女子高生剣士の私が異世界に転移したら大変なことになった 第一部

瑞樹ハナ

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生存確認

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眼前に広がるのは、夢にまで見たお風呂。
雑に掛け湯をした後で我慢できずに飛び込んだ。
勿論、髪はつけないなんてマナーもガン無視。全力で髪も頭も洗ってやる。
「ふーっ······」
お湯に身を任せて、浮かび漂う。
お湯と私の境界が朧になる感覚。
生き返る、本当にそんな感じ。
もう今日一日ずっとここにいる。
なんならここに住むわ私。
ねぇ知ってる?古代ローマではあったお風呂文化が、中世ヨーロッパで消えた理由。
私の知ってる説だと、それには大きく2つの理由があって、一つは宗教的な価値観によるもの。
物凄く簡単に言えば、身なりを整え清潔にするのは下品とされて、それ故に不潔でいる事が好まれた感じ。
そしてもう一つは、お湯で体を洗うと、毛穴から毒が入って病になる、みたいな当時の誤った医学的常識によるものなんだって。
何が言いたいかって、この世界がそうでなくてよかったって事。
陰星の影響で世界が闇に包まれようと、私は絶対このお風呂文化を守って世界中に広めてやる。
そうだ、あのセクハラ大将軍に命令してやりましょう。「そこの無駄に立派なヒゲ!聖者として命じます!東都ザクセンに公衆浴場を作りなさい!」と。
「······聖者、か」
賢者アーヴィンの話を聞いて、私の中で腑に落ちたことがいくつもあった。
まずは長距離間移動に使っててびっくりした異開門について。
そして私の生死について。
異開門はこの世界では、落雷と同じような、自然現象・物理現象に近いものなのでしょう。
原理はぜんっぜんわかんない。
でも、人の手で再現可能で、離れた都同士を繋げることが出来る。
自然発生する場合は、それが本流の中で接近した世界同士を繋げるほどの規模になる。
この世界と三陰星が繋がれば出てくるのは魔物で、聖星が繋がれば聖者が出てくる。
まぎらわしっ!
おかげで、私自身が化け物なんじゃないかとガチで悩んじゃったでしょうが。
そして、二度目の異開門を潜ったからか、思い出したくはない「あの時」の事の事を、今はっきりと思い出せるようになっていた。
結論から先に言うと、私は殺されてない。

ゆっくり瞳を閉じる。

男の手が伸びてきてるのに、私はそれを避ける事が出来ない。逃げる事も出来ない。
それは、動いたらその手が首にかかってきて殺されるかもしれないと思ってしまって、心が死の恐怖で満たされ、身体が従順になる事を選んだからだった。
乱暴に剥かれた衣服からこぼれた乳房に、男性の視線が突き刺さる。
彼がおっぱいに興奮しているのを察して、私は彼に向ってことさらにそれを見せながら「お願い。殺さないで」って懇願した。
男は楽しそうに笑って、私を殴らず、衣装を力尽くで引き裂くように、乱暴に脱がしていく。
私は羞恥に身を捩った程度でほぼ無抵抗だったけれど、彼はデタラメに破いた衣装の所為で、脱がすのに手間取って身勝手にイラつきだす。
それを見た私は、恐怖で指が固まって日本刀を放せなくなっている手で、必死になってパンツを脱いでみせた。そんな私を見た男は満足そうに大声で笑った。
乱暴に突き飛ばされて、踏ん張りが効かず、尻餅をつく。
見下ろされ、足を開けと命じられ、神棚の前で股を広げた。
「臭いマンコを広げて見せろ!」と上から怒鳴られて、それにも従った。
性的消費の対象にされた私は、自慰を始めた彼のために歯を食いしばって裸を晒し続けた。神前の冷たい道場の床に横たわりながら、恐怖と、踏み躙られている尊厳を想って涙を流した。
どれくらいそうしていたのか、「今から出すから溢さずに全部口で受けろ!」と怒鳴られて、急いで身を起こし、膝をつき、泣きたくなる程に臭いのを我慢して嘔吐を堪え、男が扱いてるペニスの先端に向かって口を開けて、細かく動くそれを追いかけるように身体を揺らした。
乱暴者が「ウゥッ!」と呻きながら大量に出したのと同時に、私の身体は背後からの光に包まれて、引きずり込まれるような感覚に気を失って、あの森に落ちた。
クルシュに見つかり、ウィルシェに運ばれて、あの部屋で目覚めた。

──それが、真相。

やっぱり、思い出さなければよかった······。
「うう~~!!!」
お湯の中に潜る。
死んじゃおうと思ったわけじゃないけど、何となく、ギリギリのギリギリ、耐えられる限度まで潜り続けた。
耐えられなくなって、鼻からお湯を吸い込んで、がぼがぼ!と口からお湯を飲んで溺れかけて、藻掻いてなんとか立ち上がる。
「げほっ!うぇ!」
暫く咳き込んだ後で、湯船に座る。
両手でボロボロの涙が零れてる両頬をバシバシ叩く。
私は汚されてない。
私は汚されてない。
私は汚されてない。
よし、切り替えたっ。
私は、あの後もっと酷いことをされた挙句に殺される所だったのだから、ある意味で異開門に助けられたと言ってもいい。
だからここで聖者として戦うのは、その恩返し!
もしかしたら、あの超汚くて臭いのをひっかけられるのを絶対嫌だと念じた私の心が、異開門を開いたのかもしれない。
だからここで聖者として戦うのは、私の意思!

そう思う事にします!
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