魔法学校の無敵の首席騎士様は、ちょっとコミュ障、大型わんこ系でした

真弓りの

文字の大きさ
上 下
54 / 144

首席騎士様は、成果を誇る

しおりを挟む
「ありがとう。二人がいなかったら、今頃オレもアリシア嬢も生きてはいなかったと思う」

「悔しいですけれど、完敗ですわ。お二人には感謝してもし足りません。本当に、ありがとうございました」


驚くほど丁寧にお礼を言って、二人は樹海の奥へと消えていった。

大丈夫なのかな、さっきみたいに強大な魔物に遭遇したりしないのかな。そんな不安が頭をもたげるけれど、その心配は一蹴された。


「問題ない、先ほど広範囲で浄化の魔法をかけた。さすがにもう、魔物寄せの薬の効果はないだろうし、

「あ、もしかしてさっきあんなに巨大なドラゴンが出現したのって」

「ああ、アリシア嬢が結界を解いたせいで、彼女に付着していた薬の残滓と、大量のBランクの血臭があんな大物を呼び寄せたんだろう。まぁ、君の魔力の影響もあるのかも知れないが理由は複合的なものだろうとしか」

「……!」


リカルド様の言葉にぞっとする。

魔法薬はもうないかもしれないけど、あたしの撒き餌度は別に変わらないわけで……それって、全然安心できないんじゃ?

不安に思うあたしに、リカルド様は穏やかな目を向けた。


「さあ、帰ろう。学園の敷地内は強力な結界が施されている。あそこより安全なところなど、この世のどこにもないからな」

「はい……やっぱり、危険なんですね」

「ああ、ユーリンは戻り次第、魔力の制御を再度習得した方がいいだろう」

「……リカルド様、教えてくれます?」


おずおずと切り出すあたしに、リカルド様は嬉しそうに微笑む。


「もちろんだ、任せてくれ」


それは、リカルド様に会ってから一番の、はっきりとした笑顔だった。



*********************************************



「本当にA、ランクを、狩ってきただと……!?」


ふははははっ! 驚愕するがいい!!!

ああ、気持ちいい。目の前には驚いて腰を抜かさんばかりの学年主任の顔がある。

さすがにAランク+Bランク十二体の頭を目の前にすれば、そんな反応にもなるだろう。言っとくけど頭を持ち帰れなかったものも含めれば、もっとあるんだからね! 全部リカルド様が狩ったものだけどね!


「くっ……ハンデが足りなかったか」


ギロリとあたしを見る目は、いかにも忌々しげだ。ほんとヤなヤツだなぁ。

そう思ったのはリカルド様も同じだったみたいで、あたしの代わりにスゴイ厳しい目で学年主任をにらみ返している。


「彼女はハンデではありません。Aランクの飛龍を倒せたのは彼女のおかげです」

「はん、そんな筈があるまい。この落ちこぼれが何をできるというのかね」
しおりを挟む
感想 83

あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

盲目の公爵令嬢に転生しました

波湖 真
恋愛
2021年4月27日より青神香月先生によるコミカライズ版が始まりました。 とっても素敵な作品です! 是非コミカライズ版もご覧ください! ------------- 2020年10月第二巻で完結しました。 11月21日よりお礼番外編をアップいたします。 ーーーーーー 2020年3月に刊行いたしました。 書籍化あたり、該当部分を下げさせていただきました。 よろしくお願いします 書籍化のお礼にSSを追加しました。 本当にありがとうございました! -------------- 十八歳で病気で死ぬ直前に転生したいと願ったら出来ました。ただし盲目でした。少しずつ前世の常識とのギャップを感じる中アリシアの婚約者を狙う令嬢が現れてしまいました。そんな公爵令嬢の転生物語。 二日に一度の更新です。 宜しくお願いします。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~

紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。 ※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。 ※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。 ※なろうにも掲載しています。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

処理中です...