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王族現る
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この世界で陰と陽のバランスを保つ仕組みを「因果律」と呼ぶとするなら。
その因果律が、私を聖者として選んだ理由はなんだろう?
だって地球で一番強くて清く正しいものが私なわけがないもん。
強盗にビビりちらかしてた女ですよ私は?
その直前まで必死にエッチイラスト描いてたし。
完全ランダム抽選?
岡崎先輩とかになる可能性も有ったのかな?
でも、一つだけ、私が選ばれる切っ掛けになったものがある気がしてる。
それは、おじいちゃんの形見の日本刀。
聖星が地球だとして……時間の流れが同じだとして……。
500年前、日本はそれこそ剣豪達が鎬を削り合っていた戦国時代。
あの剣豪の誰かが、聖者としてこの世界に来ていたと考えられるのだ。
そう、そうなのよ。
そしたら、あのザクセン中央政庁の柱がスパーっと切れてたあの感じとか、剣の運びがイメージの通りなのだ。
ウチは新陰流だから……もし聖者が開祖の上泉信綱様だったなら、後々に私が選ばれた理由も……って、その選考基準なら私なんかよりもよっぽど腕の立つ本家本元本流の人達が大勢いるからちがうか。
じゃあやっぱりおじいちゃんの形見の刀の持ち主を辿ると……過去のサーライ様に行きつくのかな?
でも、サーライって日本人名じゃないのよね。更井さんとか左良井さんとかの名前が形を変えて……は苦しいか。
素直に名前の雰囲気だけなら、ペルシアとかオスマン帝国とか······な感じする。
そうなると日本刀と関連があるようにも思えないから、日本刀がキーアイテムだった説もご破算になる。
何か、ヒントはポツポツ出てる気はしてるのに……手が届きそうなのに届かないこの感じが凄くもどかしい。
「あーもー!頭の中ぐっちゃぐちゃ!」
ざふんとまたお湯の中に潜る。
ぷは!と顔をあげて、両手でお湯をすくって、顔にばしゃ!と掛ける。
気分転換に一度お湯から上がり、浴室外縁の柵まで歩く。
そのまま手摺に手を添えて、外周をぐるりと回る世界一周の旅に出る。
「東ってどっちだろう」
ザクセンが見えないかと柵から身を乗り出して首を伸ばして、すぐ足元からお湯が滝となって外壁伝いに流れ落ちているのに気付く。
それは塔の高さもあって、地表に届く前にミストになって風に乗って散っていた。
これで、お風呂のお湯は奇麗なもの確定!
ぐるっと外周を見て回ると、とある方角には、驚くくらいのすぐそこ、すぐ下にお城があった。
お城の屋根の天辺が、丁度このお風呂の階の床と一緒の高さで、ぱっと見渡しただけじゃ見えなかったのだ。
「気付かなかった……お城に併設されてるのね」
間近で見るお城の雰囲気に圧倒される。
お城は、塔の3階下くらいと空中回廊で接続していた。
「この聖都は王都でもあるんだっけ……」
それならこれは王城に違いない。
この世界の王様って誰なんだろう。サーライの子孫とか?
「あ」
3メートル程度下にあるお城のバルコニーに男子がいて、あっちは先に私を見つけてて、彼とバッチリ目が合った。
私もビクッとしたけど、あっちもビクッとした。
互いに人相がわかるほど近い距離。
直線距離にして10メートルあるかないか、2車線道路の横断歩道のこっち側とあっち側くらい。
年は私と同じくらい。
金髪で、翠の目、肌は白く、鼻は目立って高め。
彼の顔には「裸の女だ!!」って書いてあって、慌ててその場にしゃがんで目線を切る。
「……」
暫く時間を置いて、そーっと首を伸ばす。
う゛!奴はまだバルコニーにいる!
今思ったんだけど、彼、お城で一番高いバルコニーに居たんだから、もしかしたら王族じゃない?王子様じゃない?
