71 / 73
結婚って……あの結婚か?
しおりを挟む
「へ!?」
とんでもない言葉に、思わず変な声が出た。
「結婚って、あの結婚か? 生涯を共にする……」
「それ以外ないでしょ。僕、レオニーの事大好きでずっと一緒にいたいから、結婚して欲しい」
「え、いや、でも、そんな」
「前に僕の事守りたいって……僕の錬金術のことも支援したいって言ってくれたよね?」
「そ、それは言ったが」
「僕、すっごく嬉しかった。ずっと一生一緒にいて……僕の事、一番傍で守ってくれると嬉しいんだけどな」
「……!」
なんと可愛らしい顔で、声で、仕草で、可愛い事を言うんだろうか。こんな殺し文句を言われては、胸がきゅうんと苦しくなってしまうではないか。
これが母性本能なのか、騎士として大切な人を守りたい気持ちなのか、はたまた生涯持つ事はないだろうと思っていた恋愛的なトキメキなのか定かではない。
けれど、とにかく心臓を撃ち抜かれたような気持ちになった。
「レオニーさ、前に夢はないかって僕が聞いた時、『ルシャが大賢者と呼ばれるほどの錬金術師になってくれるんじゃないかと夢見ている』って言ったよね」
「い、言ったな」
そしてルシャに「自分の事だよ!」って怒られた。確かに、他者の将来に夢を託すなんて、身勝手だったと反省した。
「その……悪かった。ルシャに重荷を託すような真似をしたと反省している」
「全くだよ」
ぷくっと頬を膨らませたルシャは、なぜかすぐにいたずらっぽく笑って私の顔を覗き込む。
「でも僕ね、レオニーのためなら大賢者を目指したっていいと思ってる」
「えっ、いや、それは申し訳ないよ。本当に気にしなくていいから」
「だって結婚すれば伴侶の夢は僕の夢だし」
「……」
なんで、満面の笑顔でそんな可愛い事を言ってくれるんだろう。私みたいに、可愛気のひとかけらも無いようなヤツに。嬉しい反面、ものすごく申し訳ない。
それに、私が迂闊な事を言ったばっかりにルシャが自分の夢を曲げてしまうのが何より嫌だった。
「いや、本当に大賢者の話は忘れてくれ。ルシャは、ルシャの夢を追ってほしい」
「僕の夢は、大好きな人と一生仲良く暮らすことだよ。だから、レオニーが幸せならそれが一番!」
どうしよう、ルシャが私の心臓を殺しにくる。
「ね、僕と結婚しよ!」
うっかり「うん」と言ってしまいそうだった。
しかし私だってルシャが大賢者になるよりも、こうして笑っていてくれた方がいいわけだから本当に無理に目指す事なんてないし、第一結婚なんて重大な事、私ひとりで決められる筈もない。
とんでもない言葉に、思わず変な声が出た。
「結婚って、あの結婚か? 生涯を共にする……」
「それ以外ないでしょ。僕、レオニーの事大好きでずっと一緒にいたいから、結婚して欲しい」
「え、いや、でも、そんな」
「前に僕の事守りたいって……僕の錬金術のことも支援したいって言ってくれたよね?」
「そ、それは言ったが」
「僕、すっごく嬉しかった。ずっと一生一緒にいて……僕の事、一番傍で守ってくれると嬉しいんだけどな」
「……!」
なんと可愛らしい顔で、声で、仕草で、可愛い事を言うんだろうか。こんな殺し文句を言われては、胸がきゅうんと苦しくなってしまうではないか。
これが母性本能なのか、騎士として大切な人を守りたい気持ちなのか、はたまた生涯持つ事はないだろうと思っていた恋愛的なトキメキなのか定かではない。
けれど、とにかく心臓を撃ち抜かれたような気持ちになった。
「レオニーさ、前に夢はないかって僕が聞いた時、『ルシャが大賢者と呼ばれるほどの錬金術師になってくれるんじゃないかと夢見ている』って言ったよね」
「い、言ったな」
そしてルシャに「自分の事だよ!」って怒られた。確かに、他者の将来に夢を託すなんて、身勝手だったと反省した。
「その……悪かった。ルシャに重荷を託すような真似をしたと反省している」
「全くだよ」
ぷくっと頬を膨らませたルシャは、なぜかすぐにいたずらっぽく笑って私の顔を覗き込む。
「でも僕ね、レオニーのためなら大賢者を目指したっていいと思ってる」
「えっ、いや、それは申し訳ないよ。本当に気にしなくていいから」
「だって結婚すれば伴侶の夢は僕の夢だし」
「……」
なんで、満面の笑顔でそんな可愛い事を言ってくれるんだろう。私みたいに、可愛気のひとかけらも無いようなヤツに。嬉しい反面、ものすごく申し訳ない。
それに、私が迂闊な事を言ったばっかりにルシャが自分の夢を曲げてしまうのが何より嫌だった。
「いや、本当に大賢者の話は忘れてくれ。ルシャは、ルシャの夢を追ってほしい」
「僕の夢は、大好きな人と一生仲良く暮らすことだよ。だから、レオニーが幸せならそれが一番!」
どうしよう、ルシャが私の心臓を殺しにくる。
「ね、僕と結婚しよ!」
うっかり「うん」と言ってしまいそうだった。
しかし私だってルシャが大賢者になるよりも、こうして笑っていてくれた方がいいわけだから本当に無理に目指す事なんてないし、第一結婚なんて重大な事、私ひとりで決められる筈もない。
6
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説
婚約解消は君の方から
みなせ
恋愛
私、リオンは“真実の愛”を見つけてしまった。
しかし、私には産まれた時からの婚約者・ミアがいる。
私が愛するカレンに嫌がらせをするミアに、
嫌がらせをやめるよう呼び出したのに……
どうしてこうなったんだろう?
2020.2.17より、カレンの話を始めました。
小説家になろうさんにも掲載しています。
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。
貴方でなくても良いのです。
豆狸
恋愛
彼が初めて淹れてくれたお茶を口に含むと、舌を刺すような刺激がありました。古い茶葉でもお使いになったのでしょうか。青い瞳に私を映すアントニオ様を傷つけないように、このことは秘密にしておきましょう。
婚約破棄されたので初恋の人と添い遂げます!!~有難う! もう国を守らないけど頑張ってね!!~
琴葉悠
恋愛
これは「国守り」と呼ばれる、特殊な存在がいる世界。
国守りは聖人数百人に匹敵する加護を持ち、結界で国を守り。
その近くに来た侵略しようとする億の敵をたった一人で打ち倒すことができる神からの愛を受けた存在。
これはそんな国守りの女性のブリュンヒルデが、王子から婚約破棄され、最愛の初恋の相手と幸せになる話──
国が一つ滅びるお話。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
断罪される一年前に時間を戻せたので、もう愛しません
天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルリサは、元婚約者のゼノラス王子に断罪されて処刑が決まる。
私はゼノラスの命令を聞いていただけなのに、捨てられてしまったようだ。
処刑される前日、私は今まで試せなかった時間を戻す魔法を使う。
魔法は成功して一年前に戻ったから、私はゼノラスを許しません。
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる