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二人のなれそめ

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きっと、出会った時のことを思い出しているのだろう。

「それでこの屋敷を見に来てみたら、この真奈美が窓から見えたわけですね」

「はい」


窓から真奈美さんの姿を見たのは、実際には千尋様なわけだけれど、とりあえずここは私だってことにしといた方が無難だろう。


「真奈美」

「はいいいいっ! ご、ご、ご、ごめんなさいっ!!!」

「ひえっ!?」


驚きすぎて変な声がでちゃった。

雅様に呼ばれただけで飛び上がった妹さんは、なぜか涙目でプルプル震えている。急にどうしたんだ、いったい。


「窓に近づいてはいけない、開けてはいけないと言ってあったでしょう?」

「はいぃごめんなさいぃぃぃ」


うわぁ、妹さんめっちゃ怯えている。でもさ。


「窓に近づいてもダメって、監禁感すごいな……」

「監禁とは人聞きの悪い」


思わず呟いた言葉に、雅様が超速で反応する。ヤバイ、目が怖い! 目が怖いよー!


「詳しい事情は話してくれませんでしたが、真奈美が逃げてきた、帰りたくないと言うから、彼女を保護するためにわざわざ設けたルールなのですよ」

「だって……だって、私、あの学園に通うのが怖くて。どうしたらいいのか分からなくなっちゃって」


確かに、この世界に迷い込んじゃったと分かったとき、私だって混乱したし逃げたくなった。あんなに大好きだった千尋様が怖くて怖くて仕方なかった時には絶望したし。


「でも、やっぱり雅様だけはどうしても生で見ておきたくて、家を逃げ出したあの日、記憶を頼りにこの雅様のお屋敷まで来てみたの。そしたらちょうど雅様はお庭でお花を愛でていらして」


この洋館にふさわしいイングリッシュガーデンに、麗しの雅様が佇んでいたらしい。繊細な造りのアイアンフェンス越しに、妹さんは飽きずに延々と雅様を鑑賞し……ついに、視線に耐えられなくなった雅様に、声をかけられるに至ったというから、妹さんもかなりの強者とみえる。


「あの日は驚きましたね。これまでもそれなりに粘着質の視線を感じることはありましたが、真奈美の視線は別格でした。なんというか、熱烈というか」

「もう二度と、見ることができないかもと思ったから……つい」

「声をかけたら、いきなり泣かれてしまって。女性を泣かせるなど、私にとってはあってはならないことでしたので、焦りました」


そういえば雅様ってフェミニストな設定だったっけ。最終的にはヤンデレ要素満載だけど、初期はキャラの中で一番優しくて、いつもヒロインを優しく労り、見守ってくれていたと思う。
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