王族達からも、セクハラ大将軍にされたみたいな屈辱的な扱いを受ける前に、先手を打つべきかもしれない。
突然一方的に剣を突き付けられる、何度思い出しても腹が立つあの態度。あれをまたされる可能性を考えると……よし!先手を取りましょう!
「聖者の姿、ありがたく拝みなさい……」みたいに、凛と、毅然と、裸を見せつけてやったら、どうなるか。
私は意を決して、スクっと立ち上がる。
そして、超然とした態度を意識して、バルコニーからこっちを見てる同世代の男の子の存在を意識してない装いで柵へと歩み寄り、世界を一望する。
私は聖者なのだからと、世界を憂う視線みたいなのを意識する。
更なる演出の一環として、「今日は風が泣いているな……」とか言っちゃいそうになったけど、それは痛いから堪えた。
視線は、胸と下腹に突き刺さってる。
「……」
「……」
互いに無言でただひたすらに見られてる、それだけの時間が過ぎる。
こんなのクラスの男子の前でヌードモデルやってるみたいなもんじゃん!!
リアルにそんな想像しちゃって少し濡れてきて、バレない様にもじもじする。ダメ、間が持たない。もう最後の仕上げをして湯船に帰ろう。
私は、若干震えつつも、スッとバルコニーの王子様(仮)に向かって視線を落とす。そして微笑む。
出来るだけ神秘的に!艶やかに!過去最大に盛れた私よ今ここに──。
しかし、王子様は私の顔とか見ないままに呟き(なんで顔見ないのよ!)、その結構大きな呟きが風に乗って耳に届く。
「エロっ」
作戦は盛大に大失敗して、私はダッシュで湯船にザブンと飛び込んだ。
王子(仮)「今、星見の塔で湯を浴びていた美女は誰だ?!なに?!アレが聖者様だったのか!神々しい!(畏怖)」
じゃなくて。
王子(仮)「今、星見の塔の浴室にエロい女いたんだけど誰?え?聖者?(笑)」
ってルートに入った気がする。死ぬ。
誰かが回廊を走ってくる気配。
誰かが階段を駆け上がってくる気配。
気のせいであれと願ったけど、それは気のせいではなく、先ほどの男子が、階下からスバっ!と飛び出すように姿を現した。
改めて見ると、クラスの男子レベルの良く言えば親しみやすい、悪く言えば私の好みとは程遠い風貌。一応髪色と目の色で少し外人的上方補正は付いてるのにこの評価です。
そんな彼は全力疾走しながら服を脱いできたのを意図的に表現しているコントのような出で立ちだ。
つまり、ぜぇぜぇと息を切らし、肩は上下しまくり、頭の上にはひっつかんで乗せたような、さっきは乗せてなかった王冠みたいなのをかぶり、髪は乱れ、上半身は裸で、下半身は脱ぎかけのタイツが片足に引っ掛かっていて、右手には錫杖を持とうとして勘違いしたんだと思いたい大人のおもちゃみたいななんか、そーゆーのの長い奴を持ってて、左手にはリネンタオルを掴んで自分の股間に宛がってる状態。
やぁだ。彼、勃起してる……。
「はぁ……はぁ……」
彼の息が落ち着くまで、私も湯船で膝を抱えて待つ。
ザッ、と一歩前に踏み出す王子様(仮)。
「ふっ……我こそは……バシレイア王国……王位継承第一位……エンフィー八世で……ある……ぞ」
彼は呼吸筋を痛めたらしく、大人のおもちゃを持った手で脇腹を押さえながら、歪な角度で胸を張る。
やっぱり偉そうな奴だったか。
そしてやはり王子様だったか。
彼は、片足をバタバタさせてタイツを脱ぎ、そのまま浴槽に入ってくる。
「ふーぃ」
「……」
今度は彼が私をあえて見ないようにしてる。
これは、王子様としての当然の湯浴みに来ただけで、別に私を見に来た訳ではないぞ!っていうアピールなのかな?
