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図書委員になりました
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それから土日が過ぎ、今日は月曜日。
あの後放課後も彼に話しかけようとしたのですが、その前に人だかりが出来てしまい、彼は昨日と同じように手早く帰ってしまいました。
今日は委員会集会として放課後は全学年の委員会に所属した人達はそれぞれの場所に集まって話を聞くことになっています。
なので、今日が私にとって話を聞く大きなチャンスです。
今日も彼はちゃんと居ます。
新学期3日目から休むような人はそういる訳もないとわかっていても、少しホッとする。
今日も登校してすぐに人が集まってくる。
とはいえ、毎年の経験でもう少し時期が過ぎたらそれぞれのグループに分かれて行くことはわかっていた。
それでも私の周りの人はかなり多いし、下校時などはよく色んなことに誘われる。
今日はもう授業が始まったけれど、新学期の始まってすぐだからどの授業も自己紹介や簡単なゲームなどがほとんどであった。
唯一4時間目の体育だけは、これからの予定を聞いたあとに入学式の準備をやることになっていた。
私達の担任で体育の教師である火鍋先生は「皆が力を合わせて何かをすれば自ずと友情は芽生えるものだ」と、入学式の準備に大袈裟なと思うことを言っていた。
そうして今日も時間が過ぎて行き、放課後になった。
「ごめんさっちゃん、今日は委員会集会があるから先に帰ってもらっていいかな?」
「あ、今日だったね、うん、また明日ねゆみちゃん!」
「また明日!」
そう先に帰ってもらった。
こういう時は何時も待つと言ってくれるのだけど、今日は彼女の妹が中学校に入学式すると言うことで食べに行くらしい。
私も今度、お祝いに何かあげようかなと思いつつ時計を見て、少し早めに歩き出した。
図書委員の集合場所は図書室。
私は普段皆に囲まれてワイワイ話しているため、図書室のような静かに過ごす空間にはあまり来ることがない。
「失礼します」
そう挨拶をすると、確か生徒会役員の書記である人が居た。
おそらく、全部の集会にそれぞれ役員が一人以上居るのだろう。
「あ、3年生は1番奥の席で集まって居ますので、奥へどうぞ」
そういう彼は、上靴を見て学年を判断したのだろう
今のこの学校は、3年生が赤、2年生が黄色、1年が青色のラインが入った上靴を履いているため、一目見れば何年生かの判断がつくのだ。
指示された通り奥に行くとまだ人はまばらではあるが、私のクラスの席には彼が来て座っていた。
彼は私の方をちらりと見ると、隣の椅子を少し引いて座るよう促した。
私は少し戸惑いながらも、周囲がクラス毎にまとまってる様子を見て引いてくれた席に着く。
「よろしく、鰆さん」
「うん、こちらこそよろしく、傍道君」
先週に委員長が言っていた名前を思い出し、そう挨拶をする。
それから静かに待って居ると、全クラスの図書委員が集まった。
「それでは、委員会集会を始めたいと思います」
話し合いの結果、私達のクラスは最も人気のなかった毎週金曜日の放課後に、図書室で貸出と返却の作業をすることに決まった。
最も人気がなかったのは、土日に入るこの日は友達と喋りながら帰りたいとか、のんびりしたいこの時間に拘束されるのが嫌だとか、大方その辺なのだろうと思う。
しかし、私達がこの時間に入ったのはクジやじゃんけんなどで負けたのではなく、彼の希望であった。
解散した時、私は彼にこの前のお礼を言うためにどこかに誘おうと声をかけようとした。
「鰆さん、勝手にあの時間に決めてごめんね」
「ううん、私は大丈夫だよ」
そう少し慌てて言う。
実際、私はどの曜日でもワイワイ話してたりするから、金曜日が特別嫌だとか、放課後は遠慮したいとかもなかったのだ。
そうして私が再度彼を誘おうとした時、彼の方から意外な言葉が飛び出した。
「もしこのあと時間があればでいいんだけど、ちょっと飲み物を買うのに付き合って貰ってもいいかな?」
