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イベント回収するぞー!
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さらに翌日。俺は朝から燃えていた。
「ほら、さっさと起きろって! 朝メシ抜くぞ!」
寝起きの悪い譲をたたき起こして、まだ目をこすっているところに、着替えを投げてやる。さすがに体は女主人公、寝顔は大変にかわいらしいが、中身は譲だからな。情けは無用だ。
「なんだよもう、朝っぱらから元気だな」
ブチブチと愚痴りつつ、それでもなんとか起きてきた譲に、手早く朝食を出してやる。といっても、豆のスープと味気ないパンに目玉焼きという、なんとも質素な食卓だ。
だが、そんな侘しいメシとも今日でおさらば。なんせ今日は待ちに待った5日めだからな!
「今日は忙しいんだ。メシ食ったらさっさと出かけるぞ」
「? なんかあんのか?」
「ああ、今日は5日めだからな。解禁になるイベントが盛りだくさんなんだよ。早くクリアするためにも、できるだけイベント回収しておかないとな!」
「イベント回収……?」
「ええと、なんて言えばわかるかな。今まで会えなかった人に会えたり、入れなかった店に入れるようになったりするんだよ。美味いもの食わせてくれる食堂もオープンするぞ」
「まじか!」
「農場や牧場に行ける道も通れるようになるから、新鮮な牛乳とか、野菜も買えるようになる」
「すげえ!」
おお、笑顔が輝いてる。文句は言ってなかったけど、さすがに譲もここ数日の食生活の乏しさには思うところがあったんだろう。
「おっしゃ! すぐに食うから!」
思いっきりがっついて咳き込む譲を見ながら、俺はちょっとだけ苦笑する。そういやコイツ、牛乳が妙に好きだったっけ。だからあんなにグングン背が伸びたのかね。
「で、どこに向かってるんだ? なんか森に入ってくけど」
宣言通りあっという間にメシを食い終わった譲の声が、あきらかにウキウキしてる。なんだか感情表現が素直になった気がするなあ、なんてどうでもいいことを考えながら、俺は口を開いた。
「まずは最優先のイベント回収だな。最初の日に入った森に行く道の途中に脇道があってさ、そっち進んでいくとラツィオっていう学者が住んでる家があるんだよ」
「ふーん。ま、最終的に美味いメシが食えるならなんだっていいや」
「もうそろそろ着くと思うけど」
俺がそう言い終わるかどうか、というタイミングで、凶暴な獣のうなり声が響いた。
「魔物か!?」
譲が俺をかばうようにサッと前に出る。その小さな背中は、意外にもとても頼もしい。
でも、大丈夫だ。
「譲、心配ない。これはイベントだ」
間違いない、ひときわ大きい樹の向こうにはラツィオが住む家があるはずだから。
「ほら、さっさと起きろって! 朝メシ抜くぞ!」
寝起きの悪い譲をたたき起こして、まだ目をこすっているところに、着替えを投げてやる。さすがに体は女主人公、寝顔は大変にかわいらしいが、中身は譲だからな。情けは無用だ。
「なんだよもう、朝っぱらから元気だな」
ブチブチと愚痴りつつ、それでもなんとか起きてきた譲に、手早く朝食を出してやる。といっても、豆のスープと味気ないパンに目玉焼きという、なんとも質素な食卓だ。
だが、そんな侘しいメシとも今日でおさらば。なんせ今日は待ちに待った5日めだからな!
「今日は忙しいんだ。メシ食ったらさっさと出かけるぞ」
「? なんかあんのか?」
「ああ、今日は5日めだからな。解禁になるイベントが盛りだくさんなんだよ。早くクリアするためにも、できるだけイベント回収しておかないとな!」
「イベント回収……?」
「ええと、なんて言えばわかるかな。今まで会えなかった人に会えたり、入れなかった店に入れるようになったりするんだよ。美味いもの食わせてくれる食堂もオープンするぞ」
「まじか!」
「農場や牧場に行ける道も通れるようになるから、新鮮な牛乳とか、野菜も買えるようになる」
「すげえ!」
おお、笑顔が輝いてる。文句は言ってなかったけど、さすがに譲もここ数日の食生活の乏しさには思うところがあったんだろう。
「おっしゃ! すぐに食うから!」
思いっきりがっついて咳き込む譲を見ながら、俺はちょっとだけ苦笑する。そういやコイツ、牛乳が妙に好きだったっけ。だからあんなにグングン背が伸びたのかね。
「で、どこに向かってるんだ? なんか森に入ってくけど」
宣言通りあっという間にメシを食い終わった譲の声が、あきらかにウキウキしてる。なんだか感情表現が素直になった気がするなあ、なんてどうでもいいことを考えながら、俺は口を開いた。
「まずは最優先のイベント回収だな。最初の日に入った森に行く道の途中に脇道があってさ、そっち進んでいくとラツィオっていう学者が住んでる家があるんだよ」
「ふーん。ま、最終的に美味いメシが食えるならなんだっていいや」
「もうそろそろ着くと思うけど」
俺がそう言い終わるかどうか、というタイミングで、凶暴な獣のうなり声が響いた。
「魔物か!?」
譲が俺をかばうようにサッと前に出る。その小さな背中は、意外にもとても頼もしい。
でも、大丈夫だ。
「譲、心配ない。これはイベントだ」
間違いない、ひときわ大きい樹の向こうにはラツィオが住む家があるはずだから。
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