「ふーぃ」
お湯を堪能する演技をしながら、彼は自分の右手に持ってるものを見て「うお!?」って声を上げた。
やっぱり別のものと間違えていたか。
「ふーぃ」
何か行動を起こす前にとりあえず欠伸をする猫みたいに、王子様は行動の合間に「ふーぃ」を挟む。
そうやって少しずつ少しずつ移動して、ついに21ふーぃ位で私の左隣に来た。
お湯の中、彼の手の甲が私の太ももに触れる。
その動きが実に痴漢臭い。
「その王冠はパパから借りてきたの?物凄く怒られそうだけど大丈夫?」
彼の高い鼻をじとーっと見ながら、辛辣に声掛けする。
彼の目が泳ぐが、口は何も答えない。
一度は整えた息をまた荒くしつつ、大人のアイテムを握った手の甲を一心不乱に押し付けてくる。
王族としては勿論、男として本当にそれでいいのかと問い詰めたくなる。
そしてついに彼の中で何者かが次の段階に進むべきだと進言したらしく、右腕を私の腰、というかお尻に回し、私に向かい右半身になって、左手を私の右膝の上に置いた。
ぐっ!と膝を押して足を開かせようとしてくるのを、純粋に力で拒否する。
「ええと、エンフィー王子さん?はじめまして、「聖者」です」
「え?」
彼はえい!えい!と私の膝を押しながら、怪訝な顔を向けてきた。
「この世界の暗黒期に現れて、国を救ったサーライさんから500年。再びの暗黒期に、この世界を救いにやってまいりました、「聖者」です」
「あ……いや、どうも……ご丁寧に……」
私自身も思う、今めっちゃ丁寧に説明したな、と。
「今しがたこの塔の賢者アーヴィンと話しまして、今後どのようにこの世界を救うのかを話し合う予定なのですが……」
ぐぐっと身を寄せて、彼の翠の瞳の中に、私の顔が魚眼に歪んで映ってるのをじーっと見る。
彼はごくりと唾をのむ。
「そんな私に……なにか?」
「いえ!ごゆっくり!いや、私もこの国の為の大事な政務があったのをわすれてたよ!はっはっは!それでは!」
王子様はバタバタと下のフロアに去っていった。
その因果律が、私を聖者として選んだ理由はなんだろう?
だって地球で一番強くて清く正しいものが私なわけがないもん。
強盗にビビりちらかしてた女ですよ私は?
その直前まで必死にエッチイラスト描いてたし。
完全ランダム抽選?
岡崎先輩とかになる可能性も有ったのかな?
でも、一つだけ、私が選ばれる切っ掛けになったものがある気がしてる。
それは、おじいちゃんの形見の日本刀。
聖星が地球だとして……時間の流れが同じだとして……。
500年前、日本はそれこそ剣豪達が鎬を削り合っていた戦国時代。
あの剣豪の誰かが、聖者としてこの世界に来ていたと考えられるのだ。
そう、そうなのよ。
そしたら、あのザクセン中央政庁の柱がスパーっと切れてたあの感じとか、剣の運びがイメージの通りなのだ。
ウチは新陰流だから……もし聖者が開祖の上泉信綱様だったなら、後々に私が選ばれた理由も……って、その選考基準なら私なんかよりもよっぽど腕の立つ本家本元本流の人達が大勢いるからちがうか。
じゃあやっぱりおじいちゃんの形見の刀の持ち主を辿ると……過去のサーライ様に行きつくのかな?
でも、サーライって日本人名じゃないのよね。更井さんとか左良井さんとかの名前が形を変えて……は苦しいか。
素直に名前の雰囲気だけなら、ペルシアとかオスマン帝国とか······な感じする。
そうなると日本刀と関連があるようにも思えないから、日本刀がキーアイテムだった説もご破算になる。
何か、ヒントはポツポツ出てる気はしてるのに……手が届きそうなのに届かないこの感じが凄くもどかしい。
「あーもー!頭の中ぐっちゃぐちゃ!」
ざふんとまたお湯の中に潜る。
ぷは!と顔をあげて、両手でお湯をすくって、顔にばしゃ!と掛ける。
気分転換に一度お湯から上がり、浴室外縁の柵まで歩く。
そのまま手摺に手を添えて、外周をぐるりと回る世界一周の旅に出る。
「東ってどっちだろう」
ザクセンが見えないかと柵から身を乗り出して首を伸ばして、すぐ足元からお湯が滝となって外壁伝いに流れ落ちているのに気付く。
それは塔の高さもあって、地表に届く前にミストになって風に乗って散っていた。
これで、お風呂のお湯は奇麗なもの確定!