私は彼から誘われたことに少々戸惑いながらも「うん、いいよ」と返事をした。
あの後放課後も彼に話しかけようとしたのですが、その前に人だかりが出来てしまい、彼は昨日と同じように手早く帰ってしまいました。
今日は委員会集会として放課後は全学年の委員会に所属した人達はそれぞれの場所に集まって話を聞くことになっています。
なので、今日が私にとって話を聞く大きなチャンスです。
今日も彼はちゃんと居ます。
新学期3日目から休むような人はそういる訳もないとわかっていても、少しホッとする。
今日も登校してすぐに人が集まってくる。
とはいえ、毎年の経験でもう少し時期が過ぎたらそれぞれのグループに分かれて行くことはわかっていた。
それでも私の周りの人はかなり多いし、下校時などはよく色んなことに誘われる。
今日はもう授業が始まったけれど、新学期の始まってすぐだからどの授業も自己紹介や簡単なゲームなどがほとんどであった。
唯一4時間目の体育だけは、これからの予定を聞いたあとに入学式の準備をやることになっていた。
私達の担任で体育の教師である火鍋先生は「皆が力を合わせて何かをすれば自ずと友情は芽生えるものだ」と、入学式の準備に大袈裟なと思うことを言っていた。
そうして今日も時間が過ぎて行き、放課後になった。
「ごめんさっちゃん、今日は委員会集会があるから先に帰ってもらっていいかな?」
「あ、今日だったね、うん、また明日ねゆみちゃん!」
「また明日!」
そう先に帰ってもらった。
こういう時は何時も待つと言ってくれるのだけど、今日は彼女の妹が中学校に入学式すると言うことで食べに行くらしい。
私も今度、お祝いに何かあげようかなと思いつつ時計を見て、少し早めに歩き出した。
図書委員の集合場所は図書室。
私は普段皆に囲まれてワイワイ話しているため、図書室のような静かに過ごす空間にはあまり来ることがない。
「失礼します」
そう挨拶をすると、確か生徒会役員の書記である人が居た。
おそらく、全部の集会にそれぞれ役員が一人以上居るのだろう。
「あ、3年生は1番奥の席で集まって居ますので、奥へどうぞ」
そういう彼は、上靴を見て学年を判断したのだろう
今のこの学校は、3年生が赤、2年生が黄色、1年が青色のラインが入った上靴を履いているため、一目見れば何年生かの判断がつくのだ。
指示された通り奥に行くとまだ人はまばらではあるが、私のクラスの席には彼が来て座っていた。
彼は私の方をちらりと見ると、隣の椅子を少し引いて座るよう促した。
私は少し戸惑いながらも、周囲がクラス毎にまとまってる様子を見て引いてくれた席に着く。
「よろしく、鰆さん」
「うん、こちらこそよろしく、傍道君」
先週に委員長が言っていた名前を思い出し、そう挨拶をする。
それから静かに待って居ると、全クラスの図書委員が集まった。
「それでは、委員会集会を始めたいと思います」
話し合いの結果、私達のクラスは最も人気のなかった毎週金曜日の放課後に、図書室で貸出と返却の作業をすることに決まった。
最も人気がなかったのは、土日に入るこの日は友達と喋りながら帰りたいとか、のんびりしたいこの時間に拘束されるのが嫌だとか、大方その辺なのだろうと思う。
しかし、私達がこの時間に入ったのはクジやじゃんけんなどで負けたのではなく、彼の希望であった。
解散した時、私は彼にこの前のお礼を言うためにどこかに誘おうと声をかけようとした。
「鰆さん、勝手にあの時間に決めてごめんね」
「ううん、私は大丈夫だよ」
そう少し慌てて言う。
実際、私はどの曜日でもワイワイ話してたりするから、金曜日が特別嫌だとか、放課後は遠慮したいとかもなかったのだ。
そうして私が再度彼を誘おうとした時、彼の方から意外な言葉が飛び出した。
「もしこのあと時間があればでいいんだけど、ちょっと飲み物を買うのに付き合って貰ってもいいかな?」
私は彼から誘われたことに少々戸惑いながらも「うん、いいよ」と返事をした。
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