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日常系SS
弟の学校が白ブリ限定になったらしい 上
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俺は中井 拓実。
公立の中学校に通う中学3年生だ。
毎日平凡な日々を過ごし、特に人生に不満もないただの中学生である。
学校では成績は中の上ぐらい、得意科目は数学、苦手なのは体育だ。特に水泳。
数学が苦手な人が多いだろうが、俺の場合は問題が解けたときの達成感がたまらなくて、そのままどんどん解き進んでしまう。
恋人はいるかだって?俺は生まれてから一才恋事情には興味がない。
女子を見てもなんとも思わないし、告白をする意味もわからない。
将来は結婚して幸せな家庭を築こうとは思っているが、それはまだまだ先のことだろう。
そんな俺の家族は三人、母と父、そしてもうすぐ6年生になる小学5年生の弟がいる。名前は涼太。我ながら自慢の弟である。
母と父は同い年で、聞く話によると、父が一目惚れし、告白したらしい。
ちなみに当時二人とも小学1年生。
母は最初本機にはしていなかったが、段々と成長していく父にも愛着が湧き、成人して結婚した。
俺は両親が25歳の時に生まれ、今は14歳、両親は41歳だ。
夫婦喧嘩も少なく(?)、家族思いの両親だと思っている。
さて、弟についてだが、こいつは俺が4歳の時に生まれて、そのまま大きくなって今ではもう10歳である。
小さい頃はめちゃくちゃ俺に懐いていたが、最近はそうでもなく、ゲームや友達のことで精一杯のようだ。
学校へは毎日元気に登校しており、小さい体でランドセルを背負って、とぼとぼと学校へと歩いていくのを見ると、思わず抱きしめたくなるような可愛さである。
もちろん俺はブラコンでもないが、母性本能といったところか...全国の兄諸君、これは間違っているのだろうか?
まあこんなことはさておき、俺は今日始業式を迎える。
中学3年生の始業式である。
中学3年生、中学校の最上級生である。思えば2年前、緊張しながら制服をきて入った体育館も、今となってはすっかり馴染みの場所だ。中学校の入学式は明日のため、新一年生はまだ入学してきていない。
歌い慣れた校歌をすらすらと歌い、定番である校長の長い話も、なんとか耐えた。
始業式も終わり、中学3年生の3階へと向かう。階段を登る数が一階増えるため、面倒だが、登り終えると、今まで夢見ていた3年生フロアに到着する。
下の学年がここに立ち入ることはそうそうない。全員にとって夢の瞬間であっただろう。
えっ、俺だけだって?まさかそんな。ははは
クラスを見てみると、俺は一番端っこの3年3組だった。町のはずれの小さな学校のため、生徒数はそれほど多くはない。1クラス30名ほどの3クラスである。
さて、ここから最上級生としての一年が始まるところだが、
ここで言っておこう。俺の学校生活にはこれから一切触れない。
文化祭も体育祭も修学旅行も受験も。
一切触れない。期待していた皆には悪いが、主に触れるのは、そう、我が弟の涼太の話である。
始業式は午前中のみ授業である。
3年で使う教科書や、主な行事、自己紹介などのイベントをこなし、下校時刻となった。
幸い、俺のクラスには小学校から仲良くしている友達が数人いたため、ぼっちで過ごすことにはなら無さそうである。
桜が咲く河川敷を歩き、学校から徒歩10分程度離れている我が家へと向かう...
と思っていると、涼太が通う小学校が見えてきた。
今日は彼も始業式。同じく最上級生の6年生になる日が来たのだろう。
久々に一緒に帰るか。そう思い、少し寄り道をして小学校に入る。
涼太の通う小学校は、俺の母校でもある。ここら辺の人たちはみんな、小、中ときて高校はそれぞれ他の街へと離れていく。
3年前の今日は俺もここの小学6年生になったばかりなのに、時間の流れは相変わらず早いな。
小学6年生といえば、俺の人生でもっとも楽しかった年だった。
担任の先生にも恵まれ、友達にも恵まれ。
運動会や発表会もあったし、修学旅行も、少し離れた観光地に2泊3日で遊びに行った記憶がある。
キーンコーンカーンコーン
思い出話もほどほどに。小学校のベルがなった。
時刻は12時20分。普段なら給食の準備が始まる時間だが、この日は始業式のため、小学校も中学校同様、下校となる。
周りには、迎えに来たであろう親たちが駐車場に車を止め、児童玄関まで来ている。
もちろん俺もその一人だ。
すると、奥からだんだん子供たちが玄関に向けて歩いてくる。
親を見つけて走ってくる子供ももちろんいた。
玄関の内側には、下駄箱が1年生から6年生のものまで並んでおり、
子供たちは皆、履いている上履きを中に入れて、外履きをとりだし、外の床に置く。
そして小さい足をスニーカーやランニングシューズに入れて、そのまま踵で靴を踏んだまま、外に出る。
もちろん、そんなことを毎日していたら靴が壊れてしまうが、この年の子供たちはみなお構いなしである。
それが子供であり、青春だから、とでも言っておくかな。
さて、靴箱の奥に何やら見覚えのある顔が出てきた。
友人2人と何やら話をしながら、3階まで続く階段をゆっくりと降りてきている。
背中には黒いランドセル。
1年生のようにピカピカではなく、所々コーティングが剥がれ、ボロボロとまではいかないものの、かなり年季が入ったように見える。
まだ使って5年だけどな...
そんな弟だが、どうやら靴を履くまで俺に気づかなかったらしい。
靴紐を締めて、顔を上げると、俺の顔が視界に入ったらしく、ビクッとなっていた。
友達とは玄関前で別れて、そのまま俺の方まで走ってくる。
「にーちゃん、どしたの?」
「いや、今日俺も学校終わるの早いじゃん?、だから迎えに行こうかな~って思ってさ」
「へ~。」
「へーってなんだよw」
「いや、なんとなく。じゃ、家帰ろ」
やる気のなさそうな返事はいつものことである。涼太はランドセルの肩ベルトを手で握りながら少し早足で歩き出した。
思春期特有の反抗期なのか…?成長を喜ぶべきか寂しさを悲しむべきか。
どかどかと歩いていく涼太だが、所詮は小学6年生。体格も運動神経も俺よりは劣る…かと思われたが
涼太は身体能力がとても高く、体育の成績は小学校から全部5である。
それに比べて運動神経のない俺が追いつくのはほぼ不可能。
ちなみに体育の成績は2か3である。
俺と涼太の間にはどんどん差が広がっていく。
「りょーたー…ゼェ…ゼェ…待ってええ!!!」
「なにー?」
涼太は呆れたような声を上げながらスピードを緩める。
「お前…はぁ…早すぎるって…」
「にーちゃんが遅いだけでしょ」
「グサッ…最近あんまり話せてないじゃん…はぁ…帰り道ぐらいゆっくりしようぜ…」
「えー…オレ速く帰ってゲームしたいんだけど」
「ゲームはあとでいいじゃん~!にいちゃんと話そうぜー」
「わかったよぉ…で、何話すの?」
「えっと…学校とかでの、こととか…?」
「学校今日始まったんだからゆーていうことないじゃん。あ、でも」
「えっ?」
「そういえば…今日学校でね…」
涼太が言うにはこうだ。
体育館で新しい先生の紹介があって、校長先生が変わったようである。しかし、その校長先生がとんでも無くショタコン?で、演説で
「今日から、男子の皆さんのパンツの色を統一して、白にします。女子の皆さんは大丈夫ですが、小学1年生から6年生まで、全員白ブリーフを購入し、履いてきてください。」
と言われたそうだ。
「ひどくない!?パンツの指定なんてどう言う意味なんだよ!」
「その校長普通にきもいなぁ…で、他にはなんかいってた?」
「あとは、担任の先生とかもこれに同意してて、クラスで…」
涼太がランドセルを肩から下ろし、それを開いて手紙用のファイルを開いた。そこから一枚のA4の紙を取り出してオレに渡した。
「これをみんな渡されてさ…」
「新校則の制定…」
