バイトの後輩があまりにもショタで困る

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第三章 春愁

好き、って

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「りょうや~?」

洗い物が終わり、後ろを振り返ると、りょうやはすでにすーすーと寝息を立てていた。
本当はお客さんの数、だいぶ増えてきてたのに…。

店長は忙しい中、俺にりょうやの家の合鍵を渡してくれた。

ーーー

「えっ…今からりょうやの家に…ですか?」

「ちょっと心配だからね…。お店は私一人で回せるから、中野くん行ってきなさい」

「ってかなんで合鍵持ってるんですか」

「詳しいことはいいから…。あと、、、」

「…?」

「うまくいくことを祈ってるよ…」

そう言われ、俺は店からりょうやの家に向かった。

ーーー

顔を赤くしてすやすやと眠っている。
こうしてみると、寝顔も意外とかわいいもんだ。

なんというか…。
母性本能が刺激される…?

額を触ってみると、先ほどよりは熱は下がっているように見える。
っていうか…頭痛薬とか飲んどけよ、、もう成人してるんだから…。

前髪をあげて、ぬるくなった冷えピタを剥がし、新しいのに交換する。

「ん…、、」

冷たいものを貼ると、少しだけ苦しそうに目をギュッとした後に、また可愛らしい顔に戻った。
ベッドの隣に椅子を置いて、少しだけ隣に座ってみる。
それと同時に、俺は昨日のりょうやの話を思い出した。

『僕は先輩のことが好きです。何で自分がそう思うのかはわかりません…けど、自分の好きな人にチョコをあげられるのが、バレンタインだと思うんです!』

好きな人…か。
今は多様性の時間だかなんだか…。
「普通」とはよくいうけど、男が女を好きになる、そういうのを「普通」と呼ぶ時代は終わった。
それを俺は身をもって体感している。

俺は自分に聞いた。
俺はりょうやのことが好きなのだろうか。

いや、実際には「好き」という感情をあまり知らないのかもしれない。
初恋の相手…青春…胸の高まり…。

抽象的な言葉はいくらでも存在する。
しかし、「好き」という概念は、一体なんなんだろう。

考えてもみろ。
俺はりょうやとキスをしたいのか?
セックスがしたいのか?

そんなわけない。
俺はこいつに性的な感情を抱くことはない。
けど、性的感情を持つことが、「好き」ということなのだろうか?

俺は小さいころから、女性を恋愛対象にしていた。
クラスで胸が大きい女子で妄想をしたり、ラッキースケベが見れると興奮した。
オナニーのオカズも女性だった。というか、それが男子になる想像がつかない。

俺はりょうやをオカズにオナニーできるか。
いや、できない。

同じようなことばっかり繰り返しているのだと思うだろう。
しかし、俺は自分に問いかけたい。

りょうやに対する、この言葉にできない感情はなんだ。

守ってあげたい、支えてあげたい。
寝顔が可愛らしい。笑顔が愛おしい。

けど、これは恋愛感情を持つ人に言う言葉なのだろうか。
むしろ、親が子供に向けて感じる、一種の母性本能なのではないだろうか。


りょうやは、俺が好きだ。
それは彼自身から聞いた話だ。

しかし、りょうやはなんで俺が好きなのか。
少し前まで、大学の女性と付き合っていただろうし、男性が好き、と言うようには見えなかった。

温泉旅行のあの日を思い出す。
あの時、りょうやは確実に、俺をオカズにオナニーをしていたんだろう。
つまり、俺に性的感情を持っている、と言うことになるのか…?

俺は考え込んでいるうちに、よくわからなくなった。
目をりょうやの方に落とし込んでみる。

若干赤い頬、整った目元、小さく開いた口。

「かわいい」

俺は思わずそう呟いた。
これは俺の思っていることだ。好きでもなく、嫌いでもなく。
ただかわいい。りょうやのことがかわいい。そして、その存在を、ずっと守っていたい。
そう、思った。

続く
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