士や戦い慣れしたギルドのメンバーなのであろうが、こんなところまで本当にご苦労様です。
そうしてボケーッと眺めていると、その一行の内の一集団が先行して来た。
「サラタール王国の国王、タリス・サラタールが昨夜この村に御降臨なされた女神ハラスメント様をお迎えにあがりました!!」
……なんか、大事だなぁ。あと、王様の名前に様を付け忘れてるぞこの兵士。
とりあえず今わかることは、とんでもなく面倒くさいことになったことぐらいである。
そして何故か、最も大きく豪華な馬車の後ろから別の豪華な馬車が追い越して来た。
そうしてその馬車が門につき、降りてきた二人は頭に王冠を載せた40代と思われるガタイの良い男性と、物腰の柔らかそうな豪華なドレスを着た女性であった。
その光景に唖然とする俺ら村人達に対し、その二人は下が土であることを気にもせず膝をつき頭を下げてこう言った。
「我らが女神ハラスメント様が御降臨なされたと聞いて、この国で最も素晴らしい者たちと豪華な物をご用意致しました。ラヤカナ領ラヤカナ村の皆様方、女神ハラスメント様の所までこの国で最も豪華な馬車を案内して下さいませんか」
なんで国王が膝をついてんですか。
まさか俺の魔法が強かったせいでここまでの大事になるとは、本当に誰が予想できるであろうか。
あまりの異常事態に、俺にはぼんやりと突っ立っていることしか出来なかった。
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