ぐるっと外周を見て回ると、とある方角には、驚くくらいのすぐそこ、すぐ下にお城があった。
お城の屋根の天辺が、丁度このお風呂の階の床と一緒の高さで、ぱっと見渡しただけじゃ見えなかったのだ。
「気付かなかった……お城に併設されてるのね」
間近で見るお城の雰囲気に圧倒される。
お城は、塔の3階下くらいと空中回廊で接続していた。
「この聖都は王都でもあるんだっけ……」
それならこれは王城に違いない。
この世界の王様って誰なんだろう。サーライの子孫とか?
「あ」
3メートル程度下にあるお城のバルコニーに男子がいて、あっちは先に私を見つけてて、彼とバッチリ目が合った。
私もビクッとしたけど、あっちもビクッとした。
互いに人相がわかるほど近い距離。
直線距離にして10メートルあるかないか、2車線道路の横断歩道のこっち側とあっち側くらい。
年は私と同じくらい。
金髪で、翠の目、肌は白く、鼻は目立って高め。
彼の顔には「裸の女だ!!」って書いてあって、慌ててその場にしゃがんで目線を切る。
「……」
暫く時間を置いて、そーっと首を伸ばす。
う゛!奴はまだバルコニーにいる!
今思ったんだけど、彼、お城で一番高いバルコニーに居たんだから、もしかしたら王族じゃない?王子様じゃない?
王族達からも、セクハラ大将軍にされたみたいな屈辱的な扱いを受ける前に、先手を打つべきかもしれない。
突然一方的に剣を突き付けられる、何度思い出しても腹が立つあの態度。あれをまたされる可能性を考えると……よし!先手を取りましょう!
「聖者の姿、ありがたく拝みなさい……」みたいに、凛と、毅然と、裸を見せつけてやったら、どうなるか。
私は意を決して、スクっと立ち上がる。
そして、超然とした態度を意識して、バルコニーからこっちを見てる同世代の男の子の存在を意識してない装いで柵へと歩み寄り、世界を一望する。
私は聖者なのだからと、世界を憂う視線みたいなのを意識する。
更なる演出の一環として、「今日は風が泣いているな……」とか言っちゃいそうになったけど、それは痛いから堪えた。
視線は、胸と下腹に突き刺さってる。
「……」
「……」
互いに無言でただひたすらに見られてる、それだけの時間が過ぎる。
こんなのクラスの男子の前でヌードモデルやってるみたいなもんじゃん!!
