2 / 32
第一章 澄清
アットホームな職場です
しおりを挟む
前述した通り、りょうやは店舗では大活躍だった。
それはそれは、見事な働きだった。俺ほどではないがな。
うちのカフェ、名を「カフェくすのき」という…は主にランチの営業をしている。食事の提供もある。
諸君が頭の中で想像しているような古~いカフェのイメージとぴったりだと思う。
場所は都内から電車で30分ほど離れた小さな町だ。駅からはわずか徒歩5分。いい立地にあるので、客も一定数は確保している。
メニューは一般的なコーヒーやカフェラテ、紅茶やミルクティーに加えて、どこぞの有名コーヒーショップのパク…オマージュであるフラーペという商品がある。
内容はほぼ同じだ。まあ、売れ行きはそれほどよくはないし、俺から見ても本家の方がよっぽどうまい。
ドリンクメニューの他には、オムライスやカレーライスといった洋食系の料理だったり、トーストと卵とサラダというモーニングセットのような組み合わせをした商品もある。
全く店長はどんだけパク…オマージュが好きなのだろうか。
さて、店長の話が出てきたが、改めてうちの愉快なバイトメンバーを紹介しよう。
まずは俺。大学中退の無職フリーターとして活動しているが、実質ここの正社員のようなものだ。
週5で店に通い詰める俺は、かろうじて家賃3万のワンルームアパートで暮らしていけるような金はもらっている。
そして店長。骨髄までがショタコンで詰まっている人間のクズ…とは言いすぎである気もするが、ショタを愛し、ショタに愛されることが座右の銘だという。
「座右の銘」という概念がそもそも根本的から間違っていることはひとまず置いておくとして、彼はショタ好きの末期患者。りょうやが来る前までは、店の前を親子連れが通った時に血眼でガン見していたものだ。
早く捕まってくれないかなーとバイトを始めたことから思っていたが、りょうやが入ってからはそれは無くなった。いや、正確には変化したというべきだろう。
「りょうやくんおはよ~!」
「あっ、おはようございます!」
「今日も頑張ってね。よろしく頼んだよ」
「任せてください!」
とまあ、赤の他人を見るよりかはマシになったものの、やっぱりほぼ変わらないと感じるのは俺だけではないはずだ。
今のところセクハラっぽいことをしている気配はないが、もしかしたら毎晩家に連れ込んでりょうやの体を蝕んでいるのかもしれないと思うほどには、ショタコンだ。
さて、一方のりょうやだが、前にも話した通り、彼は中学1年生ぐらいにしか見えなただのショタだ。
先に言っておくが、俺は店長のような趣味はないため、「ショタ」という言葉を使うのはあくまで便宜的な観点からということをわかってもらいたい。
毎回「年頃の男の子」とするのも気が引ける。
バイトのりょうやは至って真面目だ。
俺が与えた仕事は全てこなす。便利屋でもやっていたのかってくらいに器用だし、何よりも料理がうまい。
はっきり言おう。りょうやがうちの店に入ってから、メニューのクオリティは一新した。
これまで俺と店長が工夫してきたオムライスは、りょうやのアイデアによって一気に人気No.1(俺調べ)のメニューに昇華したし、忙しいお昼時では、キッチンを任せっぷりにしても問題がない。
ただ一つ問題なのは、キッチン上部につけられた戸棚の取っ手に毎回届かないところだろうか。
そんな問題もあって、キッチンは基本的に俺か店長が担当している。
りょうやにはウエイターとして優雅に店を回してもらうことにしている。
まあ忙しい日には応援に入ってもらうこともあるがな。戸棚は俺が全然開けるし。
とまあ、楽しいアットホームな職場ですよ、っていうことぐらいは理解してもらえたかな。
と、店の入り口から、元気な挨拶と共に、ちょっぴり黒い褐色な肉付きのいいお姉さんが入ってきた。
「きたよ~!!りょうやちゃん~元気にやってる~???」
