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1.プロローグ
しおりを挟む「ロザリア様は、俺が生涯をかけてお守りすると誓いましょう」
「アーロン、約束よ」
春の暖かな日差しの中で、幼い王女に彼女の初恋の騎士は言った。
一生をかけて彼女を守ると。
だが、その誓いが守られる事は無かった。
それから十年後、彼女は国に災いをもたらすという洞窟の魔物を鎮めるための生贄として選び出された。
◇
この国で『洞窟の災厄』と呼ばれるかの魔物は、魔力が高く年若い女の魂を求めるという。
『食事』に満足すれば、数十年は姿を現す事は無い。
だが、その欲求が十分に満たされなければ、満足な生贄を喰らうまで、周囲の村や街を害し続けるのだという。
数百年前、そんな馬鹿げた風習は人道的に廃止すべきだと、時の国王が生贄を出し渋った際は、国の半分以上が焦土と化し、疫病が蔓延したという。
それを憂い、これまでに何度も大規模な討伐が計画された。
しかし、それは尽く失敗に終わってしまっていた。
八年前に行われた騎士団による討伐もその例外では無かった。
そのすぐ後、近衛騎士アーロンはその職を辞し、彼女の前から姿を消したのだった。
◇
最期に一目で良いから、あなたに会いたい・・・アーロン。
彼女は、記憶の中で初々しく微笑む、夏の青空のような瞳と黒い髪に思いを馳せた。
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