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月空商店街にて
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彼は図書室の鍵を返却するからという理由で、私は彼よりも先に下校した。
読んでいた本は借りて居たので持って帰ってじっくりと読むつもりです。
「そういえば、明日にでも買いに行こうかな、ハルちゃんの入学祝い」
ハル、歌稀 春は幼馴染で親友の歌稀咲の妹です。
彼女とも昔から一緒に居たので今でも「ゆみお姉ちゃん」と言って慕ってくれる可愛い私からしても妹のような存在です。
咲曰く「私よりもゆみちゃん方に懐いている」らしいけれど、傍からみてるとやはり私よりも咲の方にべったりしている。
「そういえばこの前、新しい髪留めが欲しいって言ってたような」
うんと可愛いやつを買ってあげよう!……私も少し彼女に甘いというのは自覚しているけれど、もうこれは趣味みたいなもので仕方がないと割り切っている。
「明日は月空商店街に行こうかな」
この辺りでは月空商店街が最も様々な店が並んでいるのだ。
それと、この地域ではよく『月』とつく地名や店名が多く、それは過去にあった出来事が元になっているらしい。
私はその話のことはよく知らないけれど、それを知った時良い話であればいいなと思ったことは覚えている。
翌朝、空が晴れているのを確認し、買い物の用意をしている時にあることを思い出す。
「あ、まだ春の遠足準備をしてない」
彼女の通う月光学園では、毎年春に生徒同士の親睦を深めるために春の校外学習を実施している。
「今日月空商店街に行くし、丁度いいから一緒に揃えようかな」
そうとなればと咲も一緒にと誘ってみたけれど、彼女は今日クラスの女子と遊びに行く約束をしていたらしい。
「ごめん!」と謝る彼女に「いいよいいよ」と言いながら、一人かぁとちょっと思う。
元々一人で行く予定だったけれど、何人かで行く方がやっぱり楽しいよねと思っていた。
そうして9時半頃に家を出た私は、自宅から徒歩10分の商店街に着いた。
春の遠足で必要なのは弁当用のおかずとちょっとした雑貨なので、荷物になるから最後にまわして先に可愛らしい髪留めを探そうと決めている。
月空商店街では少し小さな店舗で老夫婦が経営している雑貨屋に、最近では息子夫婦が少し若者向けの商品を提案して取り入れているので、可愛い雑貨も数多いのだ。
「いらっしゃい、ええと、佐原さん?」
「鰆です。おひさしぶりです」
「あーそうそう鰆さんの、久しぶりねぇゆみちゃん」
ここには昔からよく来ていたのだけど、ここ1月程来ていなかったので苗字は間違えられたけど、鰆なんて苗字は珍しいので、よく似た佐原と間違えられるのだ。
「ゆっくり見てってね、今他に客は居ないから」
「それは珍しいですね」
「ああ、今日はお肉屋さんがタイムセールをするって言ってたからねぇ、そっちに人が行っているのよ」
ああ、肉屋のおじさん、いつも結構安く売ってるからそんなのやったら赤字になるって、この前おばさんに叱られてたのにまたやって……私も後で買いに行こうかなぁ。
そう思いつつ髪留めを見ていると、小さなピンクの花が3つ並んだ物があったので手にとってみる。
可愛い、それに値段もお手頃である。
「おばあちゃん、これプレゼント用にお願いできる?」
その後、私は最近商店街の向こう端に出来た食堂に行き、少々並んで食べた玉子焼き定食は美味しかった。
昼前になり、段々人で混雑をし始めた。
今でこそここは駅での通勤・通学の人が降りて寄っていく人が増えているけれど、数年前にはここに駅はなかったのだ。
確か7年程前に着工し始めて、4年程前に開通したのだ。
その時にここは立地がよく、よく人が通る為駅前商店街として以前より繁盛するようになったのだ。
それにより人が急に増え、最初こそは人の多さに地域住民は少しばかり戸惑ったものの、4年も経てばもうすっかり普段通りの光景である。
私は特にこれといって欲しいものはなかったけれど、久々の一人でのウィンドウショッピングを楽しむためにあちこちの店に顔を出していた。
