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第一章
5.告白※
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「いいと思う」
悠成の黒い目が大地を見た。彼の瞳が見開かれる。
「もっと近付いてよ」
「大地っ」
悠成は大地の首に顔を埋めて、鼻を動かす。大地の体臭を嗅いでいるのだ。悠成の行動は、ただの友達に向けたものではない。彼は大地に執着していると気が付いているのか。
「ああ落ち着く、ずっとこうしたかった」
大地は悠成をはね除けなかった。彼に押し倒されても、されるがままだった。床の上で、悠成に体をまさぐられても、拒絶して良いのか受け入れるべきか戸惑うだけだ。うめき声すら出せず、出てくるのは心に反したあえぎ声だけだ。
「っん、っう、ぁ」
何かがおかしいと感じても、悠成を拒絶できなかった。
「大地、俺を止めてよ、俺を殴れよ」
そう言うくせに、悠成の手は大地の性器をしつように扱く。
「っあぁあっ、う、ぁ、いい」
親しい友人だとばかり思っていた悠成が、その大きな手で大地を征服しようと手淫する。
涙で視界が濡れているのに、全身が喜んでいる。どうしよう頭が壊れる。抵抗したいのに、悠成を叱りたいのに、心が追いつかなかった。確かにそこにあった淡い感情が、悠成の見せたどす黒い欲望によって覆い尽くされる。
「キスしていい? ねぇ、したい、させて」
悠成の美しい顔が近付いてくる。どうして自分の体をもてあそぶのだろう、という不安が脳裏をよぎる。正常な思考が激しく揺れ動く。このまま口づけを受け入れたら、何かを見過ごしてしまう。それは友情とかきれいなものではなく、悠成への純粋なまでの好意であった。それだけは失いたくなかった。
震える手で、悠成の腕を押しのけた。
「だめだっ」
ようやく頭が体に追いついた。
「なんなんだよ、悠成、どうして」
悠成の体に触れた手はこわばり、まるで凍っているかのように冷たい。床を這いずり回って扉に背を預ける。それだけで悠成は傷ついたような顔を見せた。
「傷ついたのは僕のほうだ」
悠成の黒い目が悲しげに揺れる。それだけで胸が締め付けられる。彼に抱いていた思いが初恋なのだと知る。
大地は繰り返し、彼の名を呼ぶ。
「恋人に振られたからって酷いよ、悠成は酷いっ、悠成は僕が嫌いなんだ、きっとそうだ、だからこんなことを、」
のそりと悠成が立ち上がる。こちらににじり寄って来るから、大地は扉の取っ手を掴む。もうこの家から出て行こう。大雨のなか山を降りていくには不安だった。が、そうしないと自分たちの関係は、取り返しが付かないことになる。
「俺が大地を嫌い?」
底冷えのする声だった。扉の前で膝をついた悠成が、大地を抱きしめる。いや、しがみついてくるの間違いだ。
「こんなに大地のことだけしか考えられないのに、その感情が嫌悪だって言いたいの? 違うよね、俺は俺は」
大地は乾いた笑い声を零す。悠成は単純な言葉すらくれない。ここまで来たのに、悠成はおじけづく。
「悠成は独りで飛ばしすぎなんだ、僕の気持ちはどうなるんだ」
「大地は俺の全てだ」
全てと言われたら期待してしまう。
「な、なら、僕を雑に扱うなよ」
紳士であれ、とまでは言わない。友人としてみていなくても良いから、ぞんざいに接さないでくれ。
「ごめん、もうしない、大地の嫌がることはしない」
叱られた子供みたいな顔をしている。どうしてそんな顔を自分に見せるのだろう。
「ねぇ悠成、僕は君が好きだよ、どこがって言ったら、その人を見下したような顔以外だよ」
悠成が守ろうとしていた砦を、大地は無意識のうちに破壊した。
悠成の黒い目が大地を見た。彼の瞳が見開かれる。
「もっと近付いてよ」
「大地っ」
悠成は大地の首に顔を埋めて、鼻を動かす。大地の体臭を嗅いでいるのだ。悠成の行動は、ただの友達に向けたものではない。彼は大地に執着していると気が付いているのか。
「ああ落ち着く、ずっとこうしたかった」
大地は悠成をはね除けなかった。彼に押し倒されても、されるがままだった。床の上で、悠成に体をまさぐられても、拒絶して良いのか受け入れるべきか戸惑うだけだ。うめき声すら出せず、出てくるのは心に反したあえぎ声だけだ。
「っん、っう、ぁ」
何かがおかしいと感じても、悠成を拒絶できなかった。
「大地、俺を止めてよ、俺を殴れよ」
そう言うくせに、悠成の手は大地の性器をしつように扱く。
「っあぁあっ、う、ぁ、いい」
親しい友人だとばかり思っていた悠成が、その大きな手で大地を征服しようと手淫する。
涙で視界が濡れているのに、全身が喜んでいる。どうしよう頭が壊れる。抵抗したいのに、悠成を叱りたいのに、心が追いつかなかった。確かにそこにあった淡い感情が、悠成の見せたどす黒い欲望によって覆い尽くされる。
「キスしていい? ねぇ、したい、させて」
悠成の美しい顔が近付いてくる。どうして自分の体をもてあそぶのだろう、という不安が脳裏をよぎる。正常な思考が激しく揺れ動く。このまま口づけを受け入れたら、何かを見過ごしてしまう。それは友情とかきれいなものではなく、悠成への純粋なまでの好意であった。それだけは失いたくなかった。
震える手で、悠成の腕を押しのけた。
「だめだっ」
ようやく頭が体に追いついた。
「なんなんだよ、悠成、どうして」
悠成の体に触れた手はこわばり、まるで凍っているかのように冷たい。床を這いずり回って扉に背を預ける。それだけで悠成は傷ついたような顔を見せた。
「傷ついたのは僕のほうだ」
悠成の黒い目が悲しげに揺れる。それだけで胸が締め付けられる。彼に抱いていた思いが初恋なのだと知る。
大地は繰り返し、彼の名を呼ぶ。
「恋人に振られたからって酷いよ、悠成は酷いっ、悠成は僕が嫌いなんだ、きっとそうだ、だからこんなことを、」
のそりと悠成が立ち上がる。こちらににじり寄って来るから、大地は扉の取っ手を掴む。もうこの家から出て行こう。大雨のなか山を降りていくには不安だった。が、そうしないと自分たちの関係は、取り返しが付かないことになる。
「俺が大地を嫌い?」
底冷えのする声だった。扉の前で膝をついた悠成が、大地を抱きしめる。いや、しがみついてくるの間違いだ。
「こんなに大地のことだけしか考えられないのに、その感情が嫌悪だって言いたいの? 違うよね、俺は俺は」
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全てと言われたら期待してしまう。
「な、なら、僕を雑に扱うなよ」
紳士であれ、とまでは言わない。友人としてみていなくても良いから、ぞんざいに接さないでくれ。
「ごめん、もうしない、大地の嫌がることはしない」
叱られた子供みたいな顔をしている。どうしてそんな顔を自分に見せるのだろう。
「ねぇ悠成、僕は君が好きだよ、どこがって言ったら、その人を見下したような顔以外だよ」
悠成が守ろうとしていた砦を、大地は無意識のうちに破壊した。
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