アイテムショップ〈Acme〉

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ラブポーションプラント

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【ラブポーションプラント 育成の注意】
お買い上げいただきまことにありがとうございます。こちらの商品は、特殊な植物を利用したジョークグッズです。使用前にこちらの取扱説明書をよくお読みいただき、用途以外の目的でのご使用はご遠慮ください。用途外での使用・注意事項を守らなかったことによって引き起こされた事故・損害に関して、当社は一切の責任を負いません。あらかじめご了承ください。

【使用方法】
①開封し、しばらく外気にさらします。十分ほどで葉が開き、吸水が可能になります。
②中央の吸水器官に適度なぬめり・潤いがあることを確認し、膣内に挿入します。周囲の葉をクリトリス等に当たるように調整するとよりお楽しみいただけます。挿入前にクリトリス・乳首などを葉で刺激することも可能です。
③吸水器官が約十五分間の律動をはじめます。生長に従って、一度の律動時間は次第に長くなっていきます。

【注意】
・床など、広くて平らな場所に設置し、不安定な場所での使用は避けてください。鉢の転倒や破損、使用中の思わぬ事故の原因となることがあります。
・通常どおり水を与える代わりに女性の体液を与えることで生育を促す植物です。肛門・口腔内へは使用を避けてください。本体の育成不良・枯死の原因となります。
・精液を与えることで膣分泌液を与えるのと同等の育成効果があります。ただし、植物としての生態状、男性器への愛撫に特化したものではありません。
・ローションなどと併用することもできます。
・律動中に体調の悪化などの異常を感じた場合、すぐに使用を中止して医師にご相談ください。
・一日に二度以上の使用を禁じます。



 アイテムショップ〈Acme〉――沙也加が帰宅途中でたまたま見つけたその店の看板には、確かにそう書かれていた。といっても、特に普段と違う道を通ったわけでもなく、一度気づいてしまえばなぜそれまで気にも留めずにいたのかが不思議なくらいだった。ナチュラルで落ち着いた雑貨店のような店構えは、沙也加のような若い女性客にはウケがよさそうだった。

 何の〈アイテム〉を扱う店なのか? 店頭に出ていた手書き風の看板を見て、沙也加は思わず顔を赤らめた。

 【当店は、女性用ラブグッズの専門店です。気持ちイイ〈自分磨き〉をして、内側からのキレイを目指しませんか? 】

 ラブグッズということは、つまり〈大人のオモチャ〉というやつだ。沙也加は咄嗟に周囲を見回した――こんなところに立ち止まっていたら、変に思われるのではないか? だが、看板を見る限りまじめで清潔な印象を受けるのも確かだ。新たな美容行為のトレンド……そんな雰囲気すら感じる。

 沙也加はしばらくためらったが、結局中を見てみることにした。あけすけな書き方に恥じらいを感じただけで、関心がないわけではない。それに、店内は同年代くらいの女性たちでそれなりに賑わっている様子だったのだ。

 沙也加の想像とは少し違ったものが、店内にはたくさん陳列されていた。いかにもラブグッズというようなものもあるにはあるが、一見したところでは普通のおしゃれな雑貨屋と遜色ないような品ぞろえに見える。色とりどりの芳香剤のようなものや、瓶に入った入浴剤のようなもの、食品らしきものなどなど、本当に〈特定の目的〉に使うものなのかどうか疑わしいものばかりが目についた。みな常連なのだろう、楽しげに目当てのものを選んでいる。

 中でも異彩を放っていたのが、特設コーナーに置かれていた〈植物〉だった。どう見ても普通の多肉植物だ――鉢に植えられ、水を張ったトレーにたくさん並んでいる。そういう形の〈機械〉には見えなかった。

 〈ラブポーションプラント〉。手書き風のポップにはそう書かれていた。中央には長く突き出た器官があり、周囲に髭のようにひょろりとした細長い葉がびっしりと生え揃っている。突き出た器官と葉は、どちらもぬるぬるとした粘液に覆われていた。変わった姿だが、こういう植物もあるのだろうと納得できる外観だった。

 【水の代わりに愛液で育つ!? 不思議で気持ちいいインテリア】。ポップの説明に目を疑いつつ、沙也加はなんとなくこの植物の〈使い方〉を理解した。つまり、あの突き出た器官を体内に入れるのだろう。値段は一鉢二千五百円。高いのか安いのかも判断つきかねた。

 沙也加はそのまま二十分葛藤したが、結局一鉢買って帰ることにした。店の雰囲気からしておかしなものを取り扱っている様子はないし、あくまで植物なのだからうまく使えなくとも部屋に置いておけばいい。レジでは感じのいい女性店員が一緒に説明書を入れてくれた――だが、彼女は一瞬笑顔を消した。

 「説明書にも記載がありますが、こちらをご使用になるのは必ず一日一回のみにしてくださいね」

 なぜそんなにも念を押すのだろう。やはり、危険なものなのだろうか。沙也加は不審だったが、それは実際に〈ラブポーションプラント〉を使ってみるまでの話だった。

 「あ……」

 床に鉢を置き、試しに下着を脱いで葉先を陰核に近づけてみたのが最初だ。粘膜か、温度の変化に反応する性質でもあるのだろう。細長い葉は無防備に近づいてきた沙也加の秘裂の方へと一斉になびき、意思を持っているかのように撫でまわしはじめた。葉そのものから分泌される粘液のおかげで、ぬるぬるとした感触がたまらない。沙也加は次第に羞恥心を忘れ、脚を大きく開いてより大きな刺激を求めた。

 「くぅん! あ、あ、あぁっ! 」

 刺激されて膨らんだ陰核に細い葉が巻きつき、巧みにしごかれて沙也加は背をのけ反らせた。実に繊細な愛撫だ。だが、規模は微小でも快感は大きかった。どんなに精巧に設計された〈オモチャ〉でも、この動きは到底再現できないだろう。

 当初のためらいはどこへやら、沙也加は陰核をしごかれながら中央にそびえる吸水器官を蜜口に押し当てた。もし痛みを感じたらすぐにやめよう……そんな警戒心は、腰を落としていくにつれて薄れた。

 「あぁは……っ 」

 蜜口にあてがわれた吸水器官はぬるぬると粘り気のある分泌液を垂れ流しながらずぶずぶと奥に呑み込まれ、ぐにぐにと不思議な律動をはじめた。もちろんその間も、陰核への刺激は止まらない。

 およそ植物とは思えない複雑な動きだったが、沙也加の頭に不審や不安を俎上に載せる余裕などなかった。ごつごつとした〈かえし〉のついた吸水器官は挿入の滑らかさに反した質量と凶悪な感触で沙也加の膣壁を容赦なく擦り上げ、ぐちゅぐちゅと出し入れされるたびに、沙也加はかつて感じたこともないほどの快感に襲われた。

 腰が抜け、完全に体重を預ける形になっても、〈ラブポーションプラント〉はびくともしなかった。太い吸水器官は次第にピストン速度を速め、葉はより多くの愛液を搾り取ろうとさらに陰核を責めた。

 葉や吸水器官から出る分泌液にも、何か特殊な成分が含まれているに違いない。自分の体はこんなにも強烈な快楽を受け取ることができたのかと、無意識に口を半開きにして喘ぎながら沙也加はぼんやりと思った。

「あっ! あっ! あっ! ……あああぁ ! 」

 膣に突き立った吸水器官がひときわ深く打ち込まれ、沙也加は絶頂の身震いとともに潮を垂れこぼした。痺れたようになった下半身は完全に脱力し、とめどなく溢れる愛液と潮を浴びた〈ラブポーションプラント〉は一滴も逃すまいとするかのように葉を広げた。沙也加はふらつきながらようやく吸水器官を体から引き抜いた――愛液を吸収してやや膨らんだ〈かえし〉は、引き抜くだけの緩慢な動作ですら強い快感を生み出した。

 沙也加は床に崩れ落ち、上がり切った息を整えた。もともとの分泌液なのか沙也加の体液なのか、目の前の〈ラブポーションプラント〉はぬらぬらと蠱惑的に光を弾いている。どことなく満足そうなその姿を見ているうちに、沙也加はいったん放心、脱力していた体の奥がふたたび熱を帯びて疼き出すのを感じた。

 説明書には書いていないが、粘液に媚薬の成分でも含まれているのかもしれない。沙也加がそう感じるくらい、異常な飢えだった。奥を突き上げられたときの快感が忘れられない。植物に触れられたところだけがじんじんと痺れに似た熱を孕み、陰核の勃起も愛液の分泌も止まらない。

 だが、ラブポーションプラントが使えるのは一日に一度だ。沙也加は、試しに密集している葉の近くに指を近づけてみた。心なしか、先ほどより長く伸びたような気がする。数十分前に沙也加の陰核をしごき上げ、周囲を散々撫でまわした葉先は、沙也加の指の体温に反応してくるりと巻きつき、くすぐるように手のひらや手の甲を愛撫してきた。

 まだ、やってくれそうじゃない。葉の反応を見て、沙也加は思った。今度は上に着ているものも脱いで思い切って全裸になり、胸を近づけてみる。

 葉の反応は素早かった。鉢を抱えた沙也加の胸を縛り上げるように葉が巻きつき、ぐにぐにと揉み上げた。

 「んうぅっ……」

 乳房を這い上がった葉先が陰核のときと同じように乳首に巻きつき、刺激を与えはじめた。沙也加はさほど乳首が弱いというわけではなかったが、それでもくにくにと転がされるのはたまらない。ぬめついた葉が乳首を捕えようとしてはぷるりと取り逃がし、それがコリコリとした刺激となって沙也加を襲った。

 「………はぅっ! 」

 目を閉じて乳首への愛撫に浸っていた沙也加は、陰核に突如与えられた鮮烈な刺激に飛び上がった。見れば、植木鉢の下から根が伸びだし、上の葉と同じように沙也加の陰核に群がっている。驚いた沙也加に鉢を揺らされても、植物は沙也加の体から離れない。土をこぼさないように沙也加は鉢を床に置いたが、葉や根は限界がないかのように伸びて沙也加の弱点につきまとった。沙也加が分泌する愛液を吸って、一秒ごとにどんどん成長しているのかもしれなかった。

 細かく柔らかな毛の生えた根が、ぞりぞりと割れ目を前後する。乳首をしごき上げられながら敏感なところを一緒くたに擦られて、沙也加の腰はびくびくと震えた。

 ――我慢できない。だが、沙也加が自分で禁忌を犯そうと行動する必要はなかった。

 例の吸水器官は蛇が鎌首をもたげるようにずるりと伸びだし、鉢の縁から這い出して、床で悶えている沙也加の蜜壺にずぶりと突き刺さり、そのままぐちゅぐちゅと猥雑な音を立てて動きはじめた。先ほどよりも突き込みが激しい。沙也加は思わず四つん這いになって鉢から距離を取ろうとしたが、一度抜け出たと思った吸水器官はすぐさま背後から彼女を犯した。

 「ひぃやっ……あっ、あんっ、あぁ、そ、それだめ……! や、やめて……」

 ひと突きするごとに、奥をこね回すような執拗な動きが加えられ、陰核と乳首も同時に転がされて、沙也加はなすすべもなく二度・三度と続けざまに絶頂したが、愛液も潮も外へこぼれることはなかった。吸水器官は沙也加の愛液をたっぷりと吸い込むと、ひと回り太って満足そうに定位置に戻っていった。沙也加は息も絶え絶えに床に横たわり、さすがに限界を感じてよろよろと鉢から遠ざった。ラブポーションプラントは吸水器官をてらてらと光らせながらそこに鎮座していた。

 沙也加はしばらく脱力していたが、体の火照りが鎮まってきた頃にはこう考えていた――なんだ、二回使っても大丈夫なんじゃない。そりゃあ、ちょっと激しかったけど……。



 沙也加のラブポーションプラントは、注意書きが守られなかったことで日々目に見えて過剰に肥え太り、生長していった。律動時間は説明書どおり植物が育つにつれて長く激しく執拗になり、時には沙也加が失神してもお構いなしに彼女を犯し続けることもあった。

 沙也加は次第に恐ろしくなり、ある日の使用後に鉢をクローゼットの中にしまい込んだ。、初日に明らかになっていたように、ラブポーションプラントが一度絡みつくと少し身動きしたくらいでは解放されない。相手が意思あるものならば必死に訴えもするが、植物が相手では説得のしようもない(あるいは、声は届いているが無視されているという可能性もある)。快楽の大きさも問題だ。度が過ぎた快楽はもはや苦痛と変わらない。