そんな時、本屋から出てきた一人の人が目に入ってきた
「あれ……もしかして傍道君?」
読んでいた本は借りて居たので持って帰ってじっくりと読むつもりです。
「そういえば、明日にでも買いに行こうかな、ハルちゃんの入学祝い」
ハル、歌稀 春は幼馴染で親友の歌稀咲の妹です。
彼女とも昔から一緒に居たので今でも「ゆみお姉ちゃん」と言って慕ってくれる可愛い私からしても妹のような存在です。
咲曰く「私よりもゆみちゃん方に懐いている」らしいけれど、傍からみてるとやはり私よりも咲の方にべったりしている。
「そういえばこの前、新しい髪留めが欲しいって言ってたような」
うんと可愛いやつを買ってあげよう!……私も少し彼女に甘いというのは自覚しているけれど、もうこれは趣味みたいなもので仕方がないと割り切っている。
「明日は月空商店街に行こうかな」
この辺りでは月空商店街が最も様々な店が並んでいるのだ。
それと、この地域ではよく『月』とつく地名や店名が多く、それは過去にあった出来事が元になっているらしい。
私はその話のことはよく知らないけれど、それを知った時良い話であればいいなと思ったことは覚えている。
翌朝、空が晴れているのを確認し、買い物の用意をしている時にあることを思い出す。
「あ、まだ春の遠足準備をしてない」
彼女の通う月光学園では、毎年春に生徒同士の親睦を深めるために春の校外学習を実施している。
「今日月空商店街に行くし、丁度いいから一緒に揃えようかな」
そうとなればと咲も一緒にと誘ってみたけれど、彼女は今日クラスの女子と遊びに行く約束をしていたらしい。
「ごめん!」と謝る彼女に「いいよいいよ」と言いながら、一人かぁとちょっと思う。
元々一人で行く予定だったけれど、何人かで行く方がやっぱり楽しいよねと思っていた。
そうして9時半頃に家を出た私は、自宅から徒歩10分の商店街に着いた。
春の遠足で必要なのは弁当用のおかずとちょっとした雑貨なので、荷物になるから最後にまわして先に可愛らしい髪留めを探そうと決めている。
月空商店街では少し小さな店舗で老夫婦が経営している雑貨屋に、最近では息子夫婦が少し若者向けの商品を提案して取り入れているので、可愛い雑貨も数多いのだ。
「いらっしゃい、ええと、佐原さん?」
「鰆です。おひさしぶりです」
「あーそうそう鰆さんの、久しぶりねぇゆみちゃん」
ここには昔からよく来ていたのだけど、ここ1月程来ていなかったので苗字は間違えられたけど、鰆なんて苗字は珍しいので、よく似た佐原と間違えられるのだ。
「ゆっくり見てってね、今他に客は居ないから」
「それは珍しいですね」
「ああ、今日はお肉屋さんがタイムセールをするって言ってたからねぇ、そっちに人が行っているのよ」
ああ、肉屋のおじさん、いつも結構安く売ってるからそんなのやったら赤字になるって、この前おばさんに叱られてたのにまたやって……私も後で買いに行こうかなぁ。
そう思いつつ髪留めを見ていると、小さなピンクの花が3つ並んだ物があったので手にとってみる。
可愛い、それに値段もお手頃である。
「おばあちゃん、これプレゼント用にお願いできる?」
その後、私は最近商店街の向こう端に出来た食堂に行き、少々並んで食べた玉子焼き定食は美味しかった。
昼前になり、段々人で混雑をし始めた。
今でこそここは駅での通勤・通学の人が降りて寄っていく人が増えているけれど、数年前にはここに駅はなかったのだ。
確か7年程前に着工し始めて、4年程前に開通したのだ。
その時にここは立地がよく、よく人が通る為駅前商店街として以前より繁盛するようになったのだ。
それにより人が急に増え、最初こそは人の多さに地域住民は少しばかり戸惑ったものの、4年も経てばもうすっかり普段通りの光景である。
私は特にこれといって欲しいものはなかったけれど、久々の一人でのウィンドウショッピングを楽しむためにあちこちの店に顔を出していた。
そんな時、本屋から出てきた一人の人が目に入ってきた
「あれ……もしかして傍道君?」
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