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第一章 東京近郊区間

旅行に行こうと思う

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翌日。
朝起きると、すぐ隣にはゆーりさんが寝ていた。
あったかいお布団でくっついて寝るのはやっぱり幸せ…

「ふわ…はやとぉ…おはよ」

「おはよぉ」

「もう後ろ大丈夫?痛み止めすぐ効くと思うけど」

「うん。全然大丈夫だよ」

「朝ごはん食べよっか。昨日の夜から食べてないでしょ」

「はーい…ふわ...」

ゆーりさんに言われるがままに、歯を磨いたり顔を洗ったりする。
替えのTシャツをもらうと、食卓について朝ごはんを食べる。

「美味しい?」

「うん」

「よかった~」

「なんでよ」

「いや…まずかったらどうしようかなって思ってね」

「ゆーりさん料理上手なんだから大丈夫だよ」

「えへへ~そんなことないって~」

寝起きのゆーりさんは何故かお酒に酔ったみたいになる。
人生の上位に入る謎の一つだ。

サクッと朝ごはんを完食すると、そろそろ家に帰る準備をする。

「一人で大丈夫? 駅まで送っていこうか?」

「小学生じゃあるまいし。大丈夫だよ」

「そっか。んじゃ、またなんかあったらいつでも連絡してね?」

「もちろん!今日はありがと!」

「全然大丈夫だよ~バイバイ~」

のんびりとした口調で見送ってもらうと、数分間の距離を歩いて勝田台駅に到着した。
勝田台駅には2路線が乗り入れていて、一つは京成、もう一つは東葉勝田台線って言って、地下鉄東西線とたまに直通運転してる鉄道会社だ。
運賃も高いで有名だね。

そんな東葉高速鉄道さんは置いておいて、京成本線で来た道をもどる。
英語で「Keisei」と書かれた大きな看板の下をくぐって改札に入ると、上野方面と書かれたホームで快速電車に乗り込む。

時計を見ると、朝の9時過ぎ。
通勤ラッシュはしばらく落ち着き、車内はそんなに混雑していない。
都心に近づくにつれて人はどんどん多くなる。

船橋で乗り換えるのも面倒くさかったから、上野まで乗って、そこから山手線に乗り換えることにした。

電車から降りて、人混みにそっていくように改札を抜けると、地下通路を数分歩く。
するとすぐに大きなJRの改札が見えてくるので、同じようにSuicaをタッチする。

山手線は2・3番線ホーム。
電子レンジみたいな見た目をした緑の電車に乗り込むと、空いていた席に座って一息着く。
都会の乗り換えは本当に疲れる。けどそこがいいんだけどね。

スマホを取り出してチャットアプリを確認すると、数人の人から連絡が来ていた。
お尻がまだアレだから断って、3日間ぐらいお休みを取ろう。

久しぶりに旅行に行くのもいいな…
寒くなってきたし、温泉とかいいかもな…
草津温泉か箱根温泉…
近場だしそんなにお金もかからないかも。帰ったら調べてみよ

そんなことを思いながら、山手線をほぼ半周乗り通す。
恵比寿駅で降りると、日比谷線に乗り換える。

地下鉄の改札に入るときに、上野駅で日比谷線に乗っておけばよかったじゃんと思い出してちょっと後悔。
まあそんなに時間も変わらないし…と複雑な思いで手すりにつかまりながらちょっと混雑した車内をやり過ごす。

「中目黒~、中目黒です」

電車は東急線直通の特急。ここで降りる人も多ければ、乗る人も多い。
幸い中には取り残されずに、無事改札を出ることができた。

久しぶりの旅行に心を躍らせながら、家までの道のりをるんるんと歩く。

アパートの目の前に着くと、階段をトントンと上がる。
2階について、顔を上げた瞬間に、人影が数人目の前に見えた。

スーツを着た小太りでガタイのいい人が三人ほど、僕の部屋の前で立っていた。

続く
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