上 下
22 / 32
第二章 寒凪

手作りチャーハン

しおりを挟む
旅行から帰ってはや三日。カフェくすのきは再び営業を再開した。
正月休み明けの過労は、かなり体にも負荷がかかる…
りょうやは授業とのことなので午後からシフトに入るようだ。

サンタケーキは販売を終了したが、やはり暖かい飲み物は人気が高い。
一月もまだまだ初旬。外ではたまに雪がちらついたりしている。

「そろそろお客さんもおさまるだろうから、中野くん昼休憩入っていいよ」

「了解です」

今日は一日フル労働の予定なので、昼休憩で食事を補給する。
基本的にはまかないなのだが。

空いたフライパンを使い、賞味期限が切れかかってお客様にお出しできない材料を使用する。
今日の献立はチャーハンだ。理由は作るのが簡単だから。単純でしょ?
久しぶりの労働にお腹はぺこぺこだ。余っている素材をほとんど使用してちょっと多めに作ろう。



とは言ったものの、少し多すぎたような気がする。
フライパン1個に山のように、黄金色に炒めたチャーハンが積み上がっている。
よくこれで鍋振れたな俺…

とりあえず取り皿を用意し、大きな木のスプーンで数回掬う。
全く減る気配はしない。これはもしややらかしたか…

店長に怒られるのだけは勘弁だ。しょうがないので自分で全部食べよう…
そう思って1皿目を半分ぐらいまで食べ進めると、入り口に人影が見えた。

「こんにちは~…」

中学生がこんなところで授業をサボるなんていけない。早く学校に返さないと。
そんな冗談はさておき、そういえばりょうやがそろそろシフトの時間か。

「先輩、お疲れ様です」

「おう。お疲れ。」

「ご飯まだ食べてないんですか?」

「ああ。さっき作ったんだけどまだ食べ切れてなくて…w、食べる?なんちゃって」

「あっ…じゃあ、、お言葉に甘えて…いいですか?」

「えっ、もしかしてお昼食べてない?」

「電車が遅れちゃって食べそびれたんですよね…」

これは大チャンス。この機会を利用しない道はないぞ。
りょうやの分の取り皿を用意し、チャーハンを盛ってあげる。

「ありがとうございます…」

着替えたりょうやが奥から出てくると、そのまま俺の隣の席について食べ始めた。

「いただきます」

「召し上がれ~」

小さな口にチャーハンの乗ったスプーンを運び、モグモグと食べるりょうや。

「おいしい…」

「それはよかった。」

我ながらチャーハンは得意料理だ。
喜んでくれるなら作った甲斐があった。
まあ本音を言うと食べてくれて助かったんだけどね。

「ちょっとちょっと~二人とも何食べてんの~!時間だよ~!」

店長に目をつけられてしまった。時計を見るとすでにシフト開始時間を過ぎていた。

「あっ店長、、ごめんなさい…」

「りょうやは俺のチャーハン食べてくれてるだけですよ。自分入るんで」

「そっか。りょうやくんお昼食べてなかった?」

少し急ぎ気味でもぐもぐしているりょうやがコクコクと頭を縦に振る。

「全然ゆっくりで大丈夫だよ~。中野くんにコツコツ働かせればいいから。」

「ありがとうございます…」

「店長も早くー!2番さん注文入ってる~」

「あっ今いく~」

店長がキッチンで忙しそうにオムライスを作り始めると、俺は店内で注文を取りに奔走する。
まったく、休み明けって言うのはきついもんだな。
続く
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ショタ魔王を保護した勇者

ミクリ21 (新)
BL
ショタ魔王を保護した勇者の話。

三限目の国語

理科準備室
BL
昭和の4年生の男の子の「ぼく」は学校で授業中にうんこしたくなります。学校の授業中にこれまで入学以来これまで無事に家までガマンできたのですが、今回ばかりはまだ4限目の国語の授業で、給食もあるのでもう家までガマンできそうもなく、「ぼく」は授業をこっそり抜け出して初めての学校のトイレでうんこすることを決意します。でも初めての学校でのうんこは不安がいっぱい・・・それを一つ一つ乗り越えていてうんこするまでの姿を描いていきます。「けしごむ」さんからいただいたイラスト入り。

どうして、こうなった?

yoyo
BL
新社会として入社した会社の上司に嫌がらせをされて、久しぶりに会った友達の家で、おねしょしてしまう話です。

ショタコンおじさんが異世界で少年達と冒険します

フェア
BL
少年パーティーの危機をたまたま救ったタカヒロは、真面目な没落騎士、ツンデレエルフ、ワンコ獣人という3人の少年達と一緒に冒険することに。ショタに命の恩人として大事にされるおじさんのハーレムストーリーです。 第1章 全12話で完結、第2章 連載開始

白雪王子と容赦のない七人ショタ!

ミクリ21
BL
男の白雪姫の魔改造した話です。

転生したので異世界でショタコンライフを堪能します

のりたまご飯
BL
30歳ショタコンだった俺は、駅のホームで気を失い、そのまま電車に撥ねられあっけなく死んだ。 けど、目が覚めるとそこは知らない天井...、どこかで見たことのある転生系アニメのようなシチュエーション。 どうやら俺は転生してしまったようだ。 元の世界で極度のショタコンだった俺は、ショタとして異世界で新たな人生を歩む!!! ショタ最高!ショタは世界を救う!!! ショタコンによるショタコンのためのBLコメディ小説であーる!!!

頻尿が恥ずかしい成人男性

こじらせた処女
BL
 チカサ(23)はおしっこが人より近いことがコンプレックスである。そのため栄養ドリンクなんてもってのほか、カフェインでさえも絶対に飲まないという徹底ぶりでトイレの回数を控えていた。そんな中、同じ部署のニシキ先輩と一緒に外回りに行くこととなる。緊張も相まってチカサはいつもよりトイレが近くなってしまい、何度もトイレと言うのが恥ずかしくなってしまい…?

異世界で新型ウイルスが流行したために、少年達に子作りしてもらうことになりました

あさきりゆうた
BL
 異世界転移者が新型ウイルスを持ち込んでしまい、異世界は大変なことになった!  女性の大半は死に絶え、成人男性は身体能力と生殖機能をなくし、そして少年だけがなぜかずっと子供の姿のままとなり、赤ちゃんを産める体となってしまった!?  そんな世界に腐女子の富場 詩代が転移することになり、少年達の子作りの活性のため、少年を探し当て、カップリングを成立させ、時には自作のショタの薄い本で性教育をして、子孫繁栄のために頑張っていく物語である! 22.02.03  元々似たような小説を投稿しましたが、設定が面白くなりそうで、性癖が個人的に刺さるという理由で大幅にリニュアールして投稿し直しました。とりあえず二話投稿。三話目でR18行く予定です。 22.02.06  新しいお話を投稿しました。  初めてショタ同士でエッチする回を書いたが、気がつけば性癖のチョモランマ盛り回となりました。

処理中です...