「すずねさん…こ、こんにちは…」
おっと。彼女の紹介を忘れていた。
名は木野鈴音。この店のバイトリーダーなる人物だ。
肉付きがいいとは言ったが一つ訂正する。胸はAAAカップだ。
年は俺より一つ多い24歳。店長とは小さい頃からの知り合いのようで、現在は近くの美容院で見習いをしているとか。
バイトの技術は天下一品。今までに注文内容を間違えることはおろか、俺たちのミスまで責めないでいてくれる優しいお姉さん…だといいのだが、
なんと彼女も見事にショタコンに染まっている。
店長の周りはショタコンの里とかからきたのかと疑問に思うくらいだ。
「あっ、ちょっとやめてくださいっ…」
「え~、頭撫でるぐらいいいじゃん~!本当は今すぐ抱きつきたいんだけど、そうしたら誰かさんに通報されるから」
「誰かさんとはなんですか」
「ひえ~こわいこわい」
「先輩…」
こんな反応をされている原因は、りょうやがバイトに入ってから1週間ほど、鈴音からのセクハラはどんどんエスカレートしていたことにはじまる。
「きゃあああっっっ、なにこのこ可愛いぃぃぃ~!!」
「こんにちは…今週からお世話になっております、りょうやと言います。」
「礼儀正しいいい~!!なになに店長ついにやっちゃったわけ?まあ捕まえてきたもんはしょうがないからお姉さんが美味しくいただいてあげる」
「ふえっ、ど、どういうことですかぁっ」
あの頃は本当に苦労した。
鈴音を止めるため、店長に相談し、本人を監視し、挙げ句の果てには鈴音がりょうやを仕事終わりに自宅に連れ込もうとしたこともあった。
もちろん俺が止めたけどな。
まあ色々あったおかげで、今は頭を撫でるか肩を揉むかに収まったわけだ。
こんぐらいは許容範囲だろう。警察に通報しなくて済む。
とまあ、カフェ「くすのき」は、いまのところこの四人のスタッフで構成されている。
以後、お見知り置きをな。
続く
それはそれは、見事な働きだった。俺ほどではないがな。
うちのカフェ、名を「カフェくすのき」という…は主にランチの営業をしている。食事の提供もある。
諸君が頭の中で想像しているような古~いカフェのイメージとぴったりだと思う。
場所は都内から電車で30分ほど離れた小さな町だ。駅からはわずか徒歩5分。いい立地にあるので、客も一定数は確保している。
メニューは一般的なコーヒーやカフェラテ、紅茶やミルクティーに加えて、どこぞの有名コーヒーショップのパク…オマージュであるフラーペという商品がある。
内容はほぼ同じだ。まあ、売れ行きはそれほどよくはないし、俺から見ても本家の方がよっぽどうまい。
ドリンクメニューの他には、オムライスやカレーライスといった洋食系の料理だったり、トーストと卵とサラダというモーニングセットのような組み合わせをした商品もある。
全く店長はどんだけパク…オマージュが好きなのだろうか。
さて、店長の話が出てきたが、改めてうちの愉快なバイトメンバーを紹介しよう。
まずは俺。大学中退の無職フリーターとして活動しているが、実質ここの正社員のようなものだ。
週5で店に通い詰める俺は、かろうじて家賃3万のワンルームアパートで暮らしていけるような金はもらっている。
そして店長。骨髄までがショタコンで詰まっている人間のクズ…とは言いすぎである気もするが、ショタを愛し、ショタに愛されることが座右の銘だという。
「座右の銘」という概念がそもそも根本的から間違っていることはひとまず置いておくとして、彼はショタ好きの末期患者。りょうやが来る前までは、店の前を親子連れが通った時に血眼でガン見していたものだ。
早く捕まってくれないかなーとバイトを始めたことから思っていたが、りょうやが入ってからはそれは無くなった。いや、正確には変化したというべきだろう。
「りょうやくんおはよ~!」
「あっ、おはようございます!」
