69 / 232
第3章 現実の世界 ~カミナギ ひとつ~
第69話 追憶の社で4
しおりを挟む
「あっ、ねぇ三月、聞いて聞いて! とっておきの私の秘密、教えてあげるっ!」
夕緋はこのとき、ただ三月の気を惹きたくて何気なくそれを明かした。
但し、それは運命の分かれ道といっていいほどの重大な出来事である。
「えっ、なになに?」
「ついこの間のことなんだけど、朝のお勤めが終わった後に──」
夕緋の話した秘密は、後に三月に大きな影響をもたらすことになる。
異世界で三月に迫った危機に、確かな救いの手となったのだから。
「私ね、女神様の声が聞こえるようになったの。困ったときにどうしたらいいか、どうやったら幸せになれるかとか、色々と教えてくれるんだ」
突拍子も無く不思議なことを言い出した夕緋に、三月はきょとんとして目をぱちくりさせていた。
夕緋は構わず、自らに身に宿った権能を誇らしげに語る。
それは文字通りの神の福音を授かる神秘であった。
「他にも良くないもののやっつけ方とかも教えてくれたよ。悪い魔物や悪魔の王様はね、神様の聖なる力にとっても弱いの。私にはその力があるんだって」
夕緋の神通力が飛躍的に高まったのも丁度この時期である。
それまでも妖しげな物の怪の気配を感じることはあったが、はっきりくっきりと、この世に潜む魔物の姿を感知できるようになったのである。
それだけではない。
「こんなこともできるようになったよ。じっとしててね」
三月の応答を待たず、夕緋は赤い手袋をはめた自分の手の平にふぅっと白い息を吹きかける。
そして、その手の平を三月にかざして、まるでお払いでもするかのように両腕、胴体、両足にさっさっと軽い動作で振った。
劇的な変化が即座に表れる。
「うわ、何これ、すごい!」
「ふふっ、身体、楽になったでしょ?」
三月は目をいっぱいに広げて驚いた。
先に話した通り三月は今朝、父と祖父に剣術の指南を受けて鍛錬を終えてきた。
筋肉痛や打撲の痛みが身体のそこかしこに残っていたはずなのに、夕緋のおまじない風なお払いの手により、それらは嘘のように消えてしまった。
「私には三月が痛そうにしてる身体の場所がはっきりと視えるし、こうやって治すのだってお茶の子さいさいなんだからっ」
「はぇーっ?! 夕緋ちゃん、すっげぇ……!」
疑いを持たず、素直に事実を受け入れてさらに三月は驚いた。
その反応に夕緋は気を良くする。
自尊心を刺激され、少しだけ調子に乗っていたのかもしれない。
「次は、と……。うん、見ててね。ちょっとびっくりするかもしれないけど!」
ぐるりと見回す境内には、賑やかに清掃作業をするお年寄りたちの姿がある。
この時、夕緋の眼にはいったい何が視えていたのだろうか。
その人たちそのものではなく、頭や肩、背中といった身体の周りの空間を値踏みするように見ているようだった。
「……いるいる。この世のものじゃない怪しげな奴らがいぃっぱい……」
小声でそう呟き、夕緋は薄く笑った。
またしても、それは霊妙の少女にだけ見えている世界。
お年寄りたちの身体のあちこちにまとわりつく黒いもやのようなもの。
それらは微弱ながら、この世の生ある者たちに害をなす悪霊、邪霊の類い。
夕緋は破邪を行使する巫女、──ならば。
「──んっ!」
手加減無しに両の目を一気に閉じこんだ。
三月にいいところを見せようと全力の気構えを持って。
ぎしぃッ……!
瞬間、かなり広範囲に渡って空気が重く固まる感じが走った。
境内の端々までの空間が蜃気楼で揺らいだようにも見える。
大規模な大気の収縮に驚く間もなく、三月は隣の夕緋が目を閉じたまま、ぱかっと口を開けているのをぽかーんとした顔で見ていた。
夕緋はいっぱいに開けた口を、勢いよくがちんと閉じる。
ぱぁんッ! ぱぱぱぁんッ! ぱんッ! ぱんぱんッ! ぱぱぁんッ!!
すると、強烈な破裂音が静かな境内に断続的に響き渡った。
それはまるで、力いっぱいに拍手を打った音とよく似ていた。
夕緋の破壊的な除霊が、集まった不浄の者どもにまともに炸裂したのだ。
子供が無邪気に虫を殺すのと同じように。
「ひゃあぁっ?!」
「な、なんじゃあっ!?」
敬老会の面々の驚く声や悲鳴があちこちであがった。
なかには尻餅をついたり転んだりしてしまう者もいる。
夕緋の破邪の力に疑いの余地は無かったとはいえ、高齢者にもなれば一度の転倒が命取りになることもある。
いくら何でもやり過ぎの感がある一方的な除霊であったものの──。
「わーっ!? なにこれっ、地面がふわふわだーっ!」
目に見えてわかる不可思議に、三月も大声をあげていた。
硬い石畳や玉砂利の地面がゆらゆらとたわんでいる。
幻でも何でもなく、土と石の境内がふんわりとした柔らかなものになっている。
薄く銀色に光る、長細い繊維状のものが束ねられ、すべてを優しく受け止めた。
それは何か巨大な生き物の毛皮に包まれたような感触であった。
気がつけば、境内は元の光景に戻っている。
突然の破裂音に驚き、転んだお年寄りに怪我は一つも無い。
まるで狐につままれたみたいな雰囲気が辺りに漂っていた。
「夕緋ちゃん……?」
「……」
風も無いのに夕緋の髪がざわめいている。
気のせいなのか、少女の身体の縁から金色に輝くオーラが垣間見えた。
夕緋はゆっくりと瞳を開き、三月のことを一瞥して何も言わず薄く笑う。
そして、すぅっと息を吸い込み、夕緋は声高らかに言った。
「敬老会の皆さん、急に驚かせてしまって大変申し訳ありませんっ! お集まり下さいました皆さんに良くないものが憑いておりましたので、勝手ながらお払いをさせて頂きましたっ! 今の大きな音は、良くないものが潰れて弾け飛んだ音で、もうすっかりお清め致しましたので、ご心配なさらないで下さいねっ!」
夕緋が見渡す視界の中、境内の至る所で黒い煙のような不気味な気体がばらばらに霧散して消えていく。
怪しげな不浄の者たちは夕緋に捕まり、一斉に噛み砕かれてしまった。
後で聞いてわかったことだが、力の弱い悪霊や邪霊、いたずら好きの精霊が敬老会のお年寄りたちにとり付いていたそうだ。
そうした手合いは特に珍しくもなく、日常的に目に見えない悪さを働いて、細かな障りを起こしているのだという。
夕緋はそれらを例の除霊方法で一網打尽に払い去ったのだという。
わざわざ言われなければ夕緋が何かをしたかどうかなどわからなかっただろうに、敬虔な信奉者である敬老会の反応は相変わらず決まっていた。
「おぉ、さすがは巫女様。お清めありがとうございます、ありがたや……」
「何だか、肩が軽くなっとる……。本当に、夕緋さんは凄い御方じゃあ」
「いやはや、今代の神水流の巫女様は、これまでの巫女様とは訳が違うねぇ……」
自然とぱちぱちぱちと拍手が起こっていた。
誰も疑問を持たず、手を合わせて拝んだり、深々と頭を下げたりと、夕緋に感謝と喝采を送っていた。
神水流の巫女は、ただのお飾りや象徴ではなく、確かな力を持っている。
皆が揃いも揃い、神水流夕緋の崇拝者なのである。
「えっへん!」
夕緋は誇らしげに胸を張って、鼻を鳴らした。
この町においては神水流の巫女の権威は正に本物だ。
そうして直に感じ取れるほど、強い力を顕現させられる夕緋は紛うことなき女神の使者であり、こう呼ばれる存在であった。
神薙ぎ(かみなぎ)である。
神が憑依してその声を聞く依り代であり、天との交信をする者。
それこそが御神那の山とこの土地を鎮め、超常の神通力で人々の信仰を恣に集める女神社の神の子。
──正統たる神水流の巫女、夕緋なのである。
朝陽が巫女として力不足であっても許されているのは、ひとえに桁違いの神通力を秘める夕緋の存在があるおかげなのだ。
ただ単に出来が良いから、優秀だから、というだけの理由ではない。
夕緋は優しくも力強い笑顔を浮かべ、三月に言うのであった。
「だから、三月のことは私が守ってあげるね」
三月はこの時のことをよく覚えている。
自信いっぱいの夕緋の微笑みと、初披露してもらった神通力のこと。
少年の心は、尋常ならざる幼馴染の少女に対して何を思っていたのだろうか。
素直に凄いと感じる気持ちももちろんあっただろうし、この町に住まう者の一人として土地を守る定めの巫女への感謝の気持ちもあっただろう。
しかし、正直に言うと、怖い、という気持ちも確かにあったのだ。
畏敬と畏怖を夕緋に抱く。
両親も含めた周りの人が同じくそう感じているように。
「……じゃあ、夕緋ちゃんがぼくや町の皆を守ってくれるって言うんなら──」
だから、三月はそんな風に思う自分が嫌だった。
他ならぬ夕緋を、妙な色眼鏡で見てしまうのがどうしても気に入らなかった。
まるで、自分の負の感情に反抗するように三月は強がって言うのだ。
箒を剣に見立て、すぅっと正眼に構えると、視線を夕緋ににかっと笑った。
「夕緋ちゃんのことはぼくが守ってやるよ。せっかく剣も習ってることだし、悪い奴はぼくがとっちめてやるから、夕緋ちゃんは巫女様のお勤め、頑張ってね!」
「えっ、えぇぇ? 三月が、守ってくれるの……? 私を……?」
思ってもみなかった三月の言葉と態度に、夕緋は本当に驚いていた。
大地を鎮めて守るのが使命で、お気に入りの男の子もその庇護対象の一人だ。
少なくとも夕緋はそう思い、信じていた。
なのに三月が言ったのは、まるでそのあべこべのことであった。
「うん! いざというときはぼくに任せておいてよ!」
「……う、うん、ありがとう、三月……」
夕緋は大きな目を瞬かせて顔を真っ赤にすると、俯いてはにかんだ。
その場の勢いとはいえ、我ながらなかなかに歯の浮く台詞を言ったものだ。
これは確かな思い出のワンシーン。
ずっと前の出来事ながら、昨日のことみたいに覚えている記憶であった。
「そうか、あのときに思い出したのは夕緋ちゃんが言った言葉だったんだな。あと、この頃の夕緋ちゃんは俺のことを呼び捨てにしてたんだっけ」
頭に浮かんだ映像が徐々に消えていき、大人の三月は回想を終える。
思い掛けず思い出した幼少の記憶を懐かしく思いながら。
「悪い魔物は神様の聖なる力に弱い、か……。そのヒントのお陰であの馬の鬼さんにも勝てたんだっけな。タイミングよく思い出させたのはきっと雛月の仕業なんだろうけど……」
天神回戦の折り、馬頭鬼の牢太との試合中に思い出した少女の声。
あれは、夕緋との思い出の一幕に紐づいた記憶だったのだ。
神様の聖なる力、とは神々の異世界の大神、太極天を指すのだろう。
大いなる神威を身に降ろして牢太を破ったシキの三月。
地平の加護の化身たる雛月は、まだ力の使い方がわからない三月に過去の記憶を見せて、まんまと勝利へと導いた。
そして、きっとあのときもそうなのだ。
「エルフの姉さんたちに結局押し切られて、パンドラの地下迷宮に挑む頼みを聞いちまった時にも都合良く思い出したもんなぁ……。親父の教えを持ち出されたら、断れるものも断れないっての……」
状況的に仕方がなかったとはいえ、ダンジョン攻略の使命を引き受けたのは三月自身の意思が決めたことだ。
パメラの宿のベッドでまどろむ際に、三月はきっかけを思い出していた。
それは三月の父、清楽が息子に伝えた教えだった。
すべての人を救うことはできないが、自分の信念に従い、助けたいと思う人たちのために全力を尽くして力になること。
詰まるところ、それが最後には自分のためにもなる。
「俺の思う通りに、俺が助けたい人たちを、後悔が無いように助ける、か……」
三月の脳裏に異世界のキャラクターたちの顔が浮かんでは消える。
エルフの姉妹、アイアノアとエルトゥリン。
宿屋の猫耳親娘、パメラとキッキ。
そして、女神の日和。
伝説のダンジョンに挑むことにどんな意味があるのかはわからない。
但し、天神回戦で日和を助けて信頼を勝ち取れれば、今はもういない朝陽の秘密を何かしら知ることができる、かもしれない。
日和のために戦い、見返りがあることに精々と期待する。
「雛月はダンジョンの世界にも、神様の世界にも続きがあるって言っていた。また異世界に行かないといけないってのは、ちょっと認めたくないところだけど……。もし次があるんだとしたら、それなりに覚悟を決めておこう」
今はどこにいるのか、何をしているのか不明な雛月に対して思う。
回想はほんの一瞬に満たない時間の内に終わり、現実が再び動き出す。
意識が心象の世界から戻る際、三月は雛月に呼び掛けた。
応える者などいるはずのない心の内に向かって決意表明をする。
「要は俺は俺らしく、子供の頃の最初の気持ちを忘れずに、俺の物語ってやつを進めりゃいいんだろ? 俺はまだお前が本当にいるのかどうかもまだあやふやだ。見てるのか見てないのかもわからんけど、一応は前向きにやってやるからちゃんと俺のことサポートしろよな! ほんとにいるんだったらな! おいこら、ちゃんと聞いてるんだよな?! 雛月ぃー!」
やはり、答えは返っては来なかったが三月には何となく見えていた。
不敵な笑みを薄く浮かべ、雛月が満足そうに笑っているのが。
◇◆◇
「あっ、朝陽だ。ようやく出てきたぞ、おーい」
それは回想の続き。
夕緋の超常現象ショウの後、何事も無かったように再開されている神社の落ち葉清掃作業、その最中。
やっとのことで今日のお勤めが終わったのか、神社本殿の縁側通路に巫女装束姿の朝陽が見えた。
背中を丸め、やたらとしょんぼりした風に歩いている。
朝陽を見つけた三月は思わず境内を駆け出した。
「夕緋ちゃん、ごめん。箒、片付けといてー」
「あーん、三月ぃ! 待ってよ、この手袋はどうするのー?!」
箒を放り出し、弾かれたみたいに駆け出す三月の背に手袋の手を伸ばす夕緋。
もう結構遠くまで走っていってしまった三月は立ち止まらず叫んだ。
「そのまま使っていいよー! 貸しといてあげるー!」
「もう三月ったらぁ! 掃除、まだ途中よー!」
驚きとショックで憤慨する夕緋だったが、走り去った三月からゆっくり降ろす赤い手袋の自分の手に視線を移す。
姉の登場のせいで三月の占有権を奪われたのは、顔を紅潮させて怒るほどに残念だったが、自分にはこの手袋がある。
冷えた手をぎゅっと握って取って、体温の余熱が残る温かい手袋を丁寧に優しくはかせてくれた。
「うふふっ、まぁいっか」
だから、夕緋はすぐに上機嫌になる。
手袋をはいた手の平を顔にやり、うっとりした顔ですりすりと頬ずりをした。
三月と交じり合った体温を頬に感じて満足そうに微笑む。
恋に恋する少女巫女は、幸せな未来の夢を見ていた。
「三月に、手ぇ、握られちゃったぁ……。それに私のこと、守ってやるだって……。女神様、聞いていらっしゃいますか? 三月が私を守ってくれるそうです。もう、嬉しいな……。嬉しいなぁ、うふふ……」
空を見上げ、夕緋は満面の笑顔で囁いた。
巫女として祈りを捧げる神にこの嬉しい気持ちを伝える。
叶えたくてやまない、胸の内に秘めた切なる願いと共に。
「……本当に、将来三月と結婚できたらいいのにな……」
夕緋はこのとき、ただ三月の気を惹きたくて何気なくそれを明かした。
但し、それは運命の分かれ道といっていいほどの重大な出来事である。
「えっ、なになに?」
「ついこの間のことなんだけど、朝のお勤めが終わった後に──」
夕緋の話した秘密は、後に三月に大きな影響をもたらすことになる。
異世界で三月に迫った危機に、確かな救いの手となったのだから。
「私ね、女神様の声が聞こえるようになったの。困ったときにどうしたらいいか、どうやったら幸せになれるかとか、色々と教えてくれるんだ」
突拍子も無く不思議なことを言い出した夕緋に、三月はきょとんとして目をぱちくりさせていた。
夕緋は構わず、自らに身に宿った権能を誇らしげに語る。
それは文字通りの神の福音を授かる神秘であった。
「他にも良くないもののやっつけ方とかも教えてくれたよ。悪い魔物や悪魔の王様はね、神様の聖なる力にとっても弱いの。私にはその力があるんだって」
夕緋の神通力が飛躍的に高まったのも丁度この時期である。
それまでも妖しげな物の怪の気配を感じることはあったが、はっきりくっきりと、この世に潜む魔物の姿を感知できるようになったのである。
それだけではない。
「こんなこともできるようになったよ。じっとしててね」
三月の応答を待たず、夕緋は赤い手袋をはめた自分の手の平にふぅっと白い息を吹きかける。
そして、その手の平を三月にかざして、まるでお払いでもするかのように両腕、胴体、両足にさっさっと軽い動作で振った。
劇的な変化が即座に表れる。
「うわ、何これ、すごい!」
「ふふっ、身体、楽になったでしょ?」
三月は目をいっぱいに広げて驚いた。
先に話した通り三月は今朝、父と祖父に剣術の指南を受けて鍛錬を終えてきた。
筋肉痛や打撲の痛みが身体のそこかしこに残っていたはずなのに、夕緋のおまじない風なお払いの手により、それらは嘘のように消えてしまった。
「私には三月が痛そうにしてる身体の場所がはっきりと視えるし、こうやって治すのだってお茶の子さいさいなんだからっ」
「はぇーっ?! 夕緋ちゃん、すっげぇ……!」
疑いを持たず、素直に事実を受け入れてさらに三月は驚いた。
その反応に夕緋は気を良くする。
自尊心を刺激され、少しだけ調子に乗っていたのかもしれない。
「次は、と……。うん、見ててね。ちょっとびっくりするかもしれないけど!」
ぐるりと見回す境内には、賑やかに清掃作業をするお年寄りたちの姿がある。
この時、夕緋の眼にはいったい何が視えていたのだろうか。
その人たちそのものではなく、頭や肩、背中といった身体の周りの空間を値踏みするように見ているようだった。
「……いるいる。この世のものじゃない怪しげな奴らがいぃっぱい……」
小声でそう呟き、夕緋は薄く笑った。
またしても、それは霊妙の少女にだけ見えている世界。
お年寄りたちの身体のあちこちにまとわりつく黒いもやのようなもの。
それらは微弱ながら、この世の生ある者たちに害をなす悪霊、邪霊の類い。
夕緋は破邪を行使する巫女、──ならば。
「──んっ!」
手加減無しに両の目を一気に閉じこんだ。
三月にいいところを見せようと全力の気構えを持って。
ぎしぃッ……!
瞬間、かなり広範囲に渡って空気が重く固まる感じが走った。
境内の端々までの空間が蜃気楼で揺らいだようにも見える。
大規模な大気の収縮に驚く間もなく、三月は隣の夕緋が目を閉じたまま、ぱかっと口を開けているのをぽかーんとした顔で見ていた。
夕緋はいっぱいに開けた口を、勢いよくがちんと閉じる。
ぱぁんッ! ぱぱぱぁんッ! ぱんッ! ぱんぱんッ! ぱぱぁんッ!!
すると、強烈な破裂音が静かな境内に断続的に響き渡った。
それはまるで、力いっぱいに拍手を打った音とよく似ていた。
夕緋の破壊的な除霊が、集まった不浄の者どもにまともに炸裂したのだ。
子供が無邪気に虫を殺すのと同じように。
「ひゃあぁっ?!」
「な、なんじゃあっ!?」
敬老会の面々の驚く声や悲鳴があちこちであがった。
なかには尻餅をついたり転んだりしてしまう者もいる。
夕緋の破邪の力に疑いの余地は無かったとはいえ、高齢者にもなれば一度の転倒が命取りになることもある。
いくら何でもやり過ぎの感がある一方的な除霊であったものの──。
「わーっ!? なにこれっ、地面がふわふわだーっ!」
目に見えてわかる不可思議に、三月も大声をあげていた。
硬い石畳や玉砂利の地面がゆらゆらとたわんでいる。
幻でも何でもなく、土と石の境内がふんわりとした柔らかなものになっている。
薄く銀色に光る、長細い繊維状のものが束ねられ、すべてを優しく受け止めた。
それは何か巨大な生き物の毛皮に包まれたような感触であった。
気がつけば、境内は元の光景に戻っている。
突然の破裂音に驚き、転んだお年寄りに怪我は一つも無い。
まるで狐につままれたみたいな雰囲気が辺りに漂っていた。
「夕緋ちゃん……?」
「……」
風も無いのに夕緋の髪がざわめいている。
気のせいなのか、少女の身体の縁から金色に輝くオーラが垣間見えた。
夕緋はゆっくりと瞳を開き、三月のことを一瞥して何も言わず薄く笑う。
そして、すぅっと息を吸い込み、夕緋は声高らかに言った。
「敬老会の皆さん、急に驚かせてしまって大変申し訳ありませんっ! お集まり下さいました皆さんに良くないものが憑いておりましたので、勝手ながらお払いをさせて頂きましたっ! 今の大きな音は、良くないものが潰れて弾け飛んだ音で、もうすっかりお清め致しましたので、ご心配なさらないで下さいねっ!」
夕緋が見渡す視界の中、境内の至る所で黒い煙のような不気味な気体がばらばらに霧散して消えていく。
怪しげな不浄の者たちは夕緋に捕まり、一斉に噛み砕かれてしまった。
後で聞いてわかったことだが、力の弱い悪霊や邪霊、いたずら好きの精霊が敬老会のお年寄りたちにとり付いていたそうだ。
そうした手合いは特に珍しくもなく、日常的に目に見えない悪さを働いて、細かな障りを起こしているのだという。
夕緋はそれらを例の除霊方法で一網打尽に払い去ったのだという。
わざわざ言われなければ夕緋が何かをしたかどうかなどわからなかっただろうに、敬虔な信奉者である敬老会の反応は相変わらず決まっていた。
「おぉ、さすがは巫女様。お清めありがとうございます、ありがたや……」
「何だか、肩が軽くなっとる……。本当に、夕緋さんは凄い御方じゃあ」
「いやはや、今代の神水流の巫女様は、これまでの巫女様とは訳が違うねぇ……」
自然とぱちぱちぱちと拍手が起こっていた。
誰も疑問を持たず、手を合わせて拝んだり、深々と頭を下げたりと、夕緋に感謝と喝采を送っていた。
神水流の巫女は、ただのお飾りや象徴ではなく、確かな力を持っている。
皆が揃いも揃い、神水流夕緋の崇拝者なのである。
「えっへん!」
夕緋は誇らしげに胸を張って、鼻を鳴らした。
この町においては神水流の巫女の権威は正に本物だ。
そうして直に感じ取れるほど、強い力を顕現させられる夕緋は紛うことなき女神の使者であり、こう呼ばれる存在であった。
神薙ぎ(かみなぎ)である。
神が憑依してその声を聞く依り代であり、天との交信をする者。
それこそが御神那の山とこの土地を鎮め、超常の神通力で人々の信仰を恣に集める女神社の神の子。
──正統たる神水流の巫女、夕緋なのである。
朝陽が巫女として力不足であっても許されているのは、ひとえに桁違いの神通力を秘める夕緋の存在があるおかげなのだ。
ただ単に出来が良いから、優秀だから、というだけの理由ではない。
夕緋は優しくも力強い笑顔を浮かべ、三月に言うのであった。
「だから、三月のことは私が守ってあげるね」
三月はこの時のことをよく覚えている。
自信いっぱいの夕緋の微笑みと、初披露してもらった神通力のこと。
少年の心は、尋常ならざる幼馴染の少女に対して何を思っていたのだろうか。
素直に凄いと感じる気持ちももちろんあっただろうし、この町に住まう者の一人として土地を守る定めの巫女への感謝の気持ちもあっただろう。
しかし、正直に言うと、怖い、という気持ちも確かにあったのだ。
畏敬と畏怖を夕緋に抱く。
両親も含めた周りの人が同じくそう感じているように。
「……じゃあ、夕緋ちゃんがぼくや町の皆を守ってくれるって言うんなら──」
だから、三月はそんな風に思う自分が嫌だった。
他ならぬ夕緋を、妙な色眼鏡で見てしまうのがどうしても気に入らなかった。
まるで、自分の負の感情に反抗するように三月は強がって言うのだ。
箒を剣に見立て、すぅっと正眼に構えると、視線を夕緋ににかっと笑った。
「夕緋ちゃんのことはぼくが守ってやるよ。せっかく剣も習ってることだし、悪い奴はぼくがとっちめてやるから、夕緋ちゃんは巫女様のお勤め、頑張ってね!」
「えっ、えぇぇ? 三月が、守ってくれるの……? 私を……?」
思ってもみなかった三月の言葉と態度に、夕緋は本当に驚いていた。
大地を鎮めて守るのが使命で、お気に入りの男の子もその庇護対象の一人だ。
少なくとも夕緋はそう思い、信じていた。
なのに三月が言ったのは、まるでそのあべこべのことであった。
「うん! いざというときはぼくに任せておいてよ!」
「……う、うん、ありがとう、三月……」
夕緋は大きな目を瞬かせて顔を真っ赤にすると、俯いてはにかんだ。
その場の勢いとはいえ、我ながらなかなかに歯の浮く台詞を言ったものだ。
これは確かな思い出のワンシーン。
ずっと前の出来事ながら、昨日のことみたいに覚えている記憶であった。
「そうか、あのときに思い出したのは夕緋ちゃんが言った言葉だったんだな。あと、この頃の夕緋ちゃんは俺のことを呼び捨てにしてたんだっけ」
頭に浮かんだ映像が徐々に消えていき、大人の三月は回想を終える。
思い掛けず思い出した幼少の記憶を懐かしく思いながら。
「悪い魔物は神様の聖なる力に弱い、か……。そのヒントのお陰であの馬の鬼さんにも勝てたんだっけな。タイミングよく思い出させたのはきっと雛月の仕業なんだろうけど……」
天神回戦の折り、馬頭鬼の牢太との試合中に思い出した少女の声。
あれは、夕緋との思い出の一幕に紐づいた記憶だったのだ。
神様の聖なる力、とは神々の異世界の大神、太極天を指すのだろう。
大いなる神威を身に降ろして牢太を破ったシキの三月。
地平の加護の化身たる雛月は、まだ力の使い方がわからない三月に過去の記憶を見せて、まんまと勝利へと導いた。
そして、きっとあのときもそうなのだ。
「エルフの姉さんたちに結局押し切られて、パンドラの地下迷宮に挑む頼みを聞いちまった時にも都合良く思い出したもんなぁ……。親父の教えを持ち出されたら、断れるものも断れないっての……」
状況的に仕方がなかったとはいえ、ダンジョン攻略の使命を引き受けたのは三月自身の意思が決めたことだ。
パメラの宿のベッドでまどろむ際に、三月はきっかけを思い出していた。
それは三月の父、清楽が息子に伝えた教えだった。
すべての人を救うことはできないが、自分の信念に従い、助けたいと思う人たちのために全力を尽くして力になること。
詰まるところ、それが最後には自分のためにもなる。
「俺の思う通りに、俺が助けたい人たちを、後悔が無いように助ける、か……」
三月の脳裏に異世界のキャラクターたちの顔が浮かんでは消える。
エルフの姉妹、アイアノアとエルトゥリン。
宿屋の猫耳親娘、パメラとキッキ。
そして、女神の日和。
伝説のダンジョンに挑むことにどんな意味があるのかはわからない。
但し、天神回戦で日和を助けて信頼を勝ち取れれば、今はもういない朝陽の秘密を何かしら知ることができる、かもしれない。
日和のために戦い、見返りがあることに精々と期待する。
「雛月はダンジョンの世界にも、神様の世界にも続きがあるって言っていた。また異世界に行かないといけないってのは、ちょっと認めたくないところだけど……。もし次があるんだとしたら、それなりに覚悟を決めておこう」
今はどこにいるのか、何をしているのか不明な雛月に対して思う。
回想はほんの一瞬に満たない時間の内に終わり、現実が再び動き出す。
意識が心象の世界から戻る際、三月は雛月に呼び掛けた。
応える者などいるはずのない心の内に向かって決意表明をする。
「要は俺は俺らしく、子供の頃の最初の気持ちを忘れずに、俺の物語ってやつを進めりゃいいんだろ? 俺はまだお前が本当にいるのかどうかもまだあやふやだ。見てるのか見てないのかもわからんけど、一応は前向きにやってやるからちゃんと俺のことサポートしろよな! ほんとにいるんだったらな! おいこら、ちゃんと聞いてるんだよな?! 雛月ぃー!」
やはり、答えは返っては来なかったが三月には何となく見えていた。
不敵な笑みを薄く浮かべ、雛月が満足そうに笑っているのが。
◇◆◇
「あっ、朝陽だ。ようやく出てきたぞ、おーい」
それは回想の続き。
夕緋の超常現象ショウの後、何事も無かったように再開されている神社の落ち葉清掃作業、その最中。
やっとのことで今日のお勤めが終わったのか、神社本殿の縁側通路に巫女装束姿の朝陽が見えた。
背中を丸め、やたらとしょんぼりした風に歩いている。
朝陽を見つけた三月は思わず境内を駆け出した。
「夕緋ちゃん、ごめん。箒、片付けといてー」
「あーん、三月ぃ! 待ってよ、この手袋はどうするのー?!」
箒を放り出し、弾かれたみたいに駆け出す三月の背に手袋の手を伸ばす夕緋。
もう結構遠くまで走っていってしまった三月は立ち止まらず叫んだ。
「そのまま使っていいよー! 貸しといてあげるー!」
「もう三月ったらぁ! 掃除、まだ途中よー!」
驚きとショックで憤慨する夕緋だったが、走り去った三月からゆっくり降ろす赤い手袋の自分の手に視線を移す。
姉の登場のせいで三月の占有権を奪われたのは、顔を紅潮させて怒るほどに残念だったが、自分にはこの手袋がある。
冷えた手をぎゅっと握って取って、体温の余熱が残る温かい手袋を丁寧に優しくはかせてくれた。
「うふふっ、まぁいっか」
だから、夕緋はすぐに上機嫌になる。
手袋をはいた手の平を顔にやり、うっとりした顔ですりすりと頬ずりをした。
三月と交じり合った体温を頬に感じて満足そうに微笑む。
恋に恋する少女巫女は、幸せな未来の夢を見ていた。
「三月に、手ぇ、握られちゃったぁ……。それに私のこと、守ってやるだって……。女神様、聞いていらっしゃいますか? 三月が私を守ってくれるそうです。もう、嬉しいな……。嬉しいなぁ、うふふ……」
空を見上げ、夕緋は満面の笑顔で囁いた。
巫女として祈りを捧げる神にこの嬉しい気持ちを伝える。
叶えたくてやまない、胸の内に秘めた切なる願いと共に。
「……本当に、将来三月と結婚できたらいいのにな……」
1
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
ガチャと僕のプライベートプラネット
太陽くん
ファンタジー
目が覚めると、白い部屋にいた。
部屋の中央にはガチャガチャが一つ。
やることもないのでガチャを引いていく日々。
プラネット要素はしばらくありません
この作品はハーメルン、小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~
ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。
城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。
速人は気づく。
この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ!
この世界の攻略法を俺は知っている!
そして自分のステータスを見て気づく。
そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ!
こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。
一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。
そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。
順調に強くなっていく中速人は気づく。
俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。
更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。
強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
カクヨムとアルファポリス同時掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる