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晩餐会でお目見え
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異開門に飲まれた私はその直後に平衡感覚を失って、次の瞬間には冷たい滑らかな大理石の床にお尻から落ちて、ぱーん!と破裂音を響かせていた。
「あうぅん!」
お尻への衝撃がそのまま下腹に淫靡に響いてしまって、たまらずに脚を広げて仰け反る。
記憶と意識の混濁。
私は超絶美少年悪魔の悪戯によって発情させられていて、程よい痛みにちょっとだけ涙目になりながらもオナニーしちゃおうと身体が動き、手を股間に差し入れて陰核を詰まんでくゆっと捻りながら一喘ぎした所で意識と視界がクリアになった。
私の目の前には……。
王冠を被り王座に腰を下ろした、ちょっと体格の大き目な老齢の男性。
その両脇に、見知った顔と知らない顔の二人の青年。
王冠の男性と同世代の、頭のつるっとした白いヒゲの老人。
「あ❤」
男性陣に見られながらの自慰行為。
私の頭が正常に状況を把握して、「オナニー止めぇ!」の指令を出すまでの間、時間にして数秒の間、彼らの前で二回ほどクリトリスを捏ねてから、両膝を粉砕骨折させる勢いで、ズバン!とぶつける様に閉じた。
静寂がフロアを支配する。
え?
お、王……様……?
ここ、謁見の間みたいな……?
「ふええ!」
おっぱいを隠そうか顔を隠そうか迷って手を行ったり来たりさせてから、視線の多くが乳房に注がれているのを感じて自分の両肩を抱き、そのままぺしょんと床に伏せる。
誰かが私のすぐそばまで駆け寄ってくる。
「こ、こいつ!こいつだよ!この女が聖者だよ!」
お前か第一王子!!!今は黙ってて!!!
彼は皆の間で屈んで、何故か私の肩を掴んで引き起こそうとする。
頑強に抵抗する私。
「「「この女が聖者……?」」」
残りの男性三名の声がハモる。
そして、王様以外の二人も加わって、私を引き起こそうとする。
魔王ルチフェロまじ許さない……私は絶対にお前の物なんかになってやらない。
王宮側と星見塔とでやり取りがあり、駆け付けた賢者アーヴィンは、謁見の間でぺしょりと伏せ続けていた私を指し示し、彼女こそが聖者であると証言した。
私の身柄は一時的に王宮側に預けられ、宮仕えの侍女達の世話の元で身支度を整えられて、晩餐会で改めて王と貴族たちにお目見えする運びになる。
着せられたドレスは、何故かAラインシルエットなウエディングドレス風で、その着付けを指示する侍女長は、これは王命であると言って、ちょっとこれ乳輪でてない?ってレベルの馬鹿みたいに深いハートカットのそれを私に着せる。
私も鏡の中の自分の純白ドレス姿に若干興奮して文句言わなかったけど、一度気にすると気になって仕方がない。
これから新たな聖者として、晩餐会に出るんだよね??
その衣装がこれでいいの!?もっと威厳とかあった方がそれらしくない!?
そして晩餐会が始まる。
王が家臣達を前に、大事があると前置きした後で、総勢50名ほどの貴族達の前に姿を現した私は、宮廷執事により、「聖なる乙女」であると紹介された。
胸元に集まる視線がエグイ。
ざわつき出す席を、王が手でもって制する。
私は聖者としての威厳のようなものを意識しつつ、晩餐会場内へ視線を巡らす。
あ、ライディール様とアーヴィンが居ない。
ライディール様は、彼の上司である将軍も出席していない事から、立場上出席できないのかもしれないけど、アーヴィンが干されているのは、腑に落ちない。
「皆も知っておろう、昨今の魔物の急増。不作や疫病による世の乱れを。覚えておろう、賢者アーヴィンが、新たな聖者の誕生を予言した事を。天は再び我らに救いの御手を差し伸べた……」
何人かの家臣が「おお!」と叫ぶ。
見れば宴には、婦人同伴者はいない。
王族側にも、王妃の姿が見えない。
この場に居るのは、私以外は全員男性だ。
「500年前、聖者サーライが闇を払い、そしてバシレイア王国が誕生した。今、天は聖なる乙女をこの地へ遣わした」
これは……500年前から状況が異なっていると言いたいのではないか。
私を「500年前の聖者」とは異なる存在として扱いたいのではないか。
おそらくは、政治的な理由、言ってしまえば「現王家の威信」を揺るがせにしないために、私を新たな権威としないための茶番が始まる予感がする。
よく考えたら、アーヴィンが賢者の子孫なのだから、こいつらは聖者サーライが魔を祓った後で権力を握った者達の子孫なのではないだろうか。
「現在、我がバシレイア王国において、もっとも危惧される事、それは何か」
王の問いに、一人の貴族が立ち上がる。
「我らが賢王エンフィー七世による治政が崩れる事でありましょう」
これは中々勇気のある言動。家臣自らが暗に「世継ぎ」に言及している。
だからこそこの発言は、恐らく仕込みで間違いない。
「そうだ。この儂ももう長くはない。残念なことにな。だが、バシレイア王国は二人の王子に恵まれた」
「ドミニク王子、万歳!」
「シャルル王子、万歳!」
王も家臣も、王子二人を同列に扱っている。
「聖なる乙女よ、名は?」
王が、ギロリと私を瞥する。
あーこれ、現代日本だと、偉いとされる人や目上の人に忖度して、大人に気に入られる行動を取れたら正解っていう、空気読めゲームだわ。
私が変な態度をとったら、ライディール様やアーヴィンにも累が及ぶに違いない。
私だって、ここで王族貴族と喧嘩していい事なんてなにもない。
ふーっと深呼吸する。
「イズミ、と申します。王様」
これで、格付けは済んだ。
この世界の「王」が「聖者」を恐れるのは、思えば当然かもしれない。
「聖女イズミよ。そなたには国の母になって欲しい」
貴族達からどよめき、そして喝采が沸き起こる。
「聖女イズミ万歳!」
ちょっと待って、それって……。
「ドミニクにシャルルよ」
「「はい。父上」」
「聖女と契り、男児を授けるのだ。新たなバシレイア国の王となれ」
「「はっ!」」
「バシレイア王国、万歳!」
「エンフィー七世、万歳!」
「ドミニク王子、万歳!」
「シャルル王子、万歳!」
「聖女イズミ万歳!」
大盛り上がりの晩餐会会場。
王は立ち上がり、グラスを皆に掲げてから、美酒を飲み干す。
皆がその姿に拍手を送る。
「おお!ドミニク様が早速!」
誰かの声で気付く、両手にグラスをもったあの馬鹿王子が私の所にやってくる。
「聖なる乙女よ。私の盃を受けてはくださいませんか」
もーこの人やぁだ。
皆何も言わないけど、彼なんかもう既にハーハー言ってるし、勃起してる。
そして、私に差し出された盃から、ちょーっと良くない気配を感じる。
睡眠薬とか、催淫剤とか、それ系が間違いなくある。
視線を動かして、馬鹿王子のライバルであるはずのシャルル王子を見る。
彼はこの働きかけを阻止しようとする動きを見せない。
盃を受け取るか。
盃を拒否するか。
迷った末に、会場全体が焦れているのを感じ、なんとなく焦ってしまって、その盃を取る。
拍手に大歓声。これで王国は安泰だとの祝福の声。
今晩から、いえ、これを飲んだ直後から、「この国の母になる」ための子作りが始まるのだとの、無言の圧力。
私が盃に口を付けるのを待ち、その瞬間を見逃すまいとする皆の視線。
これ、ここにいる全員が、この中に薬物が仕込まれていることを知っているのだ。
聖者になんてことを!と声を上げる者はいないの?
もしかしたら、彼らには悪意は全然なくて、本気で「これで王国は安泰だ」と喜んでいて、気持ちの悪い事に、これが私の尊厳を侵かす行為であるとの認識がないのかもしれない。
女は男の所有物、そんな価値観で固められている。
聖者ではなく、聖女とか乙女と呼ぶのも含みを感じるし、このドレスも、私の景品としての側面、「天が王子達に与えられた女」である事を際立たせるためのものだったのだ。
晩餐会に女性が居ないのも合点がいく気がしてきた。
この世界に女性下着がないのも、もしかしたら意図されたものなのかもしれない。
良識ある振る舞いを強いられてきた私は、盃の酒を男の顔に掛ける……のをぐっと堪えて立ち上がり、馬鹿王子から受け取った盃を皆に見せてから、それを飲み込んだ。
拍手の雨が降り注ぐ。
ちょっと身体が火照ってきたけど、少しだけ汗ばんでくるけど、それだけだ。
これなら耐えられる。
「おお!シャルル様も!」
そして、兄よりも容姿の整った弟も盃を持ってくる。
彼の目を見て、ああなる程と理解しました。
彼ら二人にとっては、生まれてくる子の本当の親がどっちなのかは問題じゃないのだ。
今日から二人で私を散々に犯して子を産ませた後に、私の意思関係なく、子の父親として選ばれれば良い、これはそんなお話なのだ。
DNA鑑定がある訳でもないし、髪や目の色だって、きっとなんとでもなると思ってる。最悪、子供を殺してまた生ませればいいと……彼の顔に書いてあった。
そして国王も、兄でも弟でも、自身の息子が王位を継ぐのならそれで良しとしてる。
それはつまり、彼の血をひかない誰かが新たな国王となるのを恐れている証。
きっと、四人の将軍の叛乱を危惧しているのだ。
新たな聖者が男だったら、最も強力な敵となったかもしれないが、私が女であった事を利用して、息子たちに箔をつけさせ、将軍達を牽制する狙いなのだろう。
ムカつく。
そんな事を心配するなら、もっと真剣にこの世界に迫った危機と向き合いなさいっての。バカバカしい。
私は彼からの盃も受け取って、立ち上がり、皆の前でそれを飲み干した。
勿論、私の心は決まっていた。さっさとここを出よう。
何を盛られたか知らないけど、絶対にアンタ達なんかに抱かれてやらないもんね。そんな事するなら岡崎先輩とキスする方がマシですぅー。
万雷の拍手。
「あ…」
視界がぐにゃりと歪む。足元が……。
「おっと」
私が倒れることを知っていた第二王子に抱き留められる。
憧れのお姫様抱っこをされた私に、また大歓声が巻き起こる。
そのまま、運ばれていく。
会場の声が遠くなる。
「何トロトロやってんだ!俺に代われ!」
「いいじゃないですか。相手は侍女ではなく聖女なんですよ?じっくり楽しみましょうよ」
兄弟の会話が聞こえて、ベッドに寝かされ、二人が衣服を脱ぐ気配を感じながら、意識が遠のいて、私は眠りに落ちた。
「あうぅん!」
お尻への衝撃がそのまま下腹に淫靡に響いてしまって、たまらずに脚を広げて仰け反る。
記憶と意識の混濁。
私は超絶美少年悪魔の悪戯によって発情させられていて、程よい痛みにちょっとだけ涙目になりながらもオナニーしちゃおうと身体が動き、手を股間に差し入れて陰核を詰まんでくゆっと捻りながら一喘ぎした所で意識と視界がクリアになった。
私の目の前には……。
王冠を被り王座に腰を下ろした、ちょっと体格の大き目な老齢の男性。
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「あ❤」
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え?
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お前か第一王子!!!今は黙ってて!!!
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頑強に抵抗する私。
「「「この女が聖者……?」」」
残りの男性三名の声がハモる。
そして、王様以外の二人も加わって、私を引き起こそうとする。
魔王ルチフェロまじ許さない……私は絶対にお前の物なんかになってやらない。
王宮側と星見塔とでやり取りがあり、駆け付けた賢者アーヴィンは、謁見の間でぺしょりと伏せ続けていた私を指し示し、彼女こそが聖者であると証言した。
私の身柄は一時的に王宮側に預けられ、宮仕えの侍女達の世話の元で身支度を整えられて、晩餐会で改めて王と貴族たちにお目見えする運びになる。
着せられたドレスは、何故かAラインシルエットなウエディングドレス風で、その着付けを指示する侍女長は、これは王命であると言って、ちょっとこれ乳輪でてない?ってレベルの馬鹿みたいに深いハートカットのそれを私に着せる。
私も鏡の中の自分の純白ドレス姿に若干興奮して文句言わなかったけど、一度気にすると気になって仕方がない。
これから新たな聖者として、晩餐会に出るんだよね??
その衣装がこれでいいの!?もっと威厳とかあった方がそれらしくない!?
そして晩餐会が始まる。
王が家臣達を前に、大事があると前置きした後で、総勢50名ほどの貴族達の前に姿を現した私は、宮廷執事により、「聖なる乙女」であると紹介された。
胸元に集まる視線がエグイ。
ざわつき出す席を、王が手でもって制する。
私は聖者としての威厳のようなものを意識しつつ、晩餐会場内へ視線を巡らす。
あ、ライディール様とアーヴィンが居ない。
ライディール様は、彼の上司である将軍も出席していない事から、立場上出席できないのかもしれないけど、アーヴィンが干されているのは、腑に落ちない。
「皆も知っておろう、昨今の魔物の急増。不作や疫病による世の乱れを。覚えておろう、賢者アーヴィンが、新たな聖者の誕生を予言した事を。天は再び我らに救いの御手を差し伸べた……」
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見れば宴には、婦人同伴者はいない。
王族側にも、王妃の姿が見えない。
この場に居るのは、私以外は全員男性だ。
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これは……500年前から状況が異なっていると言いたいのではないか。
私を「500年前の聖者」とは異なる存在として扱いたいのではないか。
おそらくは、政治的な理由、言ってしまえば「現王家の威信」を揺るがせにしないために、私を新たな権威としないための茶番が始まる予感がする。
よく考えたら、アーヴィンが賢者の子孫なのだから、こいつらは聖者サーライが魔を祓った後で権力を握った者達の子孫なのではないだろうか。
「現在、我がバシレイア王国において、もっとも危惧される事、それは何か」
王の問いに、一人の貴族が立ち上がる。
「我らが賢王エンフィー七世による治政が崩れる事でありましょう」
これは中々勇気のある言動。家臣自らが暗に「世継ぎ」に言及している。
だからこそこの発言は、恐らく仕込みで間違いない。
「そうだ。この儂ももう長くはない。残念なことにな。だが、バシレイア王国は二人の王子に恵まれた」
「ドミニク王子、万歳!」
「シャルル王子、万歳!」
王も家臣も、王子二人を同列に扱っている。
「聖なる乙女よ、名は?」
王が、ギロリと私を瞥する。
あーこれ、現代日本だと、偉いとされる人や目上の人に忖度して、大人に気に入られる行動を取れたら正解っていう、空気読めゲームだわ。
私が変な態度をとったら、ライディール様やアーヴィンにも累が及ぶに違いない。
私だって、ここで王族貴族と喧嘩していい事なんてなにもない。
ふーっと深呼吸する。
「イズミ、と申します。王様」
これで、格付けは済んだ。
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「聖女イズミよ。そなたには国の母になって欲しい」
貴族達からどよめき、そして喝采が沸き起こる。
「聖女イズミ万歳!」
ちょっと待って、それって……。
「ドミニクにシャルルよ」
「「はい。父上」」
「聖女と契り、男児を授けるのだ。新たなバシレイア国の王となれ」
「「はっ!」」
「バシレイア王国、万歳!」
「エンフィー七世、万歳!」
「ドミニク王子、万歳!」
「シャルル王子、万歳!」
「聖女イズミ万歳!」
大盛り上がりの晩餐会会場。
王は立ち上がり、グラスを皆に掲げてから、美酒を飲み干す。
皆がその姿に拍手を送る。
「おお!ドミニク様が早速!」
誰かの声で気付く、両手にグラスをもったあの馬鹿王子が私の所にやってくる。
「聖なる乙女よ。私の盃を受けてはくださいませんか」
もーこの人やぁだ。
皆何も言わないけど、彼なんかもう既にハーハー言ってるし、勃起してる。
そして、私に差し出された盃から、ちょーっと良くない気配を感じる。
睡眠薬とか、催淫剤とか、それ系が間違いなくある。
視線を動かして、馬鹿王子のライバルであるはずのシャルル王子を見る。
彼はこの働きかけを阻止しようとする動きを見せない。
盃を受け取るか。
盃を拒否するか。
迷った末に、会場全体が焦れているのを感じ、なんとなく焦ってしまって、その盃を取る。
拍手に大歓声。これで王国は安泰だとの祝福の声。
今晩から、いえ、これを飲んだ直後から、「この国の母になる」ための子作りが始まるのだとの、無言の圧力。
私が盃に口を付けるのを待ち、その瞬間を見逃すまいとする皆の視線。
これ、ここにいる全員が、この中に薬物が仕込まれていることを知っているのだ。
聖者になんてことを!と声を上げる者はいないの?
もしかしたら、彼らには悪意は全然なくて、本気で「これで王国は安泰だ」と喜んでいて、気持ちの悪い事に、これが私の尊厳を侵かす行為であるとの認識がないのかもしれない。
女は男の所有物、そんな価値観で固められている。
聖者ではなく、聖女とか乙女と呼ぶのも含みを感じるし、このドレスも、私の景品としての側面、「天が王子達に与えられた女」である事を際立たせるためのものだったのだ。
晩餐会に女性が居ないのも合点がいく気がしてきた。
この世界に女性下着がないのも、もしかしたら意図されたものなのかもしれない。
良識ある振る舞いを強いられてきた私は、盃の酒を男の顔に掛ける……のをぐっと堪えて立ち上がり、馬鹿王子から受け取った盃を皆に見せてから、それを飲み込んだ。
拍手の雨が降り注ぐ。
ちょっと身体が火照ってきたけど、少しだけ汗ばんでくるけど、それだけだ。
これなら耐えられる。
「おお!シャルル様も!」
そして、兄よりも容姿の整った弟も盃を持ってくる。
彼の目を見て、ああなる程と理解しました。
彼ら二人にとっては、生まれてくる子の本当の親がどっちなのかは問題じゃないのだ。
今日から二人で私を散々に犯して子を産ませた後に、私の意思関係なく、子の父親として選ばれれば良い、これはそんなお話なのだ。
DNA鑑定がある訳でもないし、髪や目の色だって、きっとなんとでもなると思ってる。最悪、子供を殺してまた生ませればいいと……彼の顔に書いてあった。
そして国王も、兄でも弟でも、自身の息子が王位を継ぐのならそれで良しとしてる。
それはつまり、彼の血をひかない誰かが新たな国王となるのを恐れている証。
きっと、四人の将軍の叛乱を危惧しているのだ。
新たな聖者が男だったら、最も強力な敵となったかもしれないが、私が女であった事を利用して、息子たちに箔をつけさせ、将軍達を牽制する狙いなのだろう。
ムカつく。
そんな事を心配するなら、もっと真剣にこの世界に迫った危機と向き合いなさいっての。バカバカしい。
私は彼からの盃も受け取って、立ち上がり、皆の前でそれを飲み干した。
勿論、私の心は決まっていた。さっさとここを出よう。
何を盛られたか知らないけど、絶対にアンタ達なんかに抱かれてやらないもんね。そんな事するなら岡崎先輩とキスする方がマシですぅー。
万雷の拍手。
「あ…」
視界がぐにゃりと歪む。足元が……。
「おっと」
私が倒れることを知っていた第二王子に抱き留められる。
憧れのお姫様抱っこをされた私に、また大歓声が巻き起こる。
そのまま、運ばれていく。
会場の声が遠くなる。
「何トロトロやってんだ!俺に代われ!」
「いいじゃないですか。相手は侍女ではなく聖女なんですよ?じっくり楽しみましょうよ」
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