59 / 66
生存確認
しおりを挟む
眼前に広がるのは、夢にまで見たお風呂。
雑に掛け湯をした後で我慢できずに飛び込んだ。
勿論、髪はつけないなんてマナーもガン無視。全力で髪も頭も洗ってやる。
「ふーっ······」
お湯に身を任せて、浮かび漂う。
お湯と私の境界が朧になる感覚。
生き返る、本当にそんな感じ。
もう今日一日ずっとここにいる。
なんならここに住むわ私。
ねぇ知ってる?古代ローマではあったお風呂文化が、中世ヨーロッパで消えた理由。
私の知ってる説だと、それには大きく2つの理由があって、一つは宗教的な価値観によるもの。
物凄く簡単に言えば、身なりを整え清潔にするのは下品とされて、それ故に不潔でいる事が好まれた感じ。
そしてもう一つは、お湯で体を洗うと、毛穴から毒が入って病になる、みたいな当時の誤った医学的常識によるものなんだって。
何が言いたいかって、この世界がそうでなくてよかったって事。
陰星の影響で世界が闇に包まれようと、私は絶対このお風呂文化を守って世界中に広めてやる。
そうだ、あのセクハラ大将軍に命令してやりましょう。「そこの無駄に立派なヒゲ!聖者として命じます!東都ザクセンに公衆浴場を作りなさい!」と。
「······聖者、か」
賢者アーヴィンの話を聞いて、私の中で腑に落ちたことがいくつもあった。
まずは長距離間移動に使っててびっくりした異開門について。
そして私の生死について。
異開門はこの世界では、落雷と同じような、自然現象・物理現象に近いものなのでしょう。
原理はぜんっぜんわかんない。
でも、人の手で再現可能で、離れた都同士を繋げることが出来る。
自然発生する場合は、それが本流の中で接近した世界同士を繋げるほどの規模になる。
この世界と三陰星が繋がれば出てくるのは魔物で、聖星が繋がれば聖者が出てくる。
まぎらわしっ!
おかげで、私自身が化け物なんじゃないかとガチで悩んじゃったでしょうが。
そして、二度目の異開門を潜ったからか、思い出したくはない「あの時」の事の事を、今はっきりと思い出せるようになっていた。
結論から先に言うと、私は殺されてない。
ゆっくり瞳を閉じる。
男の手が伸びてきてるのに、私はそれを避ける事が出来ない。逃げる事も出来ない。
それは、動いたらその手が首にかかってきて殺されるかもしれないと思ってしまって、心が死の恐怖で満たされ、身体が従順になる事を選んだからだった。
乱暴に剥かれた衣服からこぼれた乳房に、男性の視線が突き刺さる。
彼がおっぱいに興奮しているのを察して、私は彼に向ってことさらにそれを見せながら「お願い。殺さないで」って懇願した。
男は楽しそうに笑って、私を殴らず、衣装を力尽くで引き裂くように、乱暴に脱がしていく。
私は羞恥に身を捩った程度でほぼ無抵抗だったけれど、彼はデタラメに破いた衣装の所為で、脱がすのに手間取って身勝手にイラつきだす。
それを見た私は、恐怖で指が固まって日本刀を放せなくなっている手で、必死になってパンツを脱いでみせた。そんな私を見た男は満足そうに大声で笑った。
乱暴に突き飛ばされて、踏ん張りが効かず、尻餅をつく。
見下ろされ、足を開けと命じられ、神棚の前で股を広げた。
「臭いマンコを広げて見せろ!」と上から怒鳴られて、それにも従った。
性的消費の対象にされた私は、自慰を始めた彼のために歯を食いしばって裸を晒し続けた。神前の冷たい道場の床に横たわりながら、恐怖と、踏み躙られている尊厳を想って涙を流した。
どれくらいそうしていたのか、「今から出すから溢さずに全部口で受けろ!」と怒鳴られて、急いで身を起こし、膝をつき、泣きたくなる程に臭いのを我慢して嘔吐を堪え、男が扱いてるペニスの先端に向かって口を開けて、細かく動くそれを追いかけるように身体を揺らした。
乱暴者が「ウゥッ!」と呻きながら大量に出したのと同時に、私の身体は背後からの光に包まれて、引きずり込まれるような感覚に気を失って、あの森に落ちた。
クルシュに見つかり、ウィルシェに運ばれて、あの部屋で目覚めた。
──それが、真相。
やっぱり、思い出さなければよかった······。
「うう~~!!!」
お湯の中に潜る。
死んじゃおうと思ったわけじゃないけど、何となく、ギリギリのギリギリ、耐えられる限度まで潜り続けた。
耐えられなくなって、鼻からお湯を吸い込んで、がぼがぼ!と口からお湯を飲んで溺れかけて、藻掻いてなんとか立ち上がる。
「げほっ!うぇ!」
暫く咳き込んだ後で、湯船に座る。
両手でボロボロの涙が零れてる両頬をバシバシ叩く。
私は汚されてない。
私は汚されてない。
私は汚されてない。
よし、切り替えたっ。
私は、あの後もっと酷いことをされた挙句に殺される所だったのだから、ある意味で異開門に助けられたと言ってもいい。
だからここで聖者として戦うのは、その恩返し!
もしかしたら、あの超汚くて臭いのをひっかけられるのを絶対嫌だと念じた私の心が、異開門を開いたのかもしれない。
だからここで聖者として戦うのは、私の意思!
そう思う事にします!
雑に掛け湯をした後で我慢できずに飛び込んだ。
勿論、髪はつけないなんてマナーもガン無視。全力で髪も頭も洗ってやる。
「ふーっ······」
お湯に身を任せて、浮かび漂う。
お湯と私の境界が朧になる感覚。
生き返る、本当にそんな感じ。
もう今日一日ずっとここにいる。
なんならここに住むわ私。
ねぇ知ってる?古代ローマではあったお風呂文化が、中世ヨーロッパで消えた理由。
私の知ってる説だと、それには大きく2つの理由があって、一つは宗教的な価値観によるもの。
物凄く簡単に言えば、身なりを整え清潔にするのは下品とされて、それ故に不潔でいる事が好まれた感じ。
そしてもう一つは、お湯で体を洗うと、毛穴から毒が入って病になる、みたいな当時の誤った医学的常識によるものなんだって。
何が言いたいかって、この世界がそうでなくてよかったって事。
陰星の影響で世界が闇に包まれようと、私は絶対このお風呂文化を守って世界中に広めてやる。
そうだ、あのセクハラ大将軍に命令してやりましょう。「そこの無駄に立派なヒゲ!聖者として命じます!東都ザクセンに公衆浴場を作りなさい!」と。
「······聖者、か」
賢者アーヴィンの話を聞いて、私の中で腑に落ちたことがいくつもあった。
まずは長距離間移動に使っててびっくりした異開門について。
そして私の生死について。
異開門はこの世界では、落雷と同じような、自然現象・物理現象に近いものなのでしょう。
原理はぜんっぜんわかんない。
でも、人の手で再現可能で、離れた都同士を繋げることが出来る。
自然発生する場合は、それが本流の中で接近した世界同士を繋げるほどの規模になる。
この世界と三陰星が繋がれば出てくるのは魔物で、聖星が繋がれば聖者が出てくる。
まぎらわしっ!
おかげで、私自身が化け物なんじゃないかとガチで悩んじゃったでしょうが。
そして、二度目の異開門を潜ったからか、思い出したくはない「あの時」の事の事を、今はっきりと思い出せるようになっていた。
結論から先に言うと、私は殺されてない。
ゆっくり瞳を閉じる。
男の手が伸びてきてるのに、私はそれを避ける事が出来ない。逃げる事も出来ない。
それは、動いたらその手が首にかかってきて殺されるかもしれないと思ってしまって、心が死の恐怖で満たされ、身体が従順になる事を選んだからだった。
乱暴に剥かれた衣服からこぼれた乳房に、男性の視線が突き刺さる。
彼がおっぱいに興奮しているのを察して、私は彼に向ってことさらにそれを見せながら「お願い。殺さないで」って懇願した。
男は楽しそうに笑って、私を殴らず、衣装を力尽くで引き裂くように、乱暴に脱がしていく。
私は羞恥に身を捩った程度でほぼ無抵抗だったけれど、彼はデタラメに破いた衣装の所為で、脱がすのに手間取って身勝手にイラつきだす。
それを見た私は、恐怖で指が固まって日本刀を放せなくなっている手で、必死になってパンツを脱いでみせた。そんな私を見た男は満足そうに大声で笑った。
乱暴に突き飛ばされて、踏ん張りが効かず、尻餅をつく。
見下ろされ、足を開けと命じられ、神棚の前で股を広げた。
「臭いマンコを広げて見せろ!」と上から怒鳴られて、それにも従った。
性的消費の対象にされた私は、自慰を始めた彼のために歯を食いしばって裸を晒し続けた。神前の冷たい道場の床に横たわりながら、恐怖と、踏み躙られている尊厳を想って涙を流した。
どれくらいそうしていたのか、「今から出すから溢さずに全部口で受けろ!」と怒鳴られて、急いで身を起こし、膝をつき、泣きたくなる程に臭いのを我慢して嘔吐を堪え、男が扱いてるペニスの先端に向かって口を開けて、細かく動くそれを追いかけるように身体を揺らした。
乱暴者が「ウゥッ!」と呻きながら大量に出したのと同時に、私の身体は背後からの光に包まれて、引きずり込まれるような感覚に気を失って、あの森に落ちた。
クルシュに見つかり、ウィルシェに運ばれて、あの部屋で目覚めた。
──それが、真相。
やっぱり、思い出さなければよかった······。
「うう~~!!!」
お湯の中に潜る。
死んじゃおうと思ったわけじゃないけど、何となく、ギリギリのギリギリ、耐えられる限度まで潜り続けた。
耐えられなくなって、鼻からお湯を吸い込んで、がぼがぼ!と口からお湯を飲んで溺れかけて、藻掻いてなんとか立ち上がる。
「げほっ!うぇ!」
暫く咳き込んだ後で、湯船に座る。
両手でボロボロの涙が零れてる両頬をバシバシ叩く。
私は汚されてない。
私は汚されてない。
私は汚されてない。
よし、切り替えたっ。
私は、あの後もっと酷いことをされた挙句に殺される所だったのだから、ある意味で異開門に助けられたと言ってもいい。
だからここで聖者として戦うのは、その恩返し!
もしかしたら、あの超汚くて臭いのをひっかけられるのを絶対嫌だと念じた私の心が、異開門を開いたのかもしれない。
だからここで聖者として戦うのは、私の意思!
そう思う事にします!
0
お気に入りに追加
82
あなたにおすすめの小説
少し残念なお嬢様の異世界英雄譚
雛山
ファンタジー
性格以外はほぼ完璧な少し残念なお嬢様が、事故で亡くなったけど。
美少女魔王様に召喚されてしまいましたとさ。
お嬢様を呼んだ魔王様は、お嬢様に自分の国を助けてとお願いします。
美少女大好きサブカル大好きの残念お嬢様は根拠も無しに安請け合い。
そんなお嬢様が異世界でモンスター相手にステゴロ無双しつつ、変な仲間たちと魔王様のお国を再建するために冒険者になってみたり特産物を作ったりと頑張るお話です。
©雛山 2019/3/4
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる