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第一章 不幸な俺の不幸な人生
俺がこの世界の伝説の聖騎士だとかどんな不幸だよ!?
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「は、何で俺の名前を知ってんだ?」
この名前が伝説の聖騎士の名前で、魔力も同じとか何なの?壮大なドッキリ?
もはや半ば諦めの境地に達しつつある俺であるが、しかしここで認めたりなぞすれば決して後戻りできなることだけはわかるので、ここからの受け答えは慎重に行わなければならない。
「もしかして君は、あの伝説のパーティの子孫なのか?」
……いきなり訳のわからないことをぶつけるのはやめてくんないかなぁ、マジで。
「なんだよそれ。俺はここじゃないどっか別の世界から来たんだよ、知るわけ無いだろ」
最早、下手に嘘をつくより本当のことを全て洗いざらい話した方がいいだろうなぁと思い、そう口にする。
「なんと……まさか伝説のパーティすら知らぬ国がこの世に存在したとは……」
「いや、だーかーらー俺はここじゃないどっか別の世界から来たの!!」
そう再度強く言うと、司祭はまさかといった表情で言う。
「ま、まさか、他の異世界からやってきたなんて言いませんよね」
「いやだからそうだっつってんだろうが!!」
俺はもうこの理解の悪い司祭にイライラしながら答える。
その説明を聞いた司祭はまさかとばかりに愕然とし、顔を真っ赤にして一体その体のどこからそんな声が出てるのかと言いたくなるような声量で叫んだ。
「まさか、異世界からやってきたなんてことはあり得る筈が無い!!そんなに巨大な自然法則を捻じ曲げる魔法など、この世に存在しうる筈が無い!!」
「……は?」
「それ程までに大規模な時空転移魔法など、空想の産物ではないか!?し、信じられる筈が無い……」
司祭は今度は顔を真っ青にして言う。
(あー、目まぐるしく表情の変わるオッサンだなー)
俺は現実逃避気味にそう思う。
と、急に隣から大きく息を吸う音が聞こえ、教会の中に声が響く。
「お父さん!この人は私が連れてきたお客さんなの!!もうそんな話ばっかりしてないで、空き部屋に案内してもいい?」
……あー、やっぱりこの司祭のオッサン、サヤの親父か。
「彼、アスタナ川で全身に酷い怪我を負って、全身の血が足りなくなって瀕死の重症だったの!」
それを聞いて、先程までの狼狽がまるで嘘のように落ち着きを取り戻す。
「サヤ、それは本当かね」
「私が治癒をして、摘んだばかりの薬草も全部使ってようやく回復したけれど、私はまだ未熟だから、その……」
司祭は目を見開いてサヤと俺の顔を往復しながら見る。
そうして一つため息をついて、疲れた顔を見せる。
「……サヤ、空き部屋に連れて行ってやりなさい」
「はい!それじゃあ行きましょう、盾屋」
「お、おう」
司祭の様子に唖然としていた俺は、一先ずサヤと共に部屋へ移動する。
「サヤ、お前は案内したあと私の書斎へ来なさい」
そういって司祭が何かを呟いているのをみて、俺は来ない方が良かったかなと若干後悔した。
「……本当にここに泊まってもいいの?」
サヤに案内された部屋は、たったの二畳程の広さの部屋に硬いベットと簡素な作りの机と椅子しかない部屋であった。
しかし俺からしてみれば、毎日毎日ダンボールか草の布団、最悪は冬場にゴツゴツした河原の石の上で何も敷かず、かけるものもなく寒さと石の硬さで殆ど眠れず、尚かつ食料すらまともにとれず空腹で死にそうになったあの時か。
「狭くて何も無い部屋で、すみません」
彼女はそう申し訳なさそうに言ったが、俺は思わず彼女の手を取り言った。
「こんな豪華な場所に泊まれるとか、マジでありがたいんだけど!!あ、勿論掃除とかそういう雑用はするから!!」
本気でこんなことを言う俺に対し、サヤは少々顔を赤らめながら言う。
「雑用とかはいいですから、応急的に治癒をかけただけでまだ完治まではしてないので、今日は休んでて下さい。ご飯が出来たらまた呼びに来ますから……あの~、ちょっと恥ずかしいので手を離してもらってもいいですか?」
そう言われて、俺は慌てて手を放す。
少々言い訳を呟いていると、サヤは部屋から一歩外に出て言う。
「それでは、また後で」
そう言ってドアを閉める彼女がポツリと言った一言を、俺は聞き逃さなかった。
「(治癒に生命力をかなり使ったから、たぶん今も瀕死の筈ですし)」
……うん、今は何も考えずに寝よう。
この名前が伝説の聖騎士の名前で、魔力も同じとか何なの?壮大なドッキリ?
もはや半ば諦めの境地に達しつつある俺であるが、しかしここで認めたりなぞすれば決して後戻りできなることだけはわかるので、ここからの受け答えは慎重に行わなければならない。
「もしかして君は、あの伝説のパーティの子孫なのか?」
……いきなり訳のわからないことをぶつけるのはやめてくんないかなぁ、マジで。
「なんだよそれ。俺はここじゃないどっか別の世界から来たんだよ、知るわけ無いだろ」
最早、下手に嘘をつくより本当のことを全て洗いざらい話した方がいいだろうなぁと思い、そう口にする。
「なんと……まさか伝説のパーティすら知らぬ国がこの世に存在したとは……」
「いや、だーかーらー俺はここじゃないどっか別の世界から来たの!!」
そう再度強く言うと、司祭はまさかといった表情で言う。
「ま、まさか、他の異世界からやってきたなんて言いませんよね」
「いやだからそうだっつってんだろうが!!」
俺はもうこの理解の悪い司祭にイライラしながら答える。
その説明を聞いた司祭はまさかとばかりに愕然とし、顔を真っ赤にして一体その体のどこからそんな声が出てるのかと言いたくなるような声量で叫んだ。
「まさか、異世界からやってきたなんてことはあり得る筈が無い!!そんなに巨大な自然法則を捻じ曲げる魔法など、この世に存在しうる筈が無い!!」
「……は?」
「それ程までに大規模な時空転移魔法など、空想の産物ではないか!?し、信じられる筈が無い……」
司祭は今度は顔を真っ青にして言う。
(あー、目まぐるしく表情の変わるオッサンだなー)
俺は現実逃避気味にそう思う。
と、急に隣から大きく息を吸う音が聞こえ、教会の中に声が響く。
「お父さん!この人は私が連れてきたお客さんなの!!もうそんな話ばっかりしてないで、空き部屋に案内してもいい?」
……あー、やっぱりこの司祭のオッサン、サヤの親父か。
「彼、アスタナ川で全身に酷い怪我を負って、全身の血が足りなくなって瀕死の重症だったの!」
それを聞いて、先程までの狼狽がまるで嘘のように落ち着きを取り戻す。
「サヤ、それは本当かね」
「私が治癒をして、摘んだばかりの薬草も全部使ってようやく回復したけれど、私はまだ未熟だから、その……」
司祭は目を見開いてサヤと俺の顔を往復しながら見る。
そうして一つため息をついて、疲れた顔を見せる。
「……サヤ、空き部屋に連れて行ってやりなさい」
「はい!それじゃあ行きましょう、盾屋」
「お、おう」
司祭の様子に唖然としていた俺は、一先ずサヤと共に部屋へ移動する。
「サヤ、お前は案内したあと私の書斎へ来なさい」
そういって司祭が何かを呟いているのをみて、俺は来ない方が良かったかなと若干後悔した。
「……本当にここに泊まってもいいの?」
サヤに案内された部屋は、たったの二畳程の広さの部屋に硬いベットと簡素な作りの机と椅子しかない部屋であった。
しかし俺からしてみれば、毎日毎日ダンボールか草の布団、最悪は冬場にゴツゴツした河原の石の上で何も敷かず、かけるものもなく寒さと石の硬さで殆ど眠れず、尚かつ食料すらまともにとれず空腹で死にそうになったあの時か。
「狭くて何も無い部屋で、すみません」
彼女はそう申し訳なさそうに言ったが、俺は思わず彼女の手を取り言った。
「こんな豪華な場所に泊まれるとか、マジでありがたいんだけど!!あ、勿論掃除とかそういう雑用はするから!!」
本気でこんなことを言う俺に対し、サヤは少々顔を赤らめながら言う。
「雑用とかはいいですから、応急的に治癒をかけただけでまだ完治まではしてないので、今日は休んでて下さい。ご飯が出来たらまた呼びに来ますから……あの~、ちょっと恥ずかしいので手を離してもらってもいいですか?」
そう言われて、俺は慌てて手を放す。
少々言い訳を呟いていると、サヤは部屋から一歩外に出て言う。
「それでは、また後で」
そう言ってドアを閉める彼女がポツリと言った一言を、俺は聞き逃さなかった。
「(治癒に生命力をかなり使ったから、たぶん今も瀕死の筈ですし)」
……うん、今は何も考えずに寝よう。
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