手紙の内容としては、心の環境は学習の環境に影響するということで、下着の色は心の環境を示す、ということで、白ブリーフに統一することで、校内の一貫化を図ることらしい。全くの屁理屈である。
「オレ明日からブリーフ履かないといけないの!?しかも白!?恥ずかしいんだけど!!」
「まあまあ…落ち着きなって…。涼太は今、ボクサー履いてるんでしょ?」
「うん」
「それをブリーフにするのか…まあ、どんまい…」
「なんでだよおおお…」
「明日土曜日じゃん?一緒にパンツ買いに行ってあげるよ」
「えええええ!?いいよ一人で行くよお!」
「おにいちゃんたるもの!弟が一人で出かけるところをみてついていかないなど言語両断!」
「ごんごりょーだ…なにそれ」
「とにかく放って置けないってこと!明日一緒に行こうぜ?なんか奢ってあげるよ」
「えっガチ?やったー!ゲーム買って~」
「ゲームは高いから無理だよ…1000円以内な」
「ええ…」
そんなことを話していると、自宅の前についた。
ドアを押しあけ、涼太を先に中に入らせる。
「ただいまー!」
「ただいまー」
「おかえり。あれ、今日は二人一緒に帰ってきたんだ」
家に帰ると、母が出迎えてくれた。
「なぜか玄関ににーちゃん居たんだもん。どうせなら一緒に帰ろうかなって思って。」
「そうそう」
「二人とも本当大きくなったねえ…。明日お休みだけど、どこか行く?」
「それなんだけど…涼太、あれ見せてあげな」
「ええっ…恥ずかしいよぉ…」
「ほらほら、」
涼太の手から無理矢理手紙を奪い取り、母に見せる。
「あら、白ブリーフ…ぷっ、ははははwww」
「ちょっ、お母さん笑うなあ!」
「小6で白ブリーフはwww」
「もうううっ!!///」
明らかに涼太の顔が赤くなっていた。
「明日、涼太のパンツ買いに、二人で出かけようかなって思ってて」
「そうなんだ~。じゃあ二人で行ってきな。お母さんとお父さんは家でゆっくりしとくよ。ふふっw」
涼太は恥ずかしさが限界に達したようで、ランドセルを背負いながらそそくさと2階へ上がって行った。
「じゃっ、また明日、お金とか渡すから。二人で行ってきてね。頼んだよー!」
「はいよー」
母の承諾も得たところで、オレも2階へと上がる。
その日は特にこれといったことは起きなかった。
簡単にもらった教科書を整理し、週明けの準備を終わらす。
強いていうなら、涼太が夕食の時何も話さないで早食いしてたことだろうか。
小学生っていう生き物は不思議でたまらない。
その翌日。
俺は消すのを忘れていたスマホのアラームに6時30分に起こされた。
大音量で鳴り響くアラームをぱぱっと止めてすぐに眠りにつく。
その二時間後、8時ごろに再びベッドから起き上がってリビングへと向かう。
リビングには母と父がすでに起きていた。
涼太はまだ寝ているみたいなので、起きるまで朝食を食べる
「おはよ~...ふあぁぁ...」
30分後、涼太が眠い目を擦りながらゆっくりと階段を降りてきた。
小学6年生にもなって、3年生の頃に買った戦隊モノのパジャマがまだまだぴったりサイズなのがいい。
まあ成長には個人差はあると思うがな。
二人とも朝食を食べ終わり、出かける準備をする。
俺は白いTシャツ1枚に、外から羽織るジャンパーを一枚。下は紺の長ズボン。
涼太は英語がプリントされたTシャツにパーカーを上から着て、下は黒い半ズボン。
パーカー半ズボンとかいう謎の組み合わせをしていたのだが、可愛いのでまあスルーだ。
時間は11時の10分前。スニーカーを履いて一足先に玄関に立つと、続いて涼太も俺の後につづいて靴紐を締める。
「いってきまーす!」
「気をつけてね~。何かあったら電話してよ~」
そんな会話を交わして、俺と涼太はドアの外に出る。
バタン。
今日の天気は晴れ
青い空に何片か薄い雲が浮かんでいる。
気温もそれほど高くなく、ジャンパー一枚で過ごしやすい気温だ。
今日行くショッピングモールは、家から1kmほど離れており、5分ほど歩くとつく。
「ねーねーにーちゃん、」
「どうしたのー?」
「その、ブリーフってさ...どんな感じ?」
「えっ、涼太も小さい頃履いたことあるじゃん」
「だってオレ小2から大きいやつ(ボクサーパンツ)履いてるもん」
「覚えてないのか...」
「にーちゃんはいつまで履いてたの?」
「俺は小6の終わりまで履いてたね。中学からボクサーデビューしたよ」
「ボクサー?ボクシングすんの?」
「いやいやw涼太が今履いてるみたいなやつが、ボクサーパンツっていうわけよ。」
涼太はいつも灰色のボクサーパンツを履いている。
小3からボクサー...
ってか俺と同じ時期じゃね...?つまりあの時母さんは俺だけじゃなくて涼太にも買ってたのか...
ううう
「ブリーフはねー、三角形をしていて、ちょっとだけびっちりしてる感じ。ボクサーとも似てて、前にも穴空いてるし、普通に履き心地もいいよ。」
「へぇ~。でもゆーて大きい方がしっくりくるんだけどなぁ...にーちゃんなんでブリーフやめたの?」
「うーん...前がちょっとキツくなっててさ...」
「太ったから?」
「な訳ねえだろwまあ涼太は大丈夫かな~チラチラ」
「ええ...前...前...あっ!?それってオレのちんちんが小さいってことだろ!!」
「あっばれた」
「にーちゃんよりは大きいし!」
「え~?本当かな~」
「絶対大きい!比べてみる???」
「帰ったらなw」
そんなたわいもない話をしていると、ショッピングモールに到着した。
続く
=天の声=
こちらのシリーズでも天の声は健在です
思ったより長くなりそうです
後半はちょっとだけ、ちょーっとだけエロ要素入れます
ちょーっとだけですよ?本当ですよ?
ではでは
公立の中学校に通う中学3年生だ。
毎日平凡な日々を過ごし、特に人生に不満もないただの中学生である。
学校では成績は中の上ぐらい、得意科目は数学、苦手なのは体育だ。特に水泳。
数学が苦手な人が多いだろうが、俺の場合は問題が解けたときの達成感がたまらなくて、そのままどんどん解き進んでしまう。
恋人はいるかだって?俺は生まれてから一才恋事情には興味がない。
女子を見てもなんとも思わないし、告白をする意味もわからない。
将来は結婚して幸せな家庭を築こうとは思っているが、それはまだまだ先のことだろう。
そんな俺の家族は三人、母と父、そしてもうすぐ6年生になる小学5年生の弟がいる。名前は涼太。我ながら自慢の弟である。
母と父は同い年で、聞く話によると、父が一目惚れし、告白したらしい。
ちなみに当時二人とも小学1年生。
母は最初本機にはしていなかったが、段々と成長していく父にも愛着が湧き、成人して結婚した。
俺は両親が25歳の時に生まれ、今は14歳、両親は41歳だ。
夫婦喧嘩も少なく(?)、家族思いの両親だと思っている。
さて、弟についてだが、こいつは俺が4歳の時に生まれて、そのまま大きくなって今ではもう10歳である。
小さい頃はめちゃくちゃ俺に懐いていたが、最近はそうでもなく、ゲームや友達のことで精一杯のようだ。
学校へは毎日元気に登校しており、小さい体でランドセルを背負って、とぼとぼと学校へと歩いていくのを見ると、思わず抱きしめたくなるような可愛さである。
もちろん俺はブラコンでもないが、母性本能といったところか...全国の兄諸君、これは間違っているのだろうか?
まあこんなことはさておき、俺は今日始業式を迎える。
中学3年生の始業式である。
中学3年生、中学校の最上級生である。思えば2年前、緊張しながら制服をきて入った体育館も、今となってはすっかり馴染みの場所だ。中学校の入学式は明日のため、新一年生はまだ入学してきていない。
歌い慣れた校歌をすらすらと歌い、定番である校長の長い話も、なんとか耐えた。
始業式も終わり、中学3年生の3階へと向かう。階段を登る数が一階増えるため、面倒だが、登り終えると、今まで夢見ていた3年生フロアに到着する。
下の学年がここに立ち入ることはそうそうない。全員にとって夢の瞬間であっただろう。
えっ、俺だけだって?まさかそんな。ははは
クラスを見てみると、俺は一番端っこの3年3組だった。町のはずれの小さな学校のため、生徒数はそれほど多くはない。1クラス30名ほどの3クラスである。
さて、ここから最上級生としての一年が始まるところだが、
ここで言っておこう。俺の学校生活にはこれから一切触れない。
文化祭も体育祭も修学旅行も受験も。
一切触れない。期待していた皆には悪いが、主に触れるのは、そう、我が弟の涼太の話である。
始業式は午前中のみ授業である。
3年で使う教科書や、主な行事、自己紹介などのイベントをこなし、下校時刻となった。
幸い、俺のクラスには小学校から仲良くしている友達が数人いたため、ぼっちで過ごすことにはなら無さそうである。
桜が咲く河川敷を歩き、学校から徒歩10分程度離れている我が家へと向かう...
と思っていると、涼太が通う小学校が見えてきた。
今日は彼も始業式。同じく最上級生の6年生になる日が来たのだろう。
久々に一緒に帰るか。そう思い、少し寄り道をして小学校に入る。
涼太の通う小学校は、俺の母校でもある。ここら辺の人たちはみんな、小、中ときて高校はそれぞれ他の街へと離れていく。
3年前の今日は俺もここの小学6年生になったばかりなのに、時間の流れは相変わらず早いな。
小学6年生といえば、俺の人生でもっとも楽しかった年だった。
担任の先生にも恵まれ、友達にも恵まれ。
運動会や発表会もあったし、修学旅行も、少し離れた観光地に2泊3日で遊びに行った記憶がある。
キーンコーンカーンコーン
思い出話もほどほどに。小学校のベルがなった。
時刻は12時20分。普段なら給食の準備が始まる時間だが、この日は始業式のため、小学校も中学校同様、下校となる。
周りには、迎えに来たであろう親たちが駐車場に車を止め、児童玄関まで来ている。
もちろん俺もその一人だ。
すると、奥からだんだん子供たちが玄関に向けて歩いてくる。
親を見つけて走ってくる子供ももちろんいた。
玄関の内側には、下駄箱が1年生から6年生のものまで並んでおり、
子供たちは皆、履いている上履きを中に入れて、外履きをとりだし、外の床に置く。
そして小さい足をスニーカーやランニングシューズに入れて、そのまま踵で靴を踏んだまま、外に出る。
もちろん、そんなことを毎日していたら靴が壊れてしまうが、この年の子供たちはみなお構いなしである。
それが子供であり、青春だから、とでも言っておくかな。
さて、靴箱の奥に何やら見覚えのある顔が出てきた。
友人2人と何やら話をしながら、3階まで続く階段をゆっくりと降りてきている。
背中には黒いランドセル。
1年生のようにピカピカではなく、所々コーティングが剥がれ、ボロボロとまではいかないものの、かなり年季が入ったように見える。
まだ使って5年だけどな...
そんな弟だが、どうやら靴を履くまで俺に気づかなかったらしい。
靴紐を締めて、顔を上げると、俺の顔が視界に入ったらしく、ビクッとなっていた。
友達とは玄関前で別れて、そのまま俺の方まで走ってくる。
「にーちゃん、どしたの?」
「いや、今日俺も学校終わるの早いじゃん?、だから迎えに行こうかな~って思ってさ」
「へ~。」
「へーってなんだよw」
「いや、なんとなく。じゃ、家帰ろ」
やる気のなさそうな返事はいつものことである。涼太はランドセルの肩ベルトを手で握りながら少し早足で歩き出した。
思春期特有の反抗期なのか…?成長を喜ぶべきか寂しさを悲しむべきか。
どかどかと歩いていく涼太だが、所詮は小学6年生。体格も運動神経も俺よりは劣る…かと思われたが
涼太は身体能力がとても高く、体育の成績は小学校から全部5である。
それに比べて運動神経のない俺が追いつくのはほぼ不可能。
ちなみに体育の成績は2か3である。
俺と涼太の間にはどんどん差が広がっていく。
「りょーたー…ゼェ…ゼェ…待ってええ!!!」
「なにー?」
涼太は呆れたような声を上げながらスピードを緩める。
「お前…はぁ…早すぎるって…」
「にーちゃんが遅いだけでしょ」
「グサッ…最近あんまり話せてないじゃん…はぁ…帰り道ぐらいゆっくりしようぜ…」
「えー…オレ速く帰ってゲームしたいんだけど」
「ゲームはあとでいいじゃん~!にいちゃんと話そうぜー」
「わかったよぉ…で、何話すの?」
「えっと…学校とかでの、こととか…?」
「学校今日始まったんだからゆーていうことないじゃん。あ、でも」
「えっ?」
「そういえば…今日学校でね…」
涼太が言うにはこうだ。
体育館で新しい先生の紹介があって、校長先生が変わったようである。しかし、その校長先生がとんでも無くショタコン?で、演説で
「今日から、男子の皆さんのパンツの色を統一して、白にします。女子の皆さんは大丈夫ですが、小学1年生から6年生まで、全員白ブリーフを購入し、履いてきてください。」
と言われたそうだ。
「ひどくない!?パンツの指定なんてどう言う意味なんだよ!」
「その校長普通にきもいなぁ…で、他にはなんかいってた?」
「あとは、担任の先生とかもこれに同意してて、クラスで…」
涼太がランドセルを肩から下ろし、それを開いて手紙用のファイルを開いた。そこから一枚のA4の紙を取り出してオレに渡した。
「これをみんな渡されてさ…」
「新校則の制定…」
手紙の内容としては、心の環境は学習の環境に影響するということで、下着の色は心の環境を示す、ということで、白ブリーフに統一することで、校内の一貫化を図ることらしい。全くの屁理屈である。
「オレ明日からブリーフ履かないといけないの!?しかも白!?恥ずかしいんだけど!!」
「まあまあ…落ち着きなって…。涼太は今、ボクサー履いてるんでしょ?」
「うん」
「それをブリーフにするのか…まあ、どんまい…」
「なんでだよおおお…」
「明日土曜日じゃん?一緒にパンツ買いに行ってあげるよ」
「えええええ!?いいよ一人で行くよお!」
「おにいちゃんたるもの!弟が一人で出かけるところをみてついていかないなど言語両断!」
「ごんごりょーだ…なにそれ」
「とにかく放って置けないってこと!明日一緒に行こうぜ?なんか奢ってあげるよ」
「えっガチ?やったー!ゲーム買って~」
「ゲームは高いから無理だよ…1000円以内な」
「ええ…」
そんなことを話していると、自宅の前についた。
ドアを押しあけ、涼太を先に中に入らせる。
「ただいまー!」
「ただいまー」
「おかえり。あれ、今日は二人一緒に帰ってきたんだ」
家に帰ると、母が出迎えてくれた。
「なぜか玄関ににーちゃん居たんだもん。どうせなら一緒に帰ろうかなって思って。」
「そうそう」
「二人とも本当大きくなったねえ…。明日お休みだけど、どこか行く?」
「それなんだけど…涼太、あれ見せてあげな」
「ええっ…恥ずかしいよぉ…」
「ほらほら、」
涼太の手から無理矢理手紙を奪い取り、母に見せる。
「あら、白ブリーフ…ぷっ、ははははwww」
「ちょっ、お母さん笑うなあ!」
「小6で白ブリーフはwww」
「もうううっ!!///」
明らかに涼太の顔が赤くなっていた。
「明日、涼太のパンツ買いに、二人で出かけようかなって思ってて」
「そうなんだ~。じゃあ二人で行ってきな。お母さんとお父さんは家でゆっくりしとくよ。ふふっw」
涼太は恥ずかしさが限界に達したようで、ランドセルを背負いながらそそくさと2階へ上がって行った。
「じゃっ、また明日、お金とか渡すから。二人で行ってきてね。頼んだよー!」
「はいよー」
母の承諾も得たところで、オレも2階へと上がる。
その日は特にこれといったことは起きなかった。
簡単にもらった教科書を整理し、週明けの準備を終わらす。
強いていうなら、涼太が夕食の時何も話さないで早食いしてたことだろうか。
小学生っていう生き物は不思議でたまらない。
その翌日。
俺は消すのを忘れていたスマホのアラームに6時30分に起こされた。
大音量で鳴り響くアラームをぱぱっと止めてすぐに眠りにつく。
その二時間後、8時ごろに再びベッドから起き上がってリビングへと向かう。
リビングには母と父がすでに起きていた。
涼太はまだ寝ているみたいなので、起きるまで朝食を食べる
「おはよ~...ふあぁぁ...」
30分後、涼太が眠い目を擦りながらゆっくりと階段を降りてきた。
小学6年生にもなって、3年生の頃に買った戦隊モノのパジャマがまだまだぴったりサイズなのがいい。
まあ成長には個人差はあると思うがな。
二人とも朝食を食べ終わり、出かける準備をする。
俺は白いTシャツ1枚に、外から羽織るジャンパーを一枚。下は紺の長ズボン。
涼太は英語がプリントされたTシャツにパーカーを上から着て、下は黒い半ズボン。
パーカー半ズボンとかいう謎の組み合わせをしていたのだが、可愛いのでまあスルーだ。
時間は11時の10分前。スニーカーを履いて一足先に玄関に立つと、続いて涼太も俺の後につづいて靴紐を締める。
「いってきまーす!」
「気をつけてね~。何かあったら電話してよ~」
そんな会話を交わして、俺と涼太はドアの外に出る。
バタン。
今日の天気は晴れ
青い空に何片か薄い雲が浮かんでいる。
気温もそれほど高くなく、ジャンパー一枚で過ごしやすい気温だ。
今日行くショッピングモールは、家から1kmほど離れており、5分ほど歩くとつく。
「ねーねーにーちゃん、」
「どうしたのー?」
「その、ブリーフってさ...どんな感じ?」
「えっ、涼太も小さい頃履いたことあるじゃん」
「だってオレ小2から大きいやつ(ボクサーパンツ)履いてるもん」
「覚えてないのか...」
「にーちゃんはいつまで履いてたの?」
「俺は小6の終わりまで履いてたね。中学からボクサーデビューしたよ」
「ボクサー?ボクシングすんの?」
「いやいやw涼太が今履いてるみたいなやつが、ボクサーパンツっていうわけよ。」
涼太はいつも灰色のボクサーパンツを履いている。
小3からボクサー...
ってか俺と同じ時期じゃね...?つまりあの時母さんは俺だけじゃなくて涼太にも買ってたのか...
ううう
「ブリーフはねー、三角形をしていて、ちょっとだけびっちりしてる感じ。ボクサーとも似てて、前にも穴空いてるし、普通に履き心地もいいよ。」
「へぇ~。でもゆーて大きい方がしっくりくるんだけどなぁ...にーちゃんなんでブリーフやめたの?」
「うーん...前がちょっとキツくなっててさ...」
「太ったから?」
「な訳ねえだろwまあ涼太は大丈夫かな~チラチラ」
「ええ...前...前...あっ!?それってオレのちんちんが小さいってことだろ!!」
「あっばれた」
「にーちゃんよりは大きいし!」
「え~?本当かな~」
「絶対大きい!比べてみる???」
「帰ったらなw」
そんなたわいもない話をしていると、ショッピングモールに到着した。
続く
=天の声=
こちらのシリーズでも天の声は健在です
思ったより長くなりそうです
後半はちょっとだけ、ちょーっとだけエロ要素入れます
ちょーっとだけですよ?本当ですよ?
ではでは
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