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四章 蝉時雨
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ミ~ンミンミンミン……!
ミ~ンミンミンミン……!
茹だるような夏の日、蝉時雨の中を“いわきや”の才蔵親分は張り込みをしていた。
それでなくてもクソ暑いのが、ますます暑く感じる蝉の声に少々苛ついていたので、目当ての男をとっ捕まえた時、少しばかり手荒な扱いになったのは致し方ない。
番屋に引き渡し、手札を貰っている同心の神野を呼びに行って取り調べに立ち会った。
汗だくの身体で湯屋の終い風呂に飛び込み、出て来た時には、かなり遅い時間になっていた。
もう、とうに店じまいをした我が家に帰り「お艶、今帰ったぜ」と恋女房に声をかける。
「お帰り、お前さん。今日は暑かったねぇ。冷やでいいかい?」
「ああ。一本頼まぁ」
井戸で冷たくして置いた豆腐の冷や奴に青紫蘇と茗荷を薬味に瓜の塩漬け。味噌を付けて焼いたおむすび。茄子のしぎ焼き。
暑い中、遅くまで動いている亭主の為に口当たりが良い、食欲をそそる物が膳に並んでいる。
才蔵は思わず相好を崩した。「美味そうだ♪」
お艶に酌をして貰って冷や酒をあおる。「ん~、堪えられねぇな♪」
腹を満たし、食後のお茶を飲んだ。
ミ~ンミンミンミン……!
茹だるような夏の日、蝉時雨の中を“いわきや”の才蔵親分は張り込みをしていた。
それでなくてもクソ暑いのが、ますます暑く感じる蝉の声に少々苛ついていたので、目当ての男をとっ捕まえた時、少しばかり手荒な扱いになったのは致し方ない。
番屋に引き渡し、手札を貰っている同心の神野を呼びに行って取り調べに立ち会った。
汗だくの身体で湯屋の終い風呂に飛び込み、出て来た時には、かなり遅い時間になっていた。
もう、とうに店じまいをした我が家に帰り「お艶、今帰ったぜ」と恋女房に声をかける。
「お帰り、お前さん。今日は暑かったねぇ。冷やでいいかい?」
「ああ。一本頼まぁ」
井戸で冷たくして置いた豆腐の冷や奴に青紫蘇と茗荷を薬味に瓜の塩漬け。味噌を付けて焼いたおむすび。茄子のしぎ焼き。
暑い中、遅くまで動いている亭主の為に口当たりが良い、食欲をそそる物が膳に並んでいる。
才蔵は思わず相好を崩した。「美味そうだ♪」
お艶に酌をして貰って冷や酒をあおる。「ん~、堪えられねぇな♪」
腹を満たし、食後のお茶を飲んだ。
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