リアルにそんな想像しちゃって少し濡れてきて、バレない様にもじもじする。ダメ、間が持たない。もう最後の仕上げをして湯船に帰ろう。
私は、若干震えつつも、スッとバルコニーの王子様(仮)に向かって視線を落とす。そして微笑む。
出来るだけ神秘的に!艶やかに!過去最大に盛れた私よ今ここに──。
しかし、王子様は私の顔とか見ないままに呟き(なんで顔見ないのよ!)、その結構大きな呟きが風に乗って耳に届く。
「エロっ」
作戦は盛大に大失敗して、私はダッシュで湯船にザブンと飛び込んだ。
王子(仮)「今、星見の塔で湯を浴びていた美女は誰だ?!なに?!アレが聖者様だったのか!神々しい!(畏怖)」
じゃなくて。
王子(仮)「今、星見の塔の浴室にエロい女いたんだけど誰?え?聖者?(笑)」
ってルートに入った気がする。死ぬ。
誰かが回廊を走ってくる気配。
誰かが階段を駆け上がってくる気配。
気のせいであれと願ったけど、それは気のせいではなく、先ほどの男子が、階下からスバっ!と飛び出すように姿を現した。
改めて見ると、クラスの男子レベルの良く言えば親しみやすい、悪く言えば私の好みとは程遠い風貌。一応髪色と目の色で少し外人的上方補正は付いてるのにこの評価です。
そんな彼は全力疾走しながら服を脱いできたのを意図的に表現しているコントのような出で立ちだ。
つまり、ぜぇぜぇと息を切らし、肩は上下しまくり、頭の上にはひっつかんで乗せたような、さっきは乗せてなかった王冠みたいなのをかぶり、髪は乱れ、上半身は裸で、下半身は脱ぎかけのタイツが片足に引っ掛かっていて、右手には錫杖を持とうとして勘違いしたんだと思いたい大人のおもちゃみたいななんか、そーゆーのの長い奴を持ってて、左手にはリネンタオルを掴んで自分の股間に宛がってる状態。
やぁだ。彼、勃起してる……。
「はぁ……はぁ……」
彼の息が落ち着くまで、私も湯船で膝を抱えて待つ。
ザッ、と一歩前に踏み出す王子様(仮)。
「ふっ……我こそは……バシレイア王国……王位継承第一位……エンフィー八世で……ある……ぞ」
彼は呼吸筋を痛めたらしく、大人のおもちゃを持った手で脇腹を押さえながら、歪な角度で胸を張る。
やっぱり偉そうな奴だったか。
そしてやはり王子様だったか。
彼は、片足をバタバタさせてタイツを脱ぎ、そのまま浴槽に入ってくる。
「ふーぃ」
「……」
今度は彼が私をあえて見ないようにしてる。
これは、王子様としての当然の湯浴みに来ただけで、別に私を見に来た訳ではないぞ!っていうアピールなのかな?
「ふーぃ」
お湯を堪能する演技をしながら、彼は自分の右手に持ってるものを見て「うお!?」って声を上げた。
やっぱり別のものと間違えていたか。
「ふーぃ」
何か行動を起こす前にとりあえず欠伸をする猫みたいに、王子様は行動の合間に「ふーぃ」を挟む。
そうやって少しずつ少しずつ移動して、ついに21ふーぃ位で私の左隣に来た。
お湯の中、彼の手の甲が私の太ももに触れる。
その動きが実に痴漢臭い。
「その王冠はパパから借りてきたの?物凄く怒られそうだけど大丈夫?」
彼の高い鼻をじとーっと見ながら、辛辣に声掛けする。
彼の目が泳ぐが、口は何も答えない。
一度は整えた息をまた荒くしつつ、大人のアイテムを握った手の甲を一心不乱に押し付けてくる。
王族としては勿論、男として本当にそれでいいのかと問い詰めたくなる。
そしてついに彼の中で何者かが次の段階に進むべきだと進言したらしく、右腕を私の腰、というかお尻に回し、私に向かい右半身になって、左手を私の右膝の上に置いた。
ぐっ!と膝を押して足を開かせようとしてくるのを、純粋に力で拒否する。
「ええと、エンフィー王子さん?はじめまして、「聖者」です」
「え?」
彼はえい!えい!と私の膝を押しながら、怪訝な顔を向けてきた。
「この世界の暗黒期に現れて、国を救ったサーライさんから500年。再びの暗黒期に、この世界を救いにやってまいりました、「聖者」です」
「あ……いや、どうも……ご丁寧に……」
私自身も思う、今めっちゃ丁寧に説明したな、と。
「今しがたこの塔の賢者アーヴィンと話しまして、今後どのようにこの世界を救うのかを話し合う予定なのですが……」
ぐぐっと身を寄せて、彼の翠の瞳の中に、私の顔が魚眼に歪んで映ってるのをじーっと見る。
彼はごくりと唾をのむ。
「そんな私に……なにか?」
「いえ!ごゆっくり!いや、私もこの国の為の大事な政務があったのをわすれてたよ!はっはっは!それでは!」
王子様はバタバタと下のフロアに去っていった。
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