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第一章 澄清

後輩ってなんだ?

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後輩というものは、誰にでもあるものだろう。
学校では年下のものをさし、仕事では遅く入社してきた方を指す。

後輩は可愛いものだ。先輩は後輩を可愛がる義務がある。
飯を奢ってやったり、わからないところを教えてやったり。
時には後輩と先輩の禁断の恋にまで発展するものだろう。
俗にいう後輩とはそんなものだ。

さて、そんな後輩は俺にもいる。
そう、俺のバイト先である喫茶店の後輩だ。
俺がバイトを始めてから1年ほど経って、同じくバイトとして働いている。

仕事もできる、礼儀もばっちり、その上に容姿端麗。
全てが完璧なのだ。ある点を除けば。

「先輩、お疲れ様です!」

「おう、りょうやおはよ。今日も元気だな」

「明日からお休みなんですよ~」

「そっか、もう金曜日だな。」

「はい!週末でいっぱいゲームしたいので!」

「それはいいな。いっぱい楽しめ」

「はいっ!!」

うるさいくらいに威勢のいい返事。
俺の胸までくらいしかない身長。
サラサラした髪、
ツルツルとした腕。
そして声変わりをしてないんじゃないかってくらいの高い声。

そう、俺の後輩は、
あまりにもショタなのだ。

あまりにもショタとはなんなのか。
ショタは形容詞として使えるかは一旦置いておくとして、

神木遼哉かみきりょうや。それがこいつの名前だ。
いかにもイケメンでハイスペックで文武両道な名前だろ?
でも、実際は可愛い顔をしたただのショタだ。

かっこよさそうな名前してるのにな。


こいつがバイトに入ってからはや1ヶ月。
最初はショタコンで名高い店長がついに中学生を誘拐してきたのかと思っていたが、
聞くと、なんと遼哉はれっきとした大学生らしい。
見た目と声は中学校入学したての1年生、だが学生証の生年月日はしっかりと今から20年前の日付だ。

店長曰く面接ではしっかりと受け答えができており、
「そこだけを見れば社会人」といっていた。

心底信用にならない上に、やっぱり誘拐した子の身分を偽証してバイトとして隠蔽しているのではないかと疑ったが、バイトを進めていくと店長の言うことは本当であることに気がついた。

そして俺はこいつを案外気に入った。
仕事は早く、ミスも滅多にしない。
1週間で店の仕事はほとんど覚えたし、厨房も任せられるほどに料理がうまい。
聞くと一人暮らしで毎日自炊をしているそうだ。

20歳一人暮らしのショタ、そんなものがあっていいものなのか。
容姿がそれに比例していない違和感が毎回拭い切れない。

「いらっしゃいませ!2名様ですね、奥のテーブルご利用ください!」

元気に接客をする中学生…周りにはそのように見えるだろう。
うちの店は何一つ犯罪行為はしていない。そこのところははっきりして欲しい。

「はいこれ3番」

「りょーかいです」

クールに注文の料理を運んでいく姿を見ると、どこか危なげない気持ちも薄れていく。
でもやっぱり、こいつはショタすぎる。

続く
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