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首席騎士様は、勇気を振り絞る

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やっちまった!!!!!

リカルド様の言葉が嬉しくて、つい詰め寄ってしまった。

あああ、ほらぁ。せっかく普通に返事してくれてたのに、またリカルド様が真っ赤になって黙っちゃったじゃない。なんとかしなきゃ……!

しまったって気持ちと、なんとかしなきゃって焦りで心臓がバクバクする。これでまた引かれちゃったら元も子もないよ。今ならまだ、カバーできるはず。

胸の前で祈るように堅く指を組んで、あたしは必死で顔を上げた。


「あのっ、リカルド様……」

「ユーリン!」

「っ!!!?」


ななな、何が起こってるの!?

リカルド様が手を、手を握ってきたぁぁぁぁぁ!!!!???

おっきくてゴツゴツしたリカルド様の手が、あたしの両手を包んでいる。どうしたんだ、リカルド様。

まさかの展開にあたしも頭がまわらない。


「あ、あ、あの……」

「もちろんだ!」


うっかりテンパって「なにが?」と言いそうになる口をぐっと閉じてこらえる。せっかくリカルド様が何か言おうとしてくれてるんだ。何があっても、邪魔したりしない。

あたしは、息すら止めてリカルド様が口を開くのを待った。

リカルド様も、まっすぐにあたしの目を見て、何か言おうと頑張っている。ふるふると震える唇がわずかに開くたび、あたしの心臓は面白いくらい跳ねてしまう。

待つけど。

待つけど、頑張ってリカルド様……! 心臓がもたないよー!


「も、もちろんユーリンとなら、ずっと一緒に旅をしてもいい……! 側にずっと居ても嫌ではない、というか」

「……っ」


リカルド様、なんて嬉しいことを……。涙出そう。

涙で若干ぼやけて見えるけど、リカルド様ももちろんすごくすごく緊張してるみたい。顔は真っ赤なのに、手はすごく冷たくて、面白いくらいブルブル震えている。もちろんあたしの両手も一緒にガクガク揺れるわけだけど、もうそれすら愛しいよ。

しかも、もうどう見てもいっぱいいっぱいっぽく見えるのに、リカルド様はまだ何か言おうとしてくれているみたいだった。

息も絶え絶えに、リカルド様が口を開く。


「むしろ、一緒に、いたい……!」


ほ、本当ですか、リカルド様ーーーーーー!

手を握られていなかったら踊り出してしまいそうだ。いや、むしろ抱きついてしまっていたかもしれない。


「嬉しい、リカルド様……!」


我慢できなくて、声が出ちゃった。でも、もういいよ。だって嬉しいんだもの。


「あたしも、リカルド様と一緒にいたいですぅ」

「ほ、本当か!?」

「当たり前じゃないですか……!」
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