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呆れた……!

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「ただ、妹はやっぱり心配だから助けにはいく。お前はちょい離れたとこで見守っといてくれよ。で、なんか危ないことになったらソッコーで助けてくれればいいじゃん」

「う……む」


おお、さりげなくボディガード交渉はするわけか。やるなぁ、絢香さん。


「仕方ない、無茶はするなよ」


ため息とともに承諾した千尋様に、「ありがとう!」と可憐な笑みを見せてからくるりと私の方を振り返った絢香さんは、ニンマリを悪い笑いを漏らしていた。


*********************************


そんなこんなで、ついにやってきました、雅様のお屋敷!

完全に千尋様を手玉に取っている絢香さんは、なんなく千尋様をおだてまくって雅様のお屋敷まで案内させたかと思うと、「ここから先は気配でバレそうだから」なんてうまいことを言って、ちょっと離れた曲がり角の塀の後ろに千尋様を待機させている。

おかげさまで、やっと絢香さんとも秘密の会話ができそうだ。


「んもぅ、絢香さんたらいきなり色々とカミングアウトしだすからびっくりしたよ」


ちょっと苦情を言ってみたら「あの場合、仕方なねーだろ」なんて憮然とされてしまった。


「でも大丈夫なの、妹さんの事とか言っちゃって」

「ま、なんとかなるだろ。よく考えりゃ、俺が陰陽師だってバレなきゃ、それ以外は別に千尋に知られたところでどうってことないなって思ってさ」


……確かに。


「そう思ったら、アイツに素直に協力してもらった方が色々面倒がなくなるって気づいちゃったんだよな」

これまで頑なに千尋様の介入を拒んできた絢香さんとは思えない物言いだけれど、ここは黙って受け入れよう。

なんてったって、雅様のお屋敷に乗り込むのであれば、千尋様が味方についてくれるのは正直言ってありがたいことなんだもの。


「さ、行ってこい!」


話の途中だと言うのに、なんの脈絡もなく絢香さんにいきなり肩を押されて、ふらっと電信柱の陰から飛び出てしまった私は、慌てて素早く元の位置に戻る。

危なかった! いきなり雅様に見つかってしまったら、どうしてくれるのよ!


「なにすんのよ、急に!」

「なんだよ、さっさと行って、あの白蛇ヤローに交渉して来いって」

「ふざけんじゃないわよ! まだなんの作戦も立ててないじゃないの!」

「はあ? 作戦だぁ? なんかあったらおまえの千尋様が助けてくれるって。心配すんな、行って来い!」


呆れた……!

丸投げの上に、なんかあったら千尋様になんとかして貰おうって思ってんのか。
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