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14.夜会の誘い
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「今度、夜会に一緒に出てほしいのですが・・・」
キースから唐突に、お願いを受けたシャーロットは動揺していた。
一応承知はしてみたものの、今まで一緒に出るようなパートナーも居なかったし、夜会に出るなど何年ぶりか分からなかった。
今更、何を着ていけばいいのかもわからない。
その場に見合うような格のドレスは持っていないことも無いが、長らくそんなものを身に着ける暇もなかった為、現在自分がどんなドレスを持っているのかさえ把握していなかった。
揃えたのはもう十年近く前ということもあり、随分古めかしくなっているに違いない。
新しく仕立て直したほうが良いだろうか・・・。
それに、もうダンスの仕方も忘れてしまっていた。
昨年デビュタントを終えたばかりの妹の方がよっぽど自分より上手いに違いない。
特訓しなくては、キースに恥を掻かせてしまうだろう。
◇
現在、シャーロットが不遇な立場に置かれている大きな原因の一つは、彼女の父親かもしれない。
彼は悪い人ではない。
否、寧ろ伯爵という、その立場に見合わぬほどの無垢さを持った善人だった。
例えば、同情を誘うような話をされれば、可哀想にと言って、自分が必要な分も含めて後先のことも考えずに、相手に持っているもの全てを与えてしまうような・・・。
常にシャーロットが気を張っていなければ、何の浪費もしていないのに、忽ちこの家の資金は目減りしていく一方だった。
彼女もそれなりに寄付はするし、慈悲の心が無かったわけではないが、とにかく父は度を越していた。
彼女は父のことを考えると、彼は聖職者にでもなった方が良かったのではないだろうかと思うことがあった。
キースから唐突に、お願いを受けたシャーロットは動揺していた。
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揃えたのはもう十年近く前ということもあり、随分古めかしくなっているに違いない。
新しく仕立て直したほうが良いだろうか・・・。
それに、もうダンスの仕方も忘れてしまっていた。
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特訓しなくては、キースに恥を掻かせてしまうだろう。
◇
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