長めの自己紹介。

ユンボイナ

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女に化ける

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 大学に入った私は、「このままじゃいかん!」と思った。何が「このまま」じゃまずいのかというと、まずは体型。高校時代に母親の出す食事やおやつを言われるがまま食べていた私は、体重が60キロを超えていた。
 よかったのは、大学が山の上にあり、自然にウォーキングでダイエットができたことだ。順調に体重は落ち、半年ほどで50キロを下回るようになった。
そして、体重が落ちると同時に、なぜか「私も周りのように女物を着なくちゃならん!」と考えて、大学生協に置いてある女性ファッション誌を買って読むようになった。
 もっとも、いわゆる赤文字系(JJやCanCam、ViViなど)は、どうも紹介されている服やアクセサリーが高く、親からの仕送りと微々たるバイト代では買えそうになかった。一方で、青文字系(Zipperやminiなど)ならば、紹介されている洋服そのものは買えなくても、似たような雰囲気の服なら買える。よし、これだ、と思った私は、「青文字系風味な服装をした女子大生」になっていたはずだ。
 はずだ、というのは、田舎出身でファッションセンスに自信がないからである。もっとも、大学自体が地方だし、周囲もみんな田舎出身の子ばかりだったので、そこまでファッションが洗練されていたわけではなかった(と思う)。本当に牧歌的な良い学校だった。

 さて、女の子が大学進学を機に親元を出た、となると、当然「彼氏を作るよね」と皆さん思うだろうが、これが全くないのである。私の周囲も、彼氏がいたりいなかったりで、そこまで恋愛に熱心ではなかったのだ。私はこの、「彼氏がいなくても普通」という状態に救われた。美形ならば、男が放っておかないのだろうけど(事実、私の周りの美人さんには全員彼氏がいた)、そうでもない私にはあまり男が寄ってこなかったのだ。私のほうでも大して男に関心がないので、これは好都合である。
 もっとも、一度だけ彼氏ができかけたことがあった。四年生のときに、単発のアルバイトでたまたま知り合った同じ学年・同じ学部の男の子に誘われてボーリングと映画のデートに行った。アルバイトの際にはお互いスーツ姿だったので粗が見えなかったのだが、デートの際に彼が着てきたのがヨレヨレのTシャツだったので、まずこれで覚めた。また、その日はたまたまレディースデイだったので、私の方が料金が安かった(彼は映画代なんか奢ってくれなかったのだ)が、彼は「いいなあ、安くて」と言ってこっちを睨むので、「なんだこのケチは!」と嫌になってしまった。
 ちなみに私たちが観た映画は、「千と千尋の神隠し」だったが、正直私にはそこまで面白くなく、帰り道に宮崎駿を酷評しまくった。だからなのか、その後、大学構内で彼と顔を合わせても、全く口をきいてくれなかった。そんなにジブリが好きなら先に言っておいてくれよ、と思う。

 そんなわけで、私の四年間は全く男っ気がなかった。だったら女っ気はあったのかというとそれもなくて、女の子に片思いすることはあっても、その気持ちをどうしたら良いのか分からず、闇に葬り去っていた。

 もっとも、大学を卒業してしばらくして、レズビアン向けの出会い系掲示板というものがあることを知るのだが、話が長くなるので、またここで一旦切ります。
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