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ペンダントの謎

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それからしばらく俺たちがお菓子をパクつくのを嬉しそうに見ていたハイロン様は、俺たちが落ち着いたのを見計らって、ゆったりと口を開いた。


「龍命石の話に入る前に、少しおぬしたちの事を聞いてもいいだろうか」

「はい、もちろん」

「さきほどから気になっていたのだが、カインのその胸のペンダントは、ドラゴンマスターの証ではないのか?」


俺は咳き込んだ。

めちゃめちゃ忘れてた!


「その年でその数はありえぬが……しかしその証からはカインと同じ匂いがする」


不思議そうに言われて、俺はとりあえずペンダントを首から外してハイロン様に見せてみた。そして、アリアの言葉をそのまま伝えてみる。


「なるほど、親の形見か。しかしこの証は凄まじい。おぬしの血縁は、飛び抜けて優秀なドラゴンマスターだったようだ」


ハイロン様は、そう言える理由を優しく教えてくれる。

ドラゴンマスターの証には真ん中に透明なデカイ石が一個、周りを6個の色とりどりの石が囲んでいる。元々は周りの石も透明で、ドラゴンと契約すると、そのドラゴンの属性に応じた石が色付くんだって。

俺の持っていた紋章は6色。あとは真ん中の大きな石が色づけばコンプリートだ。

ドラゴンの信頼を得るのは凄く難しくって、腕利きのドラゴンマスターでも普通は1~2匹のドラゴンとしか契約出来ないらしい。


「こんなに多くの属性のドラゴンを従えたという話はここ数百年聞いておらん。多分おぬしの親の代ではなく、さらに代を遡った先祖の形見の品であろう」

「そっか……じゃあ、カインの産みの親を知ってるドラゴンさんはここにはいないのね」

「だな」


ミュウは残念そうな声を出すけど、正直俺は思ったよりダメージを受けなかった。やっぱり顔も見たことないし……育ててくれて大切にしてくれたのは、結局アリアと村の人たちだ。

ルーツは分からなかったけど、それはそれでいいのかも知れない。

そう思った俺に、ハイロン様は意外なことを教えてくれた。


「だが、これほど多くのドラゴンと契約をかわせば、今でもこのギルドに属しているドラゴンが居るやも知れぬ。ドラゴンは人からすれば呆れるほど長命だ。後ほどギルドで探してみなさい」


何百年も前に俺のご先祖様と契約したドラゴンがいるかも知れない? そんな夢みたいな事があるのか。俺はなんだか嬉しくなった。


「大切な形見だ、その証はおぬしが持っている方がよかろう」


俺に証を返してくれながら、ハイロン様は目尻に深い皺を作って優しげに微笑んだ。
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