 沙也加が鉢を片づけたクローゼットは、普段まったく開かないものだった。彼女はそのうちに、そんな鉢があったことをすっかり忘れてしまった。

 ――そのときは、まったく突然に訪れた。

 ある日の深夜、沙也加は脚をくすぐられるような不思議な感覚でうとうとと覚醒した。熟睡していた頭はすぐにははっきりせず、夢と現の合い間を行きつ戻りつ……しかし、ふいに両脚を持ち上げられて半身が浮き上がり、さすがに完全に目覚めた。

 見知らぬ狼藉ものが襲いかかってきたのかと沙也加は慌てて周囲を見回したが、他の人間の姿はどこにもなかった。だが、そのときに沙也加が目にした異様な光景と比べたら、たとえ侵入者であれ誰かが立っていた方がまだ状況を理解できたに違いなかった。

 部屋は、ざわざわとひとりでに蠢動する蛇の群れのような蔓草でいっぱいだった。沙也加に思い当たる理由はひとつしかなかった。あのラブポーションプラントだ。沙也加がしまい込んだクローゼットの中でひそかに生長を続け、今こうして表に出てきたに違いない。しばらく〈給水〉していなかったのに、なぜ? ――だが、そんな疑問を差し挟む余地はなかった。生長した植物は、一見しただけでは全容が掴み切れない化けもののような様相を呈していた。
沙也加は両脚を曲げた状態で蔓に縛められ、抵抗むなしく脚を大きく開かされた。

 (まさかこの蔓、あの葉っぱが育ったんじゃ……? )

 沙也加は何とか蔓草から逃れようとしたが、すでに固く縛りつけられた上に引っ張り上げられては手遅れもいいところだった。両手でほどこうとしても、かえって締まる一方で緩む気配すらない。そのうちには両腕も頭の上で拘束され、彼女は身体的な自由をまったく奪われてしまった。

 放してよ! などと喚いてみても無意味だった。新たな蔓が忍び寄ってきて衣類を引き裂かれ、肌が外気に晒される。すぐに粘液を垂らした愛撫用の蔓が集まり、我先に群がった。

 「きゃうぅっ! 」

 沙也加は思わず悲鳴を上げた。生長した蔓は、役割を分けるとともに形状も変貌を遂げていた。先端に人間の口と似た器官を備えた蔓が沙也加の陰核と乳首にしゃぶりつき、水音を立てて吸い上げながら舌先でこね回した。複数人から口淫されているかのようだ。沙也加は身をよじって逃げようとしたが、無意味なことをするなといわんばかりにさらに激しく責め立てられ、溢れた愛液は陰核についている口がじゅるじゅると吸い取った。粘液に媚薬が含まれるのは相変わらずらしく、どんなに執拗に愛撫されてもすべては快感に変換された。

 やはり、生長に必要な愛液を求める性質は変わっていないようだ。沙也加は弱い場所に加えられる刺激と全身に与えられる愛撫にともすると脱力しそうになる四肢を叱咤し、なんとか逃げ道を探そうとした。ラブポーションプラントの説明書には、確かこう書いてあった――最初の律動時間は、十五分。生長に伴って長くなる。これまでの経験からして、それは確かだった。沙也加がクローゼットにしまい込む直前では、一度挿入したら四十分は止まらなかった。その持続性と力強い突き上げがいいという声も確かにあるだろうが、もともと淡白なたちの沙也加には植物が与えてくる感覚は明らかに過剰だったのだ。そのことを思えば、今も執拗で巧みな愛撫によって体の熱は確かに上がっていたが、恐怖の方が勝った。

 これほど大きく育ってしまった今、一体どのくらい犯されることになるだろう? 五十分? 一時間? いや、もっと長いかも……。

 幸い、葉からできた蔓が周囲を這いまわっているだけで、例の吸水器官は近くにはなかった。大方、あのクローゼットの中から〈本体〉が出てくることはできていないのだろう。蔓は粘液だらけでぬめるから、うまくいけば抜け出せるチャンスがあるかも――。

 そのとき、沙也加の顔の近くに先端を膨らませた蔓が伸びてきた。どうやら、つぼみをつけているようだ。沙也加は目を奪われた。彼女に披露するかのようにそのつぼみはゆっくりと開いていき、やがて薄桃色の四弁花の中心に屹立する吸水器官が現れた。沙也加は声も出せなかった。以前はあくまで植物組織の一部と信じられた吸水器官は、粘液で覆われているのも相まって実に生々しい肉感を備えていた。

 沙也加は身の危険を察知していよいよ暴れたが、蔓はしなやかに彼女を拘束し、彼女に逃げる余地はまったくなかった。花は悠々と沙也加の股の間に移動した。沙也加は観念し、〈その時〉を待った。

 「……う、ぁあ………」

 沙也加は力なく喘いだ。花はすぐに侵入することなく、吸水器官の先端で蜜口の入り口をくちゅくちゅと探った。乳首と陰核への刺激が弱まり、それまで容赦なく与えられていた絶頂がわずかに遠のく。沙也加は息を整えたが、今度は微弱なもどかしい刺激が強烈な疼きとなって沙也加の体を震わせた。粘液に含まれる媚薬成分が、完全に肌に浸透したせいもあるだろう。花は沙也加をからかうように入り口を浅くなぞるだけだ……。

 そのときだ。

 沙也加の四肢を拘束していた蔓が緩み、彼女を解放した。乳首と陰核を弄んでいた蔓も外れ、花だけがわずかな刺激を続けていたが、体を遠ざけると近づいてくる素振りは見せるものの、彼女を押さえつけて無理やり押し入ろうという雰囲気は感じられなかった。

 逃げ出すなら、今しかない。

 「………」

 沙也加はそろそろと体を起こしたが、蔓が離れていっても体の疼きは収まらなかった。それどころか、次第に鼓動が早まって耐えがたい欲求を感じた。内ももを垂れた愛液が伝い落ち、そのひやりとした感覚さえ震えるほどの刺激になった。

 沙也加はじんじんと痺れるような欲求に屈し、ついにみずから花に近づいて挿入を求めたが、花は沙也加が近づくとかえって遠くへ離れた。周囲の蔓がゆらゆらと、挑発するように揺れる。完全にクローゼットに戻るでもなく、沙也加の様子を見守っているのだ。まるで、彼女が自分の意思で花と交わらずにはいられなくなることを知っているかのように。

 「……ねえ……」

 沙也加は声をかけたが、植物は反応を見せなかった。さっきまであんなに好き勝手にわたしを凌辱していたくせに。沙也加は逃げようとしたことも忘れて苛立った。

 「ねえッ………! 」

 わたしに買われてきたくせに。わたしがいなきゃ、とっくに枯れてたくせに。沙也加は近くの蔓を掴もうとしたが、蔓はのらりくらりと沙也加の手をかわした。

 そうしている間にも、体の熱はどんどん高まってくる。そして、沙也加はとうとうその言葉を口にした。

 「――い、挿れて………挿れてよ……っ! ――はあ、あぁぁあッ! 」

 やはり、この植物には意思があるのではないか。突如吸水器官が最奥までねじ込まれたりしなければ、沙也加はそう勘ぐったに違いなかった。実際には、それまでの無反応が嘘のようにはじまった激しい突き上げの快感に翻弄され、それどころではなかったのだが。

 こうなってしまったからには、もう簡単には止めてもらえない。絶頂を繰り返して気が触れても、体に限界が来ても、夜が明けても、また陽が落ちても、この凌辱劇は終わらないのだ。ラブポーションプラントが満足し、沙也加を解放する気になるまでは……。

 じゅぷじゅぷと蜜口を犯し続ける花に何度目かも分からない絶頂に押し上げられながら、沙也加はいつの間にか完全に気を失っていた。



 沙也加がふと目を覚ますと、窓から明るい日差しが差し込んでいた。時計を確認する――午前八時十分前。沙也加は、裸の状態でベッドの上に横たわっていた。

 部屋の状態はいつもと何ら変わりない。衣服をすべて剥ぎ取られてさえいなければ、昨夜のことはすべて夢だったのではないかと思ったことだろう。昨夜部屋中を埋め尽くして蠢いていた蔓は、跡形もなくなっていた。

 助かった……沙也加は安堵した。意識を失ったあとも犯され続けたのであろう体は鉛のように重いが、とにかく、乗り越えたのだ。

 だが、あの鉢をしまったクローゼットを確認するまでは安心できない……。

 沙也加がベッドから下りようと片足を床につけた瞬間、待っていたかのように部屋中の物陰という物陰、隙間という隙間からあの蔓が這い出てきた。ふたつ、みっつと新たな花のつぼみを備え、例の吸水器官をてらてらと光らせながら。

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