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第二章
3.生命の味※流血描写あり
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「俺も出すぞ」
裕貴が耳元でしっとりとささやく。断続的に収縮を繰り返している胎内で、深い抜き差しが再開された。ふいに胎内で裕貴が長い射精をする。
「っ……最高だ」
大地は掠れた声ですすり泣き、くたっと全身を弛緩させた。結合部を見て、まだ半分も入っていないと分かるや、激しくしゃくり上げる。
「泣くなよ、俺も悲しくなる」
裕貴が深い口づけを求めてきた。大地は泣きながら応えようと舌を絡めた。胎内に居座る雄が嘘みたいに復活した。二度目の律動に、大地は抵抗した。それも頭の上で手をまとめられ、脇を舐められる。
「愛してる、愛してる」
こちらを食い入るように見つめる裕貴の腰使いに、目を白黒とさせた。時折、背筋をしならせた。
ふっと視界の端で悠成が動いた気がする。ここで悠成を見たら裕貴の逆鱗に触れる。そのくらいの冷静な思考は残っていた。裕貴に抱かれていても、悠成への思いは枯れない。それでも、凶暴な野獣と化した裕貴から視線を外したくなかった。
「殺す、殺す」
先ほども聞こえた悠成の発言は、理性の切れた裕貴には届かなかった。苦痛のような悦楽は不協和音すらも生んだ。
「大地、かわいいな、お前はほんとにかわいい、食っちまおうか、食べたいな」
「ゅぁ、ぅ、ぁっぁ」
ひたすら敏感な局部が合わさり、裕貴と大地は何度も果てた。
「そこ、もっと」
「こうか、大地、ん? いいか」
角度が決まると頷く。すると、裕貴は幸せそうに頬を緩めた。
裕貴の腰に脚を固定した。
「そこ、そこにほしい、もっと奥に出して、突いて」
大地は自分でも耳にしたことも、口にしたこともないような言葉を吐き散らした。
「大地の汗、甘いな、精液も旨い、お前の肉も美味しいんだろうな」
裕貴の背にしがみつき、叫びをあげて絶頂を極めた。淫猥な水音、ベッドのスプリング音を最上の至福として酔いしれ、裕貴の背に爪を立てながら、陶然とした目眩に身を任せた。悠成の見ている前で大地は意識を失った。
目を覚まして目にしたのは、悠成のきれいな顔だった。彼が悲痛な表情をするから、大地も同じように胸が苦しくなる。
「大地」
愛おしげに名を呼ばれる。
「悠成、悠成」
彼が自分を見てくれたのが嬉しくて、犬みたいにじゃれついた。
「いい?」
悠成は裸だった。大地が両足を開くと、当然のように悠成が入ってきた。大地は眉間にしわを刻み、今度は悠成の背に爪を立てた。余裕のない律動に目いっぱいに涙で溢れさせた。
「あぁっ、そこっ、いい、奥に入る、だめ、届いちゃ、だめ」
口では嫌がったが、尻を揺すっていた。
「かわいいな」
悠成が大地の顔を両手で包み、濃厚な口づけを交わしてくる。上の口と舌の口を支配されると、否応にも体の芯からドロドロと溶けてしまいそうだ。嬌声を上げる口が開いたままだからか、悠成が指を差し込んでくる。大地はその二本の指を口淫するよう、舌を這わせて吸い込んだ。
「イヤらしい子だね、嫌いじゃないよ」
「悠成、おいしい」
舌っ足らずに言う。と、ふいに悠成の指から鉄っぽい味がした。悠成の手を見ると、指から先がペンキの赤で染めたように汚れている。
大地は舌の上で唾液と混ざった苦みを嚥下した。
「悠成、手が赤いよ、どうしたの、っあ」
大地が問う。悠成はジッと大地を見下ろしている。それでも腰の突き上げは止まらない。不吉な予感に襲われ、視線を窓際に流す。バスローブ姿の裕貴がカウチで寛ぎながら、こちらを凝視している。裕貴の口元が切れていた。
「言ったよね、よそ見したらだめだって、大地にはお仕置きだ」
恐る恐る悠成に視線を戻したら、彼は心から怒っているような眼で睨んでくる。手の甲の肉に歯を立て、浮き上がった血を大地の顔に落とした。
「この手に付いた血はあいつの、だから俺の血も飲んで」
傷口を口に押し当てられる。
「飲んで」
戸惑いがなかった言えば嘘になる。ただ、彼の行動を驚かなかった自分がいた。インモラルでも、自分にとってこれが普通なことだからだろう。
「もしかして飲めないの?」
悠成は絶望に震えている眼をしていた。
大地は無言のまま、舌で生温かい血をすくい取る。
「ああ、大地、愛してるよ」
手を退かして、悠成の唇と合わさる。それは生命の味がした。
裕貴が耳元でしっとりとささやく。断続的に収縮を繰り返している胎内で、深い抜き差しが再開された。ふいに胎内で裕貴が長い射精をする。
「っ……最高だ」
大地は掠れた声ですすり泣き、くたっと全身を弛緩させた。結合部を見て、まだ半分も入っていないと分かるや、激しくしゃくり上げる。
「泣くなよ、俺も悲しくなる」
裕貴が深い口づけを求めてきた。大地は泣きながら応えようと舌を絡めた。胎内に居座る雄が嘘みたいに復活した。二度目の律動に、大地は抵抗した。それも頭の上で手をまとめられ、脇を舐められる。
「愛してる、愛してる」
こちらを食い入るように見つめる裕貴の腰使いに、目を白黒とさせた。時折、背筋をしならせた。
ふっと視界の端で悠成が動いた気がする。ここで悠成を見たら裕貴の逆鱗に触れる。そのくらいの冷静な思考は残っていた。裕貴に抱かれていても、悠成への思いは枯れない。それでも、凶暴な野獣と化した裕貴から視線を外したくなかった。
「殺す、殺す」
先ほども聞こえた悠成の発言は、理性の切れた裕貴には届かなかった。苦痛のような悦楽は不協和音すらも生んだ。
「大地、かわいいな、お前はほんとにかわいい、食っちまおうか、食べたいな」
「ゅぁ、ぅ、ぁっぁ」
ひたすら敏感な局部が合わさり、裕貴と大地は何度も果てた。
「そこ、もっと」
「こうか、大地、ん? いいか」
角度が決まると頷く。すると、裕貴は幸せそうに頬を緩めた。
裕貴の腰に脚を固定した。
「そこ、そこにほしい、もっと奥に出して、突いて」
大地は自分でも耳にしたことも、口にしたこともないような言葉を吐き散らした。
「大地の汗、甘いな、精液も旨い、お前の肉も美味しいんだろうな」
裕貴の背にしがみつき、叫びをあげて絶頂を極めた。淫猥な水音、ベッドのスプリング音を最上の至福として酔いしれ、裕貴の背に爪を立てながら、陶然とした目眩に身を任せた。悠成の見ている前で大地は意識を失った。
目を覚まして目にしたのは、悠成のきれいな顔だった。彼が悲痛な表情をするから、大地も同じように胸が苦しくなる。
「大地」
愛おしげに名を呼ばれる。
「悠成、悠成」
彼が自分を見てくれたのが嬉しくて、犬みたいにじゃれついた。
「いい?」
悠成は裸だった。大地が両足を開くと、当然のように悠成が入ってきた。大地は眉間にしわを刻み、今度は悠成の背に爪を立てた。余裕のない律動に目いっぱいに涙で溢れさせた。
「あぁっ、そこっ、いい、奥に入る、だめ、届いちゃ、だめ」
口では嫌がったが、尻を揺すっていた。
「かわいいな」
悠成が大地の顔を両手で包み、濃厚な口づけを交わしてくる。上の口と舌の口を支配されると、否応にも体の芯からドロドロと溶けてしまいそうだ。嬌声を上げる口が開いたままだからか、悠成が指を差し込んでくる。大地はその二本の指を口淫するよう、舌を這わせて吸い込んだ。
「イヤらしい子だね、嫌いじゃないよ」
「悠成、おいしい」
舌っ足らずに言う。と、ふいに悠成の指から鉄っぽい味がした。悠成の手を見ると、指から先がペンキの赤で染めたように汚れている。
大地は舌の上で唾液と混ざった苦みを嚥下した。
「悠成、手が赤いよ、どうしたの、っあ」
大地が問う。悠成はジッと大地を見下ろしている。それでも腰の突き上げは止まらない。不吉な予感に襲われ、視線を窓際に流す。バスローブ姿の裕貴がカウチで寛ぎながら、こちらを凝視している。裕貴の口元が切れていた。
「言ったよね、よそ見したらだめだって、大地にはお仕置きだ」
恐る恐る悠成に視線を戻したら、彼は心から怒っているような眼で睨んでくる。手の甲の肉に歯を立て、浮き上がった血を大地の顔に落とした。
「この手に付いた血はあいつの、だから俺の血も飲んで」
傷口を口に押し当てられる。
「飲んで」
戸惑いがなかった言えば嘘になる。ただ、彼の行動を驚かなかった自分がいた。インモラルでも、自分にとってこれが普通なことだからだろう。
「もしかして飲めないの?」
悠成は絶望に震えている眼をしていた。
大地は無言のまま、舌で生温かい血をすくい取る。
「ああ、大地、愛してるよ」
手を退かして、悠成の唇と合わさる。それは生命の味がした。
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