「今日も頑張ってね。よろしく頼んだよ」
「任せてください!」
とまあ、赤の他人を見るよりかはマシになったものの、やっぱりほぼ変わらないと感じるのは俺だけではないはずだ。
今のところセクハラっぽいことをしている気配はないが、もしかしたら毎晩家に連れ込んでりょうやの体を蝕んでいるのかもしれないと思うほどには、ショタコンだ。
さて、一方のりょうやだが、前にも話した通り、彼は中学1年生ぐらいにしか見えなただのショタだ。
先に言っておくが、俺は店長のような趣味はないため、「ショタ」という言葉を使うのはあくまで便宜的な観点からということをわかってもらいたい。
毎回「年頃の男の子」とするのも気が引ける。
バイトのりょうやは至って真面目だ。
俺が与えた仕事は全てこなす。便利屋でもやっていたのかってくらいに器用だし、何よりも料理がうまい。
はっきり言おう。りょうやがうちの店に入ってから、メニューのクオリティは一新した。
これまで俺と店長が工夫してきたオムライスは、りょうやのアイデアによって一気に人気No.1(俺調べ)のメニューに昇華したし、忙しいお昼時では、キッチンを任せっぷりにしても問題がない。
ただ一つ問題なのは、キッチン上部につけられた戸棚の取っ手に毎回届かないところだろうか。
そんな問題もあって、キッチンは基本的に俺か店長が担当している。
りょうやにはウエイターとして優雅に店を回してもらうことにしている。
まあ忙しい日には応援に入ってもらうこともあるがな。戸棚は俺が全然開けるし。
とまあ、楽しいアットホームな職場ですよ、っていうことぐらいは理解してもらえたかな。
と、店の入り口から、元気な挨拶と共に、ちょっぴり黒い褐色な肉付きのいいお姉さんが入ってきた。
「きたよ~!!りょうやちゃん~元気にやってる~???」
「すずねさん…こ、こんにちは…」
おっと。彼女の紹介を忘れていた。
名は木野鈴音。この店のバイトリーダーなる人物だ。
肉付きがいいとは言ったが一つ訂正する。胸はAAAカップだ。
年は俺より一つ多い24歳。店長とは小さい頃からの知り合いのようで、現在は近くの美容院で見習いをしているとか。
バイトの技術は天下一品。今までに注文内容を間違えることはおろか、俺たちのミスまで責めないでいてくれる優しいお姉さん…だといいのだが、
なんと彼女も見事にショタコンに染まっている。
店長の周りはショタコンの里とかからきたのかと疑問に思うくらいだ。
「あっ、ちょっとやめてくださいっ…」
「え~、頭撫でるぐらいいいじゃん~!本当は今すぐ抱きつきたいんだけど、そうしたら誰かさんに通報されるから」
「誰かさんとはなんですか」
「ひえ~こわいこわい」
「先輩…」
こんな反応をされている原因は、りょうやがバイトに入ってから1週間ほど、鈴音からのセクハラはどんどんエスカレートしていたことにはじまる。
「きゃあああっっっ、なにこのこ可愛いぃぃぃ~!!」
「こんにちは…今週からお世話になっております、りょうやと言います。」
「礼儀正しいいい~!!なになに店長ついにやっちゃったわけ?まあ捕まえてきたもんはしょうがないからお姉さんが美味しくいただいてあげる」
「ふえっ、ど、どういうことですかぁっ」
あの頃は本当に苦労した。
鈴音を止めるため、店長に相談し、本人を監視し、挙げ句の果てには鈴音がりょうやを仕事終わりに自宅に連れ込もうとしたこともあった。
もちろん俺が止めたけどな。
まあ色々あったおかげで、今は頭を撫でるか肩を揉むかに収まったわけだ。
こんぐらいは許容範囲だろう。警察に通報しなくて済む。
とまあ、カフェ「くすのき」は、いまのところこの四人のスタッフで構成されている。
以後、お見知り置きをな。
続く
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる