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【勇者:葵視点】皆で狩ってくるといい

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「そんじゃあ、俺がちょっと見てくるわ」


軽い身のこなしでピュールが足跡を追っていく。小柄で足も早くそれなりに体力もある彼は斥候にはうってつけだ。サーロが場所を推理し、ティックスが見つけ、ピュールが獲物の棲みかや数を特定し、全員で狩る。

随分流れが出来てきた気がする。


最初はビクビクして魔物と戦うなんてとんでもない!って雰囲気だった街の男連中は、今では連携プレーが出来るまでになってきた。

実はこの狩り担当は街でも大人しい男達を選んであるんだ。

あの乱暴な奴らの方が攻撃力は若干高かったけれど、獲って来た獲物を分け合う感覚は望めそうもない。俺たちがこの街を出た後、食糧難になるようじゃ寝覚めが悪いし。

それに、この大人しい男達が強くなってくれれば、あの乱暴者達を抑えていけるようになるんじゃないかと思うんだ。だんだんお互いに信頼関係が出来てきてるみたいにも見えるし、狩りをするうちに分担する事も協力する事も連携する事も、自然に出来る感じになってきたのも嬉しい。

本人達も漸く自信がついてきたらしく、剣を取る手も様になってきた。


そうだよな、俺だって最初戦った時は正直ものすごく怖かった。今思えば魔物というのも憚られるほど弱い奴だったけど、それでも生き物と戦う、命をとるという事自体が恐怖だったんだ。泣いたし、吐くかと思った。

それでも回を重ねれば。

食べるためだ、生きるためだと割り切れるし、自分の体がどれくらいの敵と戦えるのかも自然と分かるようになる。

俺は、それを待っていた。


「アオイ、ここからそう離れてないところにガイットが二匹。ゆっくりした足取りでコロニーと思われる方向に向かってる」

「好都合だな。コロニーに近くなると厄介だ、今のうちに皆で狩ってくるといい」


そう言って、俺は隣に佇む逞しい男を振り返る。


「なんだよ、またサボリか?」


ニヤリと笑うそいつの名はガッタ。

元は鳶職らしいその男は、この中では一際体がデカイ。威勢もいい。情にも厚くてリーダーシップがある。狩りに出るようになって最初に魔物を仕留めたのは彼だったし、今や全員を纏める力を発揮し始めている、俺が一番頼もしく思ってる逸材だったりする。


「ヤバいと思ったら参戦するよ、でも大丈夫だと思う」

「まーな」


自信があるんだろう、またもニヤリと笑って指をバキバキとならしたガッタは、腰に下げた剣をスラリと抜く。


「よし、いくぜ野郎ども!」


ザラつく声が響いた瞬間、男達が一斉に走り出した。
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