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番外編
晩餐のあと
しおりを挟む晩餐を終えた、ナーヴェとアメリア。
「今日はまだもう少し確認したい書類が残っているから、君は先に眠っていてくれないか?」
ナーヴェはアメリアを寝室まで送りとどけ、彼女から就寝の挨拶を聞くとにこやかに微笑んで、また来た廊下を戻っていった。
静かな寝室に一人佇むアメリア。
今はナーヴェの仕事が終わるのを待っているだけにも関わらず、とても幸せな気分だった。
ナーヴェは先に眠って、と言っていたが彼女は何だか眠る前にもう一度、彼の顔が見たいような気がして、眠らずに窓のほうを眺めながらベッドに横たわっていた。
それから1時間ほどして、音もなく扉が開いたかと思うと、誰かが近づいてくるような気配がした。
ナーヴェ様だわ、お仕事が終わったのね・・・
と扉側に背を向けていたアメリアは思った。
一度起き上がるために態勢を正そうとすると、耳のあたりにナーヴェの柔らかな髪がふわりと触れたのを感じた。
彼のぬくもりが伝わってきたアメリアは、急に自分の胸の鼓動が騒がしくなったように感じられた。
彼女は咄嗟に目を瞑った。
どうもナーヴェはアメリアが眠っていると思っているらしい。
彼女の両頬に優しく手を添えてから、ゆっくりと口づけを落とした。
彼女はつい驚いて目を開けてしまった。
「あ・・・」
すると、穏やかな翡翠色の瞳がこちらを見つめていた。
「ナーヴェ様・・・」
アメリアの顔は真っ赤だった。
「起こしてしまったかな?愛しい眠り姫・・・」
アメリアは起き上がり、それから二人で少し話をした。
ナーヴェはいつでも楽しそうに頷きながら、彼女の話を聞いてくれる。
ちょうど日付が変わる時刻になった。
「少し目を瞑って待っていて・・・」
アメリアが目を瞑ってから数分が経っただろうか、一度この場を離れた彼が戻ってきたような感じがした。
「・・・目を開けて」
彼女が目を開くと、頬を赤く染めたナーヴェがいた。
彼はどこから持ってきたのか、沢山の百合が束ねられた大きな花束をアメリアに手渡したのだった。
「本当は朝になったら渡すつもりで用意をしていたのだけれど・・・待ちきれなくて・・・」
彼の照れるような顔を見たアメリアは、いつも綺麗な顔をなさっているけれど、こういう顔をするととても可愛らしい方だわ・・・としみじみ思った。
「誰よりも早く君に言いたかったから・・・誕生日おめでとう!アメリア」
花束を貰ったことは嬉しかったが、やはり自分にとって一番の喜びは彼が笑顔で隣にいてくれることなのだと、アメリアは今の幸せに感謝したのだった。
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