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【SS】アカリパパ視点: 僕とほのかさんの言い分

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ナフュールさんは多分、心配しなくても大丈夫だと言いたかったんだろうが、ちっとも安心できない。むしろめちゃくちゃ心配になった。ほのかさんも分かりやすく青くなっている。

「つまり血と一緒で、流しすぎると死ぬって事だね?」

「はい」

僕が問うと、ナフュールさんはなんてことない顔で頷く。

「それを、しょっちゅう倒れるまで放出している、って事?」

「はい……」

さすがにマズイと思ったのか、ナフュールさんの歯切れが悪くなる。僕の隣でほのかさんが、ぷるぷると震え出した。

「……ダメじゃないの」

ひっくい声でほのかさんが呟く。

「だよねぇ。あたしもユーリーン姫もコールマンも無理するなって口を酸っぱくして言ってるんだけど」

「そんな呑気な話じゃないでしょう。さっき話を聞いてた時からちょっと不安には思ってたけど、やっぱり全然安心できない。アカリのためにも絶対に、倒れるまで体を酷使するのはやめて」

ほのかさんが、キッとナフュールさんを睨んだ。

「そうじゃないとアカリのパートナーとして認められません」

キッパリとそう言い放つ。

「……!」

ナフュールさんの目が、驚愕で見開かれた。

「それだけ倒れてれば、これ以上やると危ないな、って分かるでしょう。そもそもそこまでやらなきゃいけない事態なんて本当に稀な筈よ。それなのに倒れるまでやって周囲に心配をかけるだなんて自己満足でしかありません」

幼かったアカリに言い聞かせてた時の口調だった。

「す、すみません……」

「ナフュールさんに助けて貰った人だってね、その後ナフュールさんが倒れてしまったら、自分のせいで、申し訳ないって気持ちの方が大きくなっちゃうと思うわよ?」

「……」

「今にも死にそうな人を放っておけ、って言ってるわけじゃないのよ。眠れば魔力は回復するんでしょう? どうしても今じゃないと駄目か、真剣に考えて力を使えばいいじゃない。その方が、絶対にどちらも気持ちがいいと思うの」

「そうだね。ナフュールさんが健康で長生きした方が、より沢山の人を救う事ができて、結果的にいいだろうしね」

俯いて、僕とほのかさんの言い分をしばらく咀嚼するように考え込んでいたナフュールさんは、ゆっくりと顔をあげると少し恥ずかしそうに微笑んだ。

「本当に、その通りですね。ひとりでも多く、早く癒したいと思うばかりに、受け取ってくださる方のお気持ちを蔑ろにしていたようです。これからは、奇跡を受け取ってくださる方のためにも、心配してくれるアカリ達のためにも、無理をしないように心がけます」
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