君と皆と

アルセクト

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君が皆と違うとこ

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 私は今、机の上に置かれた新品のいろはすのペットボトルをどうしようかと悩んでいます。

 時間は少し巻き戻り、今日は月光学園の始業式。
 私、さわら 由美ゆみは親友で幼馴染の歌稀かまれ さきと共に春休み明けの今日、高校3年生となって初めての登校でした。
 私は春先にしては例年より暖かい、雲1つない快晴な空を目を細めて見ながら、高校最後の年が今のように晴れやかになりますようにと、誰にともなくそう思った。

 春休み中のことを話しながら正門をくぐり、靴箱のあるところの前に設置されている掲示板に貼られている、今年のクラス表を確認する。
「やった!またゆみちゃんと一緒だよ!」
「えへへ、私もさっちゃんと同じになれて嬉しい」
 周りも同じクラスになった、別クラスでガッカリしたり、嫌な奴が居なくて喜んでたりと様々な反応が見て取れる。
「それじゃあ教室行こっか、ゆみちゃん!」
「うん!」

「おはよー!」
「おはよう」
 と挨拶して入った教室は、当たり前ではあるけど知ってる人とよく知らない人が居た。
「おはー、久しぶり鰆さん」
「ねぇねぇ二人共、春休みは何してたのー?」
 いきなりの質問に答えるのと、知り合いが知り合いを連れてきて顔と名前を覚えるので囲まれて、私は今年も大変だなぁと思った。

 それから少しして、このクラスの担任である火鍋先生という熱い熱血漢の教師が来て、私達は皆黒板に書かれた番号順に並んで体育館へ移動し、始業式を受けた。
 それから少しして、先生の熱い志と青春してこそ学生だ!という今時珍しいセリフを最後に解散し、クラスメイトはそれぞれのグループに固まって話をしていた。

 私は私を中心として最も多くの人が集まり、その様子を見て他グループも混ざってたくさんの人が集まっていた。
 こういうたくさんの人に囲まれて話をするのは大好きだ。ワイワイはしゃいで仲良くなって、たくさんお喋りをするのはとても楽しい。
 男女関係なく皆集まって話している時間はとても幸せで、1人で居る時間は少し寂しかったので、学校が始まったというこの感覚はとても嬉しかった。
 そんな時、私はふと喉が乾いて机の上に置いていた水筒に手を伸ばす。
 しかし、それは今日の暑さと朝からの会話で飲みきってしまっていた。
 私は今買いに行けばいいかなと思ってカバンを探り、中から財布を探していた。

 そんな時、急に無言で私の机に来て、誰かが水の入ったペットボトルを置いてくれた。
 私は「ありがとう」と言おうとしたけど、その人は置きに来たときのまま無言で教室の隅の机に行き、何も言わずにカバンを持って帰っていった。
 その間ずっと黙って見ていた私は
「ゆみちゃんどうしたの?」
 という親友の言葉を聞いて「ううん、何でもない」と言って、彼のこともそうだけど、それよりも机の上のペットボトルをどうするか、悩んでいた。
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