バイトの後輩があまりにもショタで困る

のりたまご飯

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第三章 春愁

デジャヴ?

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バレンタインコンテストが始まってからはや三日が経過した。
途中集計はないので、最後の結果をまつばかりだ。

すでに多くの客から注文をもらっている。ケーキセットは100食以上売りでる大盛況だ。
おかげで厨房担当の日はケーキの準備で大忙しだけどな。

「ごちそうさまでした~」

「あっ、ありがとうございます。」

「どっちもめっちゃ美味しかったです!チョコクリームケーキの方に投票しました!」

なんてありがたい言葉なんだ。目から汗が…
ちなみに、ケーキが誰の作品なのかは公表されていない。
ケーキセットについてくる1枚の投票券はお客さんの判断でレジ横の投票箱へと入れられる。

「投票ありがとうございます。結果発表も楽しみにしてくださいね」

女子高生に自分の作品を食べてもらうのは正直かなり嬉しい。
この場を用意してくれた店長に感謝だな。
っていうかここ最近店長に感謝してばっかりだ。そろそろやらかしてもらわないとバランスが釣り合わない。


時刻は17時を回り、本日の営業が終了した。
外は二月といえどまだまだ真っ暗だ。閉店準備をしていると、同じく帰り支度をしていたりょうやに呼び止められる。

「先輩…あの」

「ん?どした~?」

「今日久しぶりにご飯行きませんか…?」

「えっ、どうしたの珍しい」

「この前のクリスマスの奢り、まだしてないなって思って」

「あーあれな…」

どうしよう。
大人しく店長に喋ってしまったことを詫びるべきか。
このまま隠し通したままご飯を奢ってもらうだなんて俺はどんだけクズな先輩なんだ…
いかんぞ…このままじゃいかんぞっ!

解決策を頭の中で考えると、質問に返事する。

「やっぱり大丈夫だよ。シフト変わるとか全然問題ないし。先輩が後輩に奢られるっていうのもな。」

「えっ…でも、、」

「俺が大丈夫って言ったらいいの~。あっご飯は全然大丈夫よ!俺奢るし」

「そんなっ、悪いですよお…」

「りょうやも将来後輩ができたらこうしてあげな。ほらっ、早く準備。俺もすぐ終わるから」

「…わかりました」

少し落ち込んだ表情をして、りょうやはロッカーの方へと向かっていった。
誰も人のいない店内の机を拭き、レジの金額を確かめたら閉店準備は完了だ。

「先輩手伝いましょうか?」

「いや、終わったから大丈夫よ~。着替えてくるからまってて」

「りょーかいです。」


電気を消し、店舗の鍵を閉めると、二人で駅前の方へと歩いていく。

「どこ行く~?お店全然決めてもいいよ!」

「僕はなんでも大丈夫ですけど…」

「そんな遠慮しなくてもいいのに~w」

「一応食べさせてもらう側なので…」

さすがりょうや。そこら辺はやっぱりしっかりしてるな…

「じゃあやっぱ飲んじゃうか~?あっでも明日とか大丈夫…?一限目入ってたりしない?」

「明日はお休みなので大丈夫ですよ!午後からはバイト入ってますし。」

「あっそっか…」

「逆に先輩は大丈夫なんですか?二日酔いでバイトしたらさすがの店長でも怒ると思いますよ?」

「ぐぬぬ…」

この前高校時代の友人と飲んでたら思わず翌日がバイトなの忘れてて危うく二日酔い出勤をしかけたことを思い出した。
さすがの店長も怒るかぁ…

「まあビール一杯ぐらいだって…」

「僕は全然飲めますけどね?」

その体で言われても説得力がないんだよなぁ…


まあめっちゃ飲むんだけどね。

「ぷはーっ!」

口の周りに白い泡をつけながら、ビール1ジョッキをごくごくと飲んでいく。
飲みっぷりはあっぱれといったところか。

入店から30分もたたないうちに、りょうやはすでにジョッキ二杯目に入っていた。
適当に頼んだおかずをつまみながら、適当な話題を振っていく。

「そういやさ、デザートコンテスト、結果はいつ出るんだっけ」

「たしかばれんたいんのつぎのひじゃなかったでしたっけ」

「そっか。りょうや、今回は残念だったな...また次がんばれば大丈夫!」

「…」

なぜか急に黙り込むりょうや氏。
あれっ、俺何もまずいこと言ってないよな?

「次はいつやるのかな...。あっ、けど俺は今回もちろん自信たっぷりだけどな。」

「…」

言い方を変えてみるも効果はなし…。
もしかしてあんまり手応えがないからか、、?
よし、この話題からは遠ざかろう。

「そういや大学の方はどうなんだ?」

「まいにちたのしくやってますよ~」

やっぱりか。全く酔ってるやつに付き合うのは難しかな…。

「俺は中退しちゃったけどね~。まあ単位落として留年したからけどw」

「そんなちゅうたいなんてもったいないですよ~」

「りょうやはいいよな~。頭いいでしょ?」

「いちおうこうこうのときはぜんこくもしじょういでしたからねっ」

マジかよ。
青春してそうな見た目してるのに頭もいいとか嫉妬するて。

ーーー

「すー…すー…」

「はぁ…もう何回目だよ…」

中ジョッキ5杯を見事に空にしたりょうやは、その後机に突っ伏して眠りにつき、俺が店からここりょうやの自宅まで背負ってきたというわけだ。
あれ、前にもこんな場面なかったっけ。デジャヴ?
りょうやは何というか…お酒に強いというか、2杯あたりからすでに酔ってたけどな。

さてと、俺も家路に着くとするか。

続く
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