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3.幼馴染
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伯爵令嬢と公爵が友人というのは、一見すると、いささか不自然に思えるかもしれない。
だが、この二人の縁は、亡くなったシャーロットの母と、彼の母が友人同士で、お互いの屋敷を良く行き来していたのが始まり、というごく自然なものだった。
シャーロットは三姉妹の長女だったが、アルバートは二人兄弟。
彼にはキースという年の離れた弟がいた。
二人はお互い長子同士でよく話が合った。
家格の差はあったが、何でも忌憚なく話せる間柄と言って良かった。
実際、シャーロットは彼に友人として、幼い頃から様々な相談に乗ってもらっていた。
とはいっても、それは以前の話で、彼は数年前に妻を迎えていることもあり、近頃はこちらから連絡を取ること自体が稀だった。
たとえ本人同士は友人関係だと思っていても、独り身の女である自分が既婚者の彼に近付けば、お互いにとって不本意で下世話な噂を立てられるであろうことは明白だった。
それに彼の妻だって、心穏やかでは居られなくなってしまうだろう。
もし自分が彼の妻の立場で、夫の周囲にそんな女が彷徨いていたとしたら、間違いなく不愉快に感じるに違いないとシャーロットは思った。
アルバートのことは大切な友人だったが、周囲を不幸にしてまで関係を保つ必要はないとシャーロットは考えていた。
別に、連絡しないからと言って自然消滅してしまうのならば、それでも構わないとも思っていた。
だが、まったくもってスムーズに行かない婚約者探しにおいて、自力の限界を感じた彼女は、悩んだ末、今まで守り続けてきた信条とプライドをかなぐり捨てる事にした。
それが、先のアルバート宛ての手紙を書くという行為に繋がったのだった。
そして、結論として、単刀直入に言えば『誰か良い人を紹介してほしい』とアルバートに嘆願したのだった。
だが、この二人の縁は、亡くなったシャーロットの母と、彼の母が友人同士で、お互いの屋敷を良く行き来していたのが始まり、というごく自然なものだった。
シャーロットは三姉妹の長女だったが、アルバートは二人兄弟。
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二人はお互い長子同士でよく話が合った。
家格の差はあったが、何でも忌憚なく話せる間柄と言って良かった。
実際、シャーロットは彼に友人として、幼い頃から様々な相談に乗ってもらっていた。
とはいっても、それは以前の話で、彼は数年前に妻を迎えていることもあり、近頃はこちらから連絡を取ること自体が稀だった。
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もし自分が彼の妻の立場で、夫の周囲にそんな女が彷徨いていたとしたら、間違いなく不愉快に感じるに違いないとシャーロットは思った。
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別に、連絡しないからと言って自然消滅してしまうのならば、それでも構わないとも思っていた。
だが、まったくもってスムーズに行かない婚約者探しにおいて、自力の限界を感じた彼女は、悩んだ末、今まで守り続けてきた信条とプライドをかなぐり捨てる事にした。
それが、先のアルバート宛ての手紙を書くという行為に繋がったのだった。
そして、結論として、単刀直入に言えば『誰か良い人を紹介してほしい』とアルバートに嘆願したのだった。
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