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日常系SS

こどもの日 短編小説

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※日常系ではありますがR-18表現があります。

「屋根より高い鯉のぼり…」

スーパーに行くと、こんな曲が流れていた。
ゴールデンウィーク真っ最中、家の近くのスーパーにおつかいを頼まれ、おそらく夕飯で使われるであろうにんじんを手に取りながら僕は唸っていた。

買い物リストにカレールーは入っていない…それでにんじんを買う理由はただ一つ、
煮物だ…

僕は煮物のにんじんが大嫌いだ。
ただでさえ味が苦手なにんじんをあっさりした味付けで出してくるから、毎回完食ができずにお父さんに怒られる。
その時には無理やり食べられる。

もう小学5年生なのに、恥ずかしいとは思うけど…
やっぱり食べられないものは食べられないんだ。うん。

4月に新学期が始まってはや1ヶ月、新しいクラスや環境にも慣れてきた頃に訪れるのがゴールデンウィークだ。
そんなゴールデンウィークには、「こどもの日」という祝日がある。
男の子の健全な成長を祈って作られた祝日で、この日には柏餅を食べたり、鯉のぼりを掲げたりする。

「2962円です~」

「あっ、現金で、お願いします」

千円札を3枚、トレーにおくと、数十円のお釣りが帰ってきた。
紺のマイバッグを手に下げて、スーパーから家まで歩く。

5月だとは言っても、太陽はジンジンと日照り、天気予報で言っていた25度という気温を悠々に超えているような気温を感じる。
雲ひとつない晴天…。運動会で校長先生が言うと、ついつい空を見上げて雲を探しちゃうが、それはこう言う日のことを指すのだろう。

青い空にただひとつ、目で直接見たら瞼の裏に影が残ってしまう日の光を感じながら、とぼとぼと家まで歩いて帰る。
数百メートルの道のりをすぎて、自宅の玄関を押すと、中にはクーラーがあるわけでもなくその代わりにエプロンを着たお母さんがいた。

「おかえり~。ありがとね~せっかくの休日に」

「も~、、外めっちゃ暑かったんだからね~?」

「はい、約束の500円。」

「ありがとうございます大切に使います!!」

金色のように輝く500円を受け取ると、ありがたく財布の中に収めた。
汗がついて気持ち悪いTシャツと短パンを脱ぐと、そのままパンツ一枚で自分の部屋に戻った。

恐竜柄のブリーフパンツ、学校で履くと笑われちゃうけど、家だったらそう言う心配もない。
何年も履いてきた安心感がやっぱり違うよね

ベッドにダイブしたら、ちょっとだけひんやりした感触を味わいながら腰をくねくねさせる。
ぷは、と顔をあげると、あぐらをかいて座り込んだ。

外から差し込む太陽の光をぼーっと眺めていると、ふと勉強机にあるゴールデンウィークの宿題が目に入った。
見ると自分はもう小学5年生なんだなと実感してしまう。
もちろん手はつけていない。あと2日もあるんだし余裕でしょ。

宿題を見てると何もやる気が出てこない。
はぁとため息をついて下を見ると、どうやらパンツの前が膨らんでいる。

「ボッキ」と言われるものらしくて、ちんちんに血が入って大きくなる。
というのをどこかの本で読んだことがある気がする。
小さい頃から「おしっこをするための」もの、と思い込んでいたけど、
なんでわざわざさせづらく”硬く”なっちゃうんだろう。

朝にトイレに行くと、たまに「ボッキ」していて、おしっこがしづらい時がある。
人間は悪い方に進化してしまったのか…なんて頭によぎったけど、そう言うわけじゃない…はず

本には他のことも書かれていたような気がするけど、特に思い出せない。
晩御飯まではあと2時間ぐらいあるし、特にゲームもやりたくない…
そう言うわけで、ちんちんをいじってみることにした。

家族に見られちゃうのは、ちょっと恥ずかしいから、ドアを閉めて鍵をかけておく。
なぜか胸がドキドキしちゃうけど、恐竜柄のパンツを足首まで下げて、そのまま抜き取る。

体に何もつけていない、すっぱだかという状態になったら、ベッドに座ってさっきみたくあぐらを崩したような姿勢でちんちんを観察する。
白い皮膚に覆われてて、先っちょ?がちょっとだけ大きくなってる…のかな?

おしっこはいつも一番先にある皮膚の穴っていうか、隙間みたいなところから出てくる。
中身はどうなってるんだろ…筋肉とかがあるのかな…

モミモミしてみると、どうやら白い皮膚は下に下げられることがわかった。
ちょっとだけ前を人差し指と親指で掴んで、ちょっとだけ強く下に引っ張ってみる…

ぐっ…
ぐっ…

数回か引っ張ってみると、先の尖った皮膚が下まで下がっていって、皮膚の穴の隙間から赤いものが見えた。
血出ちゃったのかな…?と心配しながら見てみると、どうやらピンク色をしたものがある。

血ではない、と安心すると、そのまま下まで下げる運動を続けてみる。
しかし、あるところで一気に下げられなくなった。

「あれ…」

小さい声でそう呟くと、ちょっとだけ強く引っ張ってみる。

だめだ…

これ以上引っ張ったら皮膚が破れちゃうかも…
想像してみるだけでビクッとなっちゃう。

ちんちんはまだちょっとだけ硬いまま。
さっき皮膚を動かしたときにもっと大きくなった。
もしかして全部下げたらめっちゃ大きくなるとか?

同級生とちんちんの大ききさくらべをしたことはあるけど、その時はみんな「ちょん」としてて、こんなに「ピン」って感じじゃなかったしな…
もしかして自分だけにできる超能力…なんてことはない。

本に書いてあるということをすぐに思い出してこの仮説は消えた。

ちんちんはまだムズムズしている。
観察してみると、どうやら「びくっ、びくっ、」って動いてるみたい。
そしてそれが心臓の鼓動と同じだったことも驚き。

中に血が入っていることも謎に納得した。

さて、ここで僕の頭の中にひとつ疑問が生まれる。

「もしこのまま動かし続けたらどこまで大きくなるんだろう…」

しかも、それが大きくなるのか、はたまた別の形になるのか…想像はできない。
やってみたい、という誘惑と、けがをして恥ずかしい思いをする、という心配が交差する。

まあそこは健全な小学5年生。
もちろん誘惑が勝利し、僕はそのままちんちんをいじることを続行した。

もちろん皮だけじゃなくて、全部を揉んでみたり、下に2個ついてるたまたまも触ってみた。
皮がある程度向けると、今度はピンク色の謎の物体に触ってみることにした。

びくびくっ!!

触った瞬間、とても嫌な感覚がした。
言葉では言い表せない、こう、ぐぐってきて、びびってなった…
そんな感覚。

中は触らないでおこう…
そう思った。

さて、動ける範囲が大きくなった皮を動かし続けてみると、
ちんちんが変な感じになった。

なんか、体の奥がゾクゾクしてきて、ふわーってなる感じ。
しかも、ピンク色のところに、おしっこみたいなものが出てきた。
勇気を出してもう一回触ってみると、

あら不思議。その透明な水はなんとねばねばしてた!
これは普通のおしっこじゃないと確信した僕は、さらに皮を動かした。

透明な水が中でくちくち言い始めると、
僕はなぜかはぁはぁと息を立てていた。

動かすたびに体に電気が走るみたいで、ちょっと力を入れてみると、ビクッと体が跳ねる。
動かすのを速くしたり遅くしたり…

僕はすっかりそのとりこになってしまったみたい…

ちんちんを弄り始めて30分ぐらいたった。
そのとき僕はもうこのことが「気持ちいい」と感じていたと思う。
くちくちとした音も気持ちよく感じた。
先っぽを皮の外から揉んでみるのも気持ちよかった。

褒められたときみたいに、ぞくって、する感覚と似ているかも。

僕はもっと気持ち良くなりたいな、なんて思いながら、動かすのを速くしてみた。

「う、ああ、待って、」

一気にぞくぞくした感覚が大きくなる。
頭の中ではやめるという選択はなかった。

たまたまがびくんって跳ねると、何かが奥からくる感じがした。
おしっこをするときもそうだ。
おしっこが出ちゃう…ベッドの上でお漏らししちゃう…

だけどそんな考えを超えるほどのぞくぞくが僕を襲った。

「っっ、、んぅっ、、あ」

声にならない声が出た。
気持ち良すぎてちんちんを動かす手が止まった。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

なぜか息切れしていて、体がみょうに疲れている。
ふと、ちんちんを見てみる。

…?

てっきりおしっこが出て、じわあとシーツが濡れた、かと思うと、
そこにはおしっこじゃない、何かがあった。

「なに…これ」

ちんちんを動かしていた右手と、ちんちんの先っちょに謎の白いものがちょっとだけついている。
僕はパニックになった。

出しちゃいけないものを出しちゃったかもしれない、、、
僕は病気?たまたまに寄生虫があってこれはその卵…とか?

なぜか頭が冴えていて、いろんなことを考えた。

とりあえず白いものをティッシュで拭き取ると、
ちんちんはすでに小さく、いつもみているものに萎んでいた。

「えっ、ほんと!?」

「うんっ…ぐすっ、おとーさん、僕、なんかの病気?たまたまに虫でもいるの???」

白いものを拭き取ってすぐに、僕はリビングでテレビを見ていたお父さんを部屋に連れ込んで相談した。
涙目で…

「ちょっと待って…白い…ちんちんから…」

お父さんはしばらく考え込んで、僕に話した。

「ひろとはね、大人になったんだよ。」

「ふえ?」

お父さんが何を言ってるかわからない。
大人になった?ちんちんから白いの出ると大人になるの?
お酒飲めるようになるの…?

突っ込みたくなるのを我慢してお父さんに耳を傾ける。

「その白いのは、せいしって言ってね、男の子の体が成長したら誰の体でも作れるんだよ。」

「うん」

「本当は寝ている間とかに出ちゃうときもあるみたいだけど、ちんちんをいじってる間に出たりとかしても全然おかしくない。」

「じゃあ、病気じゃない…?」

「ううん。むしろ元気なんだよ!」

「そっか…じゃあお父さんも出るの?」

「えっ…一応…ね?」

「そっか…そうなんだ…」

お父さんにそう言ってもらえて安心した。

「ついにうちの息子も精通かぁ…うぅ…感動するなぁ…」

とぶつぶつ言いながら、お父さんは急いで1階へと行ってしまった。

「せいし…」

さっきゴミ箱に入れたティッシュをもう一回撮ってみて、くしゃくしゃを開いてみる。
ねばねばした白いものがティッシュにひたりついているようだ。
匂いを嗅いでみると、変な海の匂いっていうか、化学の匂いっていうか…がする。気持ち悪い…

やっぱりゴミ箱に戻すと、もう一回ベッドに座り込んだ。

「大人…か」

そんなことを考えていたら、いつもまにか寝てしまった。
そして次に目覚めると、窓の外はすっかり暗くなっていた。

眠い目を擦って下に降りると、食卓には赤いご飯と煮物が並んでいた。

「ふえ…?なんで白いご飯じゃないの?」

「今日は特別な日だからね~!」

なぜか張り切ってるお母さんが答えた。
実に嬉しそうな笑顔だった。

お父さんはすでに食卓で待っていた。
僕もその隣の席に座り、そしてお母さんもそれに続いた。

「いただきます」

お箸を取って赤いご飯を口に入れてみる。
ちょっと甘くてしょっぱい。
お豆がゴロゴロ入っているのは嫌いじゃないかも。

そして煮物。やっぱりにんじんがゴロゴロ入ってる。
お肉やこんにゃくを摘んで食べると、次第ににんじんが目立ってきた。

「大人」というふた文字が頭によぎると、僕はお箸でにんじんを掴み、口の中へと入れた。

「!?」

お母さんとお父さんは驚いた顔をしていた。

歯で噛んでみると、煮物の出汁が中から溢れて、ほろりと崩れた。

あれ、案外いける…

ちょっとだけ甘いにんじんと残りの煮物をガツガツと食べ、赤いご飯も食べ切ると、

「ごちそうさまでした…」

僕はご飯を完食した。

お父さんやお母さんからものすごく褒められると、僕はまたぞくっとした。
今度は褒められたときになる気持ちい感じ。

こどもの日…
男の子の健全な成長を祈る日に、僕は大人への第一歩を踏み出した…と思う。

おしまい。



=天の声=
ご覧いただきありがとうございました!
今日はこどもの日、ということで、男の子の一大イベント、「精通」に目を当ててみました。
こどもの日は男の子が健全に成長してほしいという願いが籠った祝日です。
どこかでこういう言葉を聞いたことがあります。

「精通は男の子の数だけある。」

人それぞれ違い精通をしていることでしょう。
男の子が少年になる瞬間、それが精通なのかもしれませんね(?)


なんてことは置シリにして食べると美味しいですよ~
千切りにしたにんじんを卵と一緒に炒めると、めっちゃ合います。
沖縄の郷土料理なんですけどね。

なんてことは置いておいて、皆さんもこどもの日、楽しんでください